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闇文庫

主に寝取られ物を集めた、個人文庫です。

花 濫 第2章はじめての不貞2

 浩二は食器の触れ合う音で目が醒めた。薄暮に包まれた和室に素っ裸のまま寝てい
た。身体を動かすと、陰茎にかすかな痛みが奔った。触れて見ると亀頭のすぐ下の包
皮が擦切れた痛みであることがわかった。遠くでサイレンが鳴っていた。身体に掛け
られた毛布から冴子の髪の匂が漂ってた。身体の芯に気だるさが残っているが、特に
変わったことはない。遂に女を知ってしまった、という思いが強い。それにしても何
と甘美な陶酔だったことだろう。最初の違和感がしだいに快感に変わって、最後には
全身が痺びれるような陶酔に我を忘れて叫んだような気がするが定かではない。思い
出すともう陰茎が勃起しはじめている。冴子が置いてくれている浴衣があるというこ
とは、彼女の怒りがないということになる。それを考えた途端に、浩二は安らかな愛
のような安堵と緊張を甘く感じていた。下穿が浴衣の下にあるほか自分の着衣はどこ
に仕舞われたのか見付からなかったので、下穿をはいたうえに浴衣を着て、暗い廊下
を冴子が音を立てているキッチンに向かった。       
 キッチンのドアは開いたままで廊下に光りがこぼれていた。明るいシャンデリア風
の照明に照らされた室内では流しに向かって冴子が調理の最中だった。冴子の調理中
の後ろ姿は見慣れていた筈なのに、今日に限って、賞味したことのある美味な果実が
鼻先で匂い立っているように、生唾が口腔に湧き上がるような耐えられない魅力を発
散させているように見える。柔らかそうな毛編みの白いセーターの袖を肘まで捲りあ
げて食器を洗っている水滴の付いたむっちりとした肉つきのいい腕が肉感的で、浩二
の男心をそそる。膝のやや上までの短めの紺のギャザの多いスカートから覗いた素足
がそこだけ明りを集めたように浮き出て、スカートが揺れるたびにその奥から甘酸っ
ぱい女の体臭がわき立っているようだ。照明に一番近い頭髪は、繊細な柔らかさで新
しい瓦のように燻銀色の鈍い光沢を放って、揺れるたびに芳香を撒き散らしている。
 そんな後姿を見ているだけで今の浩二は身震いするほどの官能のたかぶりを覚えて
しまう。いままではこの家の主婦として、手の届かぬ存在だった冴子が、一たび肌を
交わらせてからというものは、まるでいま知り合ったばかりの女のようにいとしく思
え、彼女の躯がたとえようもない甘さを放って自分を誘っているように蠱惑的で、見
ているだけで気が狂うほど激情に襲われて、どうしようもなく欲しくなる。              
 衝動を押え切れずに後ろ後ろから抱付こうとしたとき、長い髪をゆらして彼女は振
り返った。上気した顔に羞恥がはしって、浩二の視線と絡ませた眼を慌ててそらした。                                   
「お料理いろいろこしらえようと思って買って来たのに、時間がないわ。これで我慢
してね。お酒燗するんでしょう?」     
 わざと忙しそうに食器棚の扉を開けながら言う声がうわずっているのが、浩二には
どうしようもなくいとしい。                       
 「なにもいらないよ。いちばん欲しかったママをいただいたんだからら………」 
 「まあ、浩二さんたら………」                      
 冴子は両手を顔に当てて思わずその場にしゃがみ込んでしまった。かくれんぼの鬼
のように顔に両手を当てたまましゃがみ込んでいる冴子の肩を浩二が優しく抱いた。                                   
 浩二は酒はあまり強い方ではない。冴子も平素あまり口にしないが、その夜はふた
りで飲んだ。テーブルを挟んで向かい合って食事していたのが、何時の間にか並んで
酌をし合い、それが抱擁と愛撫に変り、やがて浩二の浴衣が脱げ、冴子の白いセータ
ーを肩の上にたくし上げられ、スカートが捲り上げられていた。     
