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闇文庫

主に寝取られ物を集めた、個人文庫です。

花 濫 第8章陰陽二つの情事2

ベットを出た惣太郎が、リビングの廊下から庭を見ると、思わず目の奥に痛みがはしるほどの強烈な陽光を反射している芝生のうえで、半ズボンに上半身
裸体の浩二が水道のホースを持って水を撒いている。浩二から数メートル離れて向かい合った冴子は、深紅のミニスカートに紺の横縞の入ったタンクトッ
プのTシャツ姿で、片手に園芸用の小さな如雨露を持って立っていた。
ふたりとも脚は裸足である。

ホースの先を指で押さえて、遠くまで水が飛ぶようにした浩二が、筒先を左右に振って散水している。勢いよく飛ぶ水が、激しい陽の光の中で、白銀の
噴出のような透明感のある銀色に輝いて見えた。

突然、ホースの筒先を浩二がひねって、冴子の脚に水を掛けた。冴子が大げさな悲鳴をあげげながら、掛けられた水の白さとは違った、なまなましいま
ぶしさの二本の脚を飛び跳ねると、水に濡れた白い脚は、若鮎が跳ね上がったような美しいきらめきをみせて輝いた。冴子も負けじと手に持った如雨露を、
浩二に向けて振った。白く細い幾つもの線が弧を描きながら浩二に降り掛かる。浩二が反射的に身構えの姿勢をとると、ホースの筒先が思わぬ方向に向
いて、浩二にだけでなく冴子にも無差別に、水は複雑な曲線を描きながら飛び散った。

「いやんーん。浩二さん!」
頭から水を被った冴子が、両手で顔を拭いながら叫んだ。長い髪も濡れたらしく、先ほどまで敏捷な冴子の動きに軽く踊っていブラウスが、身体や腰にぴ
たりと纏いついて、女の曲線を露わにしていた。浩二も頭からびしょ濡れになったらしく、仔犬のように頭を振ると、白い飛沫が周囲に飛んだ。
「ようし! やったな! どうせ濡れたんだ」
浩二が冴子の足元に向かってホースをかまえた。
「止めて!」

冴子がミニスカートの裾を両手で持ち上げ、夢中で足を跳ねると、股間を隠しただけの小さなスキャンティーがちらりとのぞく。浩二はそれがおもしろいらし
く、次第に筒先を冴子の膝から太股に向ける。冴子が大きな悲鳴を挙げて芝生の上を逃げ回る。
大きく芝生の縁を回るように走っていた冴子が、リビングから見ている惣太郎に気づいたらしく、

「パパ、助けて……」
「燃えてかげろうのたつ芝生を、こちらに向かって冴子が駆けてくる。両腕を曲げて腰の辺りに構え、懸命に走って来る冴子は、濡れた髪を後ろになびか
せ、濡れて身体に張り付き、透明になったタンクトップのTシャツの胸が、くっきりと乳房の丸みが浮き出して搖れている。
締まった腰の下の大きな臀と付け根まであらわな太腿の柔肉が、乳房と違った複雑な動きで搖れ、辺りに若い女の精気を撒き散らしているように匂い立つ。
惣太郎の前まで来ると、廊下の前のガーデンセットの陶器製の椅子に身を投げるようにして座り、息を切らしながら惣太郎を仰ぎ見て、いたずらを見つけられ
た子供のように、てれた表情で、肩をちょっとすぼめながら舌を出した。それは義理に示した媚びだったのか、すぐに、くるりと顔を庭の浩二に向けて、

「浩二さん! パパが起きていらっしゃったからご飯にしましょう」
はしゃいだしぐさで手を振って呼んだ。
「ママ! 水道の栓を締めて……」
浩二がうなずいてホースを捨てると、ホースは狂った蛇のように、あたりかまわず水をはね上げながらのたうち、こちらに向かいかけた浩二の背にも、思いき
り水しぶきを浴びせかけた。驚いた浩二が飛び上がったり、走ったりするのを、声を挙げて囃してから冴子が元栓を締めた。

ガーデンセットの椅子に腰掛けた二人は、照りつける陽射しも気にならないらしく、惣太郎に取ってこさせたジュースを飲みながら談笑している。日焼けした
浩二の琥珀色の肌も、凝脂の浮いた真っ白い艶やかな冴子の肌も、いま濡れたばかりなのに、肌に点々とダイヤモンドの小粒のような水滴をつけただけで、
肌は水をはね返して、若さに匂い立っている。

特に冴子の手や脚が、象牙のように白くなめらかに輝いているのが目立つが、その白い肌は、情事に堪能した後にだけ現れる、皮膚の内から萌え立つ生命
力の自然に開花したような生き生きした生彩が輝いている。           
男の肌には、情事の前後に現れる変化はないと惣太郎は思っているが、それでも、浩二の肌をよく注意してみると、直後の浩二の逞しい肌は、冴子の凝脂
が染みこんだように艶やかに輝いている。                   