 外は完全に闇に包まれていた。この家の辺りは夜になると車も通らない。かすかに
近所で子供が練習しているピアノの音が聞こえるだけである。明るい照明に照らされ
て、卓上に食べかけの食器が忘れられたように雑然と並んでいる。その真ん中に置か
れたクリスタルの花瓶の紅白のカーネーションと霞草だけが、風もないのに生き物の
ように不規則に揺れていた。                    
 浩二の膝の上で冴子はスカートを脱がされ下穿が膝にかかっていた。唇を合せたまま
浩二の手がスリップからはみ出した豊満な乳房を揉み、もう一方の掌は股間で忙しく動
いていた。せつなそうな冴子の喘ぎが浩二の耳元に熱い息を吹き掛けていとき、突然部
屋の隅のスタンドに置いてある電話がけたたましく鳴り出した。  
 驚いて口を離した浩二と顔を合せた冴子は、あわてて浩二の膝から降り、捲れ上がっ
たセーターを引き下げながら電話機に近付くと、浩二を振り返って、    
 「きっと、うちの人よ」                         
 髪を一振りしてから、今までの恍惚とした表情を、仮面を剥いだように引き締めて受
話器を取った。                            
 夫は出張の際に必ず几帳面に電話してくる習慣だったから、今夜もいつ電話して来る
かと、冴子は先程から気になっていた。もっと今夜は飲もうよ、という浩二に、電話が
掛かって来てからよ、と言ってあったので浩二も緊張した面持で冴子の表情を伺ってい
る。浩二の愛撫に淘然となりながらも、頭の隅に夫の電話のことが冷たい氷のように胸
の隅に澱んでいたのだった。                 
 「変ったことはないかい?こちらは元気でやっている」           
 いつもと変わらぬ静かな夫の声が、そこから掛けているように鮮明だったので、冴子
は一瞬に酔いが飛んだ。罪悪感の前に恐怖が胸の中を切り裂くようにはしった。若い男
と情交の最中に夫の電話を受けている。
 捲れ揚がった白いセーターは直したが、スカートは付ける閑はなかった。丈の短いス
リップの下から豊かな素足が男の視線にさらされている。下穿のない裸の下肢は、薄い
スリップを透かして黒い茂みが見えているに違いない。そればかりか、夫以外の男との
交わりの余韻がまだ流れ出ている上に、さらに今男に触れられて、また新しい溢れが生
暖かく股間を濡らしている。受話器から伝わってくる夫の鮮明な声に、冴子は放縦な格
好で受話器を持っている自分と、漲ぎりの脈動を隠そうともせず、しなやかな肢体を輝
かせて自分を待ち受けている浩二のいる、みだらな空気の澱んだこの部屋の様子を夫に
発見されたような恐怖を覚えていた 
「今、浩二さんが来ているの。ロンドンに転勤ですって。今度の日曜日出発なので、土
曜日の夜は泊めてくださいって言ってます。いいでしょう、あなた………」 
「それは急なっことだな。今夜は帰るのか?」                
「今夜はこれから壮行会があるのですって。それで明日広島に帰って土曜日に出て来る
そうです」                             
「そうか、何か餞別でもやらなきゃならないな。土曜日の晩はゆっくりやろうと伝えて
くれ」                               
 受話器を通した夫の声が、数百キロ離れた北海道からではなく、すぐ傍に居るように
妙に生々しく伝わってくるのは、自分のやましさに怯えた気持ちに起因しているのだろ
うかと、冴子は前を屹立させたままテーブルに片肘を突いて煙草に火を付けている浩二
を見ながら思っていた。                    
 浩二の裸の肩に天井から吊したキャビン風の照明の白熱球の強い光線があたって、腕
の付け根のあたりから肩のやや後ろにかけて琥珀色の鞣し革のように艶やかな皮膚がハ
レーションをおこしたように輝いている。背中から細い腹部に向かって赤いひっかき傷
が三筋ばかりはしっているのが見える。先程、歓喜の夢幻のさなかに堪え切れなくなっ
た自分が付けたものに違いない。夫の痩身にこれまで男らしい堅さと強さを感じていた
のは、自分の無知のせいで、いまこうして浩二と比較して見ると、同じ男性とは判じ難
いほど、夫の体は頼りなく弱々しい。皮膚にも浩二のような照りはなく、筋肉にいたっ
てはないに等しい。夫がこまかく北海道の印象を語っているのが、いつの間にか途切れ
途切れにしか聞こえなくなっていた。     
 「雪は思ったより少ないよ。・・・今夜は・・・・お前も知っている・・・に誘われ
て・・・・を食べに行くことになっているんだ。・・・・・・」      
 煙草を吸いながら浩二が冴子を見た。眩しそうに冴子の顔を眺めてから、視線を下げ
て短いスリップの裾からこぼれている冴子の太腿に目を据えた。      
 上半身に毛編みのセーターを着ているだけに、剥き身の白葱のような白く艶やかな下
半身の露な姿を見据えている浩二の熱気を帯びた一途な視線が、直接愛撫されているよ
うに感じられて一層羞恥を誘う。狭い室内に若い一対の男女が向かい合い、交わりの前
の発情の極わみに達していた直後だけに、部屋には緊張した一種独特の精気が張りつめ
ていた。それは向かい合うふたりの男女が熾烈なエネルギーを爆発しようとする直前の、
発光体のような強烈な生命の燃焼の焦げるような匂の充満でもあった。その極度に緊張
した様子が、電話の向こうにいる夫に伝わるのではないかと、冴子は自分から声を発す
るのを極力控えていた。冴子にはその場を繕うほどの演技力は全くない。                           
 「それで・・・・明日は・・・・・・・どうおもう?・・・どうしたお前聞いている
のか?・]
 [はあっ?・・・ええ、聞いているわ・・・いまお鍋のお湯がこぼれそうになってい
るので・・・・・それがつい気になって・・・」              
「なんだ。どうもそわそわしているような気がしてたんだ」          
「あなた……………浩二さんとかわる? 」                
 浩二が慌てて掌を振って拒否のサインを送る。               
 「いや、いいだろう。土曜日にゆっくり話せばいいだろう。それよりだな…………を
買って帰るから、と伝えてくれ…………」                 
「わかったわあなた……………」                     
 「それから……………………」                      
 浩二が何か行動を起こす気配が感じられて、冴子は思わず浩二に注意を集中していた。
 煙草を喫い終えた浩二が、最後の一服を大きく吸い込み吐き出すと、紫煙が白熱燈に
照らされて濃霧のように巻く中で、その霧にまぎれるように白熱燈を背にして椅子から
立ち上がると、仁王のような逞しいシルエットを見せて、電話台の前に立った冴子に向
かって歩いて来た。照明の影になって表情は定かに見えないが、下穿からはみ出し身震
いしながら屹立している陰茎が、そこだけスポットライトを照らされたように生き生き
と脈動していた。冴子は視線が釘付けになったように羞恥も忘れてそれを眺めた。そこ
だけが別の生きもののように反り返り、方向の定まらぬ宙を何かを求めるように頚を揺
らめかしている様子が、冴子にはどうしようもなくいとおしかった。極限まで膨張した
その中は、あきらかに自分を求めて焦れ切った浩二の切ない思いが充満しているのだろ
う。
 もう夫の声が遠くに霞みはじめていた。                                  
 立ったまま首を少しかしいで受話器を持ち、もう一方の手で前を隠し長い髪をふっく
らとした白いセータに散らせて、腰から下は剥出しの豊かな太腿をひねるように合わせ
た悩ましい姿で夫と話している冴子の白い顔が当惑と羞恥に上気していた。
 慣れ合い切った夫婦の会話を必死に続けようと、無理に平素の清楚で落ち着いた表情
浮かべて、主人と対話している冴子の下半身は、真っ白いふっくらとした太腿から細く
すきりした膨ら脛が明かりを吸い込んでぬめぬめと照り映え、ときおり、もじもじと脚