「さあ、シャワーを浴びてきなさい、食事にしよう。コーヒーのうまいやつを炒れておくから」                                  
二人がならんで、椿のしげみから、浴室の方に消えるのを見送ってから、惣太郎はキッチンに入ってコーヒーポットを取り出すとのコンセントをつないだ。
コーヒー豆を曵くため、電気のスイッチを入れ、賑やかな音を立てていた時、浴室から、浩二の怒ったような声が聞こえたような気がしてスイッチを切った。 
廊下を隔てた浴室ののれんの奥に、惣太郎は聴き耳を立てた。シャワーの水音に混じって、浩二と冴子のはしゃぐ声が聞こえていたのが、いつのまにか、
シャワーが止められ、浴室の中は森閑としている。耳を澄ますと、なかで人の争うような気配がある。                             

「………だめよ、パパが待ってるじゃないの………」           
「誰がこんなにしたんだ……。ほら、責任とってくれよな」        
「誰が触わらせたの…………」                      
冴子の声が溶けるように生めいている。                 
「あつっ!」                             
冴子の押し殺した叫びが聞こえたあと、しばらく静寂があってから、しだいにあたりはばからない動きの気配が伝わってきた。

やがて、息づかいや、肉のしきみまでが、惣太郎の耳に明瞭に聞こえ出した。              
昨夜自分が寝たのが一時過ぎだから、その後に浩二が帰ってきて、ふたりが交わりを持ったのは確実だと思う。朝までに三回くらいはしたにちがいない
もしかしたら、朝も惣太郎が起きるまでに、一度くらいしたのかもしれない。
それとも、浩二が朝帰りで、出来なかったのだろうか。

いずれにしても、ふたりで躯を洗い合っているうちに、耐えられなくなってきたのだろう。先ほどの冴子の短い悲鳴の時に挿入があったに違いないと惣太
郎は思った。。          
しだいに激しさを増す息づかいと一緒に、ぱんぱんと濡れた肌が打ち合う音が、派手に響いてきたりする。浩二の喘ぎ声と冴子の呻き声と絡み合うようし
て聞こえて来る。ふたりの交わりは、狭い浴室の中で、どんな体位でおこなわれているのだろうか。そう考えると、惣太郎は何かわくわくするような思い
に駆られてきた。

惣太郎は新聞を膝に載せたまま、立ち上がるのをじっと我慢していた。
嫉妬焼きの亭主らしい振舞いをして、どうやら最後の断末魔に行き着こうとしているらしいのに、せっかくの二人の感興を殺いでしまうのも大人げない。
呻き声が一際高まって、叫びとも泣き声ともとれる響きにとなって、暖簾の向こうから伝わってくると、ちょっとおろおろした気持ちになって、思わず新聞
を膝から落として、立ち上がりかけるのだったが、その次は又しんと静まって、心なしか険しい息ずかいの絡み合いになる。

やがて、最後の断末魔が終わったらしく、例の凄愴な情景を思わせる一際高い呻き声や喘ぎのあと、だんだんと気配が静まって、その後、ひっそりした時
間が過ぎていった。その間、例の頬擦りや接吻や抱擁の執拗な愛撫し合や、いたわり合が長々と続いているらしい。       
そのあと、かなりしばらくして、二人は互いにタオルを素肌に巻いただけの格好で、のれんをわけて廊下まで出て来ると、左右に別れて、それぞれの部屋
に着替えにいく気配を示した。。

「まあ、そのままでいいじゃないか。せっかくのコーヒーがさめてしまう」
惣太郎は、沸き上がったポットを持って、二人がついて来ることが当然というようにリビングに入っていった。
リビングも、クーラーが入れていなかったので、庭の芝生を直撃している陽光の反射を受けてむっとする暑さである。
「クーラーよりも扇風機の方が自然でいいだろう」
ふたりのタオルだけ巻き付けた上気した顔を見ながら惣太郎が言った。   

「お顔だけなおしてこなければいけないわ」                
サイドボードから、エッジウッドのコーヒーカップを取り出している惣太郎の背に冴子が羞恥を含んだ声で言った。                    
「その日照った顔がいちばんきれいたよ。なあ、浩二……。昨夜は何時頃帰ったんだい……浩二は……」                       
「三時過ぎです。仕事は一時前に終ったのですが、係長が、どうしても飲もうというので仕方なく、京橋の赤提燈で飲んだんです」 

「そうよ、パパ聞いてちょうだい。浩二さんたら、すっかり酔っちゃって、もう玄関で、げろげろなの………。やっとお風呂場まで連れてって、脱がせた
んだけど、それからがまた大変だったの……」
「ママ頼む……それから後は内緒だよ。もし、言ったら、ただではすまさないよ」
浩二がむきになって言った。                      
「いっちゃおうっと。あのねえ………すっかり酔って……どうにもならないのに……」
冴子のおおげさな悲鳴が突然わきあがり、惣太郎が驚いて振り返ると、並んでソファに腰掛けていた浩二が、冴子のタオルを裾の方からはぎ取ろうとして
いた。
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  1. 2014/12/03(水) 08:19:31|
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