を動かす格好が、淫蕩な別の女のように艶かしい。一つの女体が貞節と淫蕩の二重の情
緒をそれぞれ顔と肉体に現して戸惑いながら堪えている姿に、浩二はわずかに残ってい
る貞節な部分を思い切り破壊し去って、彼女自身を淫蕩の奈落の淵へ落とし入れたいと
いう加虐的な思いを堪えることが出来なくなっていた。いまは彼女を愛欲の極限に追い
やり陶酔と歓喜にのたうたすことが、唯一自分に残された彼女を完全に独占する方法だ、
とも思った。  恩義のある人の妻を寝盗る、という罪悪感はなかった。自分とこうな
ったことによって彼女等夫婦の間に亀裂が起こり、決別を迎えるなどという危険はない。
 それほど彼女の夫は妻を信じ愛していたし、彼女の方も自分と一緒になるなどという
非常識で愚かなことを考える女ではない。それだからうまく利用しようという魂胆は自
分にもない。田舎から出てきて世話になって依頼、憧れ続けてきた彼女とやっと結ばれ
た、という感慨しかなかった。この家に来てから五年の間に、いつかこうなることを予
感していたし、待ち望んでもいたから、遂にそうなったという喜びの感慨が強い。                                
 この家の主人は、あの地味で人格的にも才能も優れていて尊敬しているけれども、冴
子の夫として見ると、いつも冴子が可
愛そうになることが多々あった。それは冴子と主人との年令差よりずっと自分との方が
近いという、若者同志のような連帯感があったせいかも知れない。この家での長い生活
の間に、主人はよく冴子と浩二を、若い君等は、という言葉で自分と差別していた。                
 ・・・・君等は若いから、今夜は肉の方がのだろう?・・・、・・君等は若いんだか
ら走っていけよ・・、君等は若いんだからもっと飲めよと、今まで主人から発せられた、
この言葉が、しだいに二人に一種の連帯意識をあたえ、浩二にとってはやがて、若い者
同志なのだから冴子の若い心と肉体を求めても背信ではない、というような呪咀に変わ
ってきたのだった。たしかに冴子にとっても夫はもともと父のような存在で、特に浩二
が来てからは、ふたりして父に甘える兄弟のような連帯感はあったが、性的知識に疎い
冴子は、浩二に異性としての興味を抱いたことはなかった。                                 
 浩二に異性を感じなかった、と言えば嘘になるが、それは冴子の躯に眠っていた性的
本能が無意識にうごめいたに過ぎない。しかし、あの豪雨の日にガールフレンドを連れ
て帰った浩二を叱って以来、冴子は浩二の発散する男臭い動作や言葉、さらにふとした
時に見る浩二の若々しい肉体に、目眩に似た衝動を感じたことは幾度かあった。夫の不
在に夜など、浩二とふたりで囲む夕食の時に、まるで新婚のようなときめきに妙に生き
生きした気分を味わったりすることも、しょせんは父のいない夜の子供同志の自由な楽
しみというような思いがふたりにあって、罪悪意識をどこかに陰遁させていた。                          
 冴子の目前まで来た浩二は、受話器を小首にかかえている冴子の足元にしゃがみこみ、
冴子のむき出しの太腿を抱き締めた。毛深い顔を閉
じた冴子の太腿の内側に押し付け、両手で冴子の腰を抱き豊かな臀部を愛撫しはじめた。
 あわてて冴子が片脚を組むようにして花芯を防衛しようとしたが、浩二はそれにかま
わず冴子の翳りに唇の愛撫を加えてきた。身をよじり脚を動かして逃げようとすると、
隙の出来た後ろから掌で急所を攻撃してくる。受話器を持った手が萎えはじめ声が震え
て来るのを懸命に我慢しているが、浩二の舌が花芯の敏感な部分に触れると、強い電流
が股間で放電したような強烈な刺激が脊髄を通って全身に拡散し、思わず声を出しそう
になる。まるで夫の目前で浩二に犯されているような被虐の陶酔が麻酔注射を打たれた
ように全身をしびらせてる。                     
 受話器の送話口を押さえて夫に聞こえなくして、片手をのばし腰を屈めてて浩二の頭
に手をやり、                              
「やめて! 。声が出ちゃうわ。すぐ終わるから・・・・」         
 強く叱りつけるつもりが、甘い声になっていた。浩二がくるりと頭をあげて冴子の顔
を見ていたずらっ子のように笑い、後ろから回していた掌をいきなり濡れそぼっている
陰唇に差し込んできた。                      
 「いや! 」                              
 思わず声を出して冴子はその場に座り込んでしまった。自分では絨毯の上に横座りし
たつもりだったが、現実には浩二の膝の上にしゃがみ込む格好になった。その隙に浩二
は体の位置をずらして、座った浩二の顔の正面に冴子の股間がくるような位置にして、
敏捷な動作で二本の指を膣の奥深く挿入してしまった。その上に冴子が全体重をかけて
落ちてきたから、浩二の指は元まで埋没し、指先に子宮のこりこりとした感触が伝わり、
指全体が熱く蠕動する襞に覆われた。         
 「ええっ? 。・・・よく・・・聞こえないわ・・・」           
 股間におびただしい体液がとめどもなく流れ、止めようにもとまらない荒い呼吸を悟
られまいと、冴子は咳をしたり喉をならしたりして必死に堪えた。      
「今日のお前はどうかしているね。はやく瓦斯を止めなさい。……じゃまたね」
 夫の電話が終わった瞬間、冴子は受話器を握ったまま蝋人形が高熱に溶けるようにふ
わりと浩二の肩に倒れかかった。軟体動物のように浩二の肩に胸を載せ、顔を浩二の首
元に押し付け荒い呼吸をしている冴子の裸の下半身は、男の膝に馬乗りの格好になたま
まで、艶やかな膝が男の腰を挟んでいる。男の手が白い女のうなだれたうじなにかかり、
乱れた長い髪を掻きあげ、蒸れるように発散している女の甘酸っぽい匂いを臭ぎながら、
片手で自分の肩に張り付いている女の顔を持ちあげそれに唇を寄せていった。女は感嘆
とも悲嘆ともとれる溜息をついてから男の求めに応じて唇を差し出した。              
 接吻しながら浩二はセーターの下に手を滑り込ませて乳房を愛撫した。舌を絡ませた
ままの冴子から低い呻き声が流れた。浩二はしだいに自分の上体を前に倒しながら、ふ
たりの間にはさまていた受話器をとりフックにかけてから、浩二の膝を跨いで向かい合
っている冴子を背中から倒して仰臥させると、その上に覆いかぶさっていった。冴子の
脚の間に入っていた自分の脚で冴子を大きく開くと、先程とは違ってなんのためらいも
なく、熱湯をたぎらせている冴子の中へ一気に怒り狂っている自分の陰茎を充填させた。
冴子の悲鳴が森閑としたキッチンルームの澱んだ空気を切り裂いた。                              
 三、四度腰を動かせてふたりの粘膜が融合するのを確認してから、奥深くに沈潜させ
たまま動きを止め、冴子のセーターをスリップごと頚まで捲くりあげ、乳房を露にして
揉みはじめた。                          
 「パパにわかちゃたかも知れないよ。そしたらどうする?」
 目を暝っている冴子の耳元に口を寄せて囁くように云って、深く挿入したまま静止し
ていたものを、ちょっと小衝いて、躰で冴子の返事をうながした。
 「あたし知らないから……………。浩二さんの責任よ! 」         
 冴子も膣をきゅっと締めて躰で答えた。言葉で伝え合わなくても、これで今夜のあら
ゆる障害が排除されて、ふたりだけの世界が開かれたという安堵と歓びが今までの緊張
をほぐらせて、やっと落ち着きを取り戻し解放感と期待感に雄叫びをあげるように二人
はひしと抱き合った。                      
「お酒をもっと飲もうよ。俺準備するから」                 
「いいのよ、あたしが準備するわ。あたしの部屋で待ってて…………その前にシャワー
を浴びてらっしゃい」                        
 「いま離れるのが惜しいな」                        
「こんなところでは厭よ」                        
 光りの影になった昏い床の絨毯の上で重なっているふたりからは、食卓や椅子の脚を
通して、ふたりが脱いだ着衣やスリッパなどが思わぬ角度で眺められた。子供が悪戯に
秘密のかくれんぼをしているようなスリルがあった。離れると思った浩二が、そんなス
リルに刺激されたのか、再び腰を遣いはじめた。浩二がしだいに激しく腰を波打たせ、
冴子がそのたびに腰を浮かせた。どちらかの脚が椅子を蹴って音を立てた。陰茎が粘液
の音を立てて抜き差しし、その度に濡れた陰嚢が踊って冴子の菊門を叩いた。冴子が昇
り詰めて悲鳴を発し膣を痙攣させはじめたとき、浩二は、さっと、腰を引いて陰茎を抜
き去った。                  
「あっ、いや待って…………」                      
 冴子があわてて浩二を抱き抱えようとしたときには、もう彼は立ち上がっていた。 
「さあ、一風呂浴びてくるかな」                      
 冴子の体液に濡れそぼったままにそそり立った一物を揺らしながら浩二が出ていった。                                  
冴子は緩慢な動作で立ち上がった。椅子の下にぼろのようになっていたスカートを拾っ
て着ると、シャワーの音を聞きながら廊下を夫の書斎に急いだ。     
 ドアを開けると慣れた夫の体臭がその部屋にはこもっていた。同じ男の体臭でも夫の
は干し草のような枯れた匂がしたした。
 浩二のように獣のような強烈な生臭い湿った匂はなかった。今まで夫の匂が男の体臭
とばかり思い込んでいた冴子は、夫の部屋に充満している匂が、急に不潔で老人臭いす
えた匂に思えて来た。夫の匂は父の匂だ、とはじめて気が付いた。夫の書机の前に座っ
て、スタンドを捻った。机の上の夫の備品がにわかにいきいきと色彩を取り戻した。ペ
ン立てに置かれた木製のペン軸が、使い込まれて夫の掌の脂をにじませている。二、三
冊積まれている漢和事典が、夫の手垢で黒く染まっている。いずれも冴子が来る前から
夫が愛用していたものである。それを眺めているうちに、冴子は夫との今日までの生活
を反蒭していた。ままでの自分の生活がこれで破壊されるとは思わないが、自分の心と
肉体は新しい世界を知ってしまった事実はどうしようもない。浩二はわたしにこんな甘
美で衝撃的なことを教えておきながら、来週は遠い国に去ってしまう。残されたわたし
は一体どうしたらいいにだろう。浩二を行かせたくない、と思った。だが、夫との平和
な生活を放棄する勇気もなかった。              
 あなたの体臭の充満したこの部屋に一体自分は何を求めて来たのだろう。あなたに対
する背信の恐ろしさから来たのだろうか、それとも今まで自分にこれほどの歓びを与え
てくれなかったあなたを恨みに来たのだろうか。夫に呼び掛けてみたが結論はなかった。
いま若い浩二の肉体に溺れ切っている自分が、これから再び狂うことを切に求めている
ことだけは確かだった。暗黒の中で冴子は当時の心境を反趨してみた。            
 今あの時を想い返しても、重大な罪を犯したとか、夫を裏切ったとかいう反省がない。
幼い頃両親に隠れてオルガンの陰で、隣の男の子とお医者さんごっこをして、互いの性
器を見せ合ったり触れ合ったりした、ほのかな懐かしさと同じ位の、ときめきと後ろめ
たさを感じるだけである。     
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  1. 2014/12/02(火) 15:10:58|
  2. 花濫・夢想原人
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本当の妻・加藤 (17)
嫁が俺の会社の先輩に、デートの練習をした・不詳 (5)
二人の?妻・木下某 (27)
未完・修司 (19)
空白の2時間・ナガネギセブン (3)
妻・友子の不倫告白!・ヘタレ旦那! (18)
妻の浮気を知ってしまった。・美作 (2)
ピアノレッスン・悦 (5)
アルバイト・凛 (14)
元ヤクザの情婦にされた妻・574 (13)
観光温泉ホテル・公務員亭主 (16)
奥手でおとなしい妻が後輩に仕込まれた・名無し (6)
寝取られ妻が本気で妊娠まで・浩二 (5)
ナース妻を寝取られて・由美子命 (10)
写真館派遣の妻・無知な夫 (7)
私の身に起きた事実。・ファイター (10)
イケメン部下と妻・・・リュウセイ (9)
変貌する妻・雄治 (18)
僕の厄年・田舎おやじ (10)
訪問介護・サンコウシン (6)
狙われた人妻・亜紀・恋愛小説家 (7)
マラソンを愛する妻・スポーツトレーナー (3)
妻が汚れてしまった・常陸の親方 (10)
妻は専務のおもちゃだった・道騎士 (6)
妻の二人の夫・妻を愛する夫 (27)
見えない檻・生き物係り (30)
美樹がやられた・無能な夫 (41)
愛妻を・・・・川島クロード (12)
序破急・中務 (75)
月の裏側・久生 (14)
婚約者の調教動画が見つかって (12)
官舎 送別会・公務員 (5)
撮られていた妻・スネ夫 (8)
夫婦の恩返し・赤とんぼ (8)
1話完結■職場関係 (20)
■義父または近親 (65)
妻は義父のモノ・クスコ (3)
イトコと親友に、そして・・・ ・正光 (16)
巨乳妻・ゆうき (18)
家族遊戯・六郎汰 (14)
疑わしい行動・圭太 (9)
妻の絶頂・こうくん (5)
■隣人または友人 (491)
はちきれそう・ゆう (7)
仕掛けられた糸・赤いかげろう (6)
本当のこと。・一良 (14)
リフォーム・とかげ (22)
友達・悦 (13)
悪夢・覆面 (10)
ビデオ・はじめ (4)
言えない真実、言わない真実・JOE (17)
私しか知らなかった妻・一樹 (3)
妻の秘密・光一 (54)
清楚人妻 一夜の陵辱劇 ~親友に騙された~・仁 (6)
俺が負けたので、彼女が手コキした (5)
惨めな自分・子無き爺  (6)
田舎・マス夫 (16)
秘密・POST (14)
新妻の幻想・TAKA (4)
遠方よりの友・ちかこmy-love (11)
管理組合の役員に共有された妻・エス (136)
団地・妄人 (50)
抱かれていた妻・ミリン (18)
パーティー・ミチル (33)
友人・妄僧 (7)
甘い考え・白鳥 (22)
乳フェチの友人・初心者 (6)
1話完結■隣人または友人 (7)
■インターネット (54)
チャットルーム・太郎 (19)
オフ会・仮面夫婦 (10)
ターゲット・アイスマン (5)
奇妙な温泉宿・イワシ (14)
落書きの導き・マルタ (4)
1話完結■インターネット (2)
■旅先のアバンチュール (63)
バカンス・古屋二太郎 (7)
妻との旅行で・けんた (5)
無題・ざじ (10)
A温泉での忘れえぬ一夜・アキオ (18)
露天風呂での出来事・不詳 (2)
たった1度の体験・エロシ (9)
旅行・妄人 (12)
■医者・エステ・マッサージ (62)
孕まされた妻・悩める父親 (7)
とある会で。 ・けんじ (17)
亜希子・E-BOX (14)
子宝施術サービス・かえる (23)
1話完結■医者・エステ・マッサージ (1)
■借金 (56)
私達の出来事・不詳 (9)
私の罪・妻の功・山城 (9)
失業の弱みに付け込んで・栃木のおじさん (3)
変貌・鉄管工・田中 (5)
借金返済・借金夫 (5)
妻で清算・くず男 (5)
妻を売った男・隆弘 (4)
甦れ・赤子 (8)
1話完結■借金 (8)
■脅迫 (107)
夢想・むらさき (8)
見えない支配者・愚者 (19)
不倫していた人妻を奴隷に・単身赴任男 (17)
それでも貞操でありつづける妻・iss (8)
家庭訪問・公務員 (31)
脅迫された妻・正隆 (22)
1話完結■脅迫 (2)
■報復 (51)
復讐する妻・ライト (4)
強気な嫁が部長のイボチンで泡吹いた (4)
ハイト・アシュベリー・対 (10)
罪と罰・F.I (2)
浮気妻への制裁・亮介 (11)
一人病室にて・英明 (10)
復讐された妻・流浪人 (8)
1話完結■報復 (2)
■罠 (87)
ビックバンバン・ざじ (27)
夏の生贄・TELL ME (30)
贖罪・逆瀬川健一 (24)
若妻を罠に (2)
範子・夫 (4)
1話完結■罠 (0)
■レイプ (171)
輪姦される妻・なべしき (4)
月満ちて・hyde (21)
いまごろ、妻は・・・みなみのホタル (8)
嘱託輪姦・Hirosi (5)
私の日常・たかはる (21)
春雷・春幸 (4)
ある少年の一日・私の妻 (23)
告白・小林 守 (10)
牝は強い牡には抗えない。・山崎たかお (11)
堅物の妻が落とされていました・狂師 (9)
野外露出の代償・佐藤 (15)
妻が襲われて・・・ ・ダイヤ (6)
弘美・太郎棒 (11)
強奪された妻・坂井 (2)
痴漢に寝とられた彼女・りょう (16)
1話完結■レイプ (5)
■不倫・不貞・浮気 (788)
尻軽奈緒の話・ダイナ (3)
学生時代のスナック・見守る人 (2)
妻・美由紀・ベクちゃん (6)
押しに弱くて断れない性格の妻と巨根のAV男優・不詳 (8)
妻に貞操帯を着けられた日は・貞操帯夫 (17)
不貞の代償・信定 (77)
妻の浮気を容認?・橘 (18)
背信・流石川 (26)
鬼畜・純 (18)
鬼畜++・柏原 (65)
黒人に中出しされる妻・クロネコ (13)
最近嫁がエロくなったと思ったら (6)
妻の加奈が、出張中に他の男の恋人になった (5)
他の男性とセックスしてる妻 (3)
断れない性格の妻は結婚後も元カレに出されていた!・馬浪夫 (3)
ラブホのライター・され夫 (7)
理恵の浮気に興奮・ユージ (3)
どうしてくれよう・お馬鹿 (11)
器・Tear (14)
仲のよい妻が・・・まぬけな夫 (15)
真面目な妻が・ニシヤマ (7)
自業自得・勇輔 (6)
ブルマー姿の妻が (3)
売れない芸人と妻の結婚性活・ニチロー (25)
ココロ・黒熊 (15)
妻に射精をコントロールされて (3)
疑惑・again (5)
浮気から・アキラ (5)
夫の願い・願う夫 (6)
プライド・高田 (13)
信頼関係・あきお (19)
ココロとカラダ・あきら (39)
ガラム・異邦人 (33)
言い出せない私・・・「AF!」 (27)
再びの妻・WA (51)
股聞き・風 (13)
黒か白か…川越男 (37)
死の淵から・死神 (26)
強がり君・強がり君 (17)
夢うつつ・愚か者 (17)
離婚の間際にわたしは妻が他の男に抱かれているところを目撃しました・匿名 (4)
花濫・夢想原人 (47)
初めて見た浮気現場 (5)
敗北・マスカラス (4)
貞淑な妻・愛妻家 (6)
夫婦の絆・北斗七星 (6)
心の闇・北斗七星 (11)
1話完結■不倫・不貞・浮気 (18)
■寝取らせ (263)
揺れる胸・晦冥 (29)
妻がこうなるとは・妻の尻男 (7)
28歳巨乳妻×45歳他人棒・ ヒロ (11)
妻からのメール・あきら (6)
一夜で変貌した妻・田舎の狸 (39)
元カノ・らいと (21)
愛妻を試したら・星 (3)
嫁を会社の後輩に抱かせた・京子の夫 (5)
妻への夜這い依頼・則子の夫 (22)
寝取らせたのにM男になってしまった・M旦那 (15)
● 宵 待 妻・小野まさお (11)
妻の変貌・ごう (13)
妻をエロ上司のオモチャに・迷う夫 (8)
初めて・・・・体験。・GIG (24)
優しい妻 ・妄僧 (3)
妻の他人棒経験まで・きたむら (26)
淫乱妻サチ子・博 (12)
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保健師先生(舟木と雅子) (22)
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地獄の底から (32)
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こころ清き人・道明 (34)
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