水遣り 第12回

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佐伯は若干焦ります。

オマンコの言葉で引いてしまった妻。その後携帯に電話しても妻は
出ません。仕事では無いので会社の電話で叱責するわけにもいきま
せん。更に佐伯に追討ちが掛かります。出張が建設工期の遅れ等で
半月位延びそうなのです。1週間や10日に一度位は本社に業務目的
として帰る事は出来ます。土曜日、日曜日にもそれは出来ます。 
体の関係が出来てからならともかくそんな時に妻を連れ出す事はい
くら何でも出来ません。

これから3週間余りも我慢出来ない。佐伯は思案します。

『宮下は週に2、3回は駅前のホテルで昼飯を取る。女性社員を一人
雇った』

今、本社では本社所在の駅の近くにアンテナショップを創る計画が
あるのに気がつきます。人の流れを掴む為、周辺をビデオ、デジカ
メで長時間撮影しなければなりません。もう撮影は始まっていま
す。

『これは使えるな』

本社に確認すると、ホテルの出入口もその対象になっています。全
ての対象の重点時間は10時から2時までと5時から7時となっていま
す。一週間の連続です。その作業も明日で終わります。佐伯はその
記録を大阪の自分のホテルに送らせる手配をします。誰も疑問に思
いません。大阪の新センターの参考にする、その一言ですむ事で
す。只、ホテルの分だけで良いとはさすがに言えません。

10数本のUSBメモリーが送られてきます。記憶容量は16GB、10数本
で300時間分以上の画面が記録されているでしょう。勿論すべて見
るつもりはありません。ちゃんと仕分けされています。対象別、曜
日別、時間別と。その中から、Uホテルと書かれている平日のもの
を見ます。佐伯は私と一度会っています。妻とホテルで食事してい
る時に、居合わせた佐伯を見つけた妻が紹介したのです。佐伯は月
曜日から順番に見ていきます。簡単に見つけました。火曜日に松下
さんを連れて食事に行ったのです。 

ホテルに入った時のもの、出てきた時のもの、数枚自分のラップト
ップパソコンに移動させてます。

『宮下も女性の顔もはっきり写ってるな。それにしても嬉しそうな
顔をしてるな、この女は。お誂え向きだ。入った時間は11:57、出
た時間は12:38か。随分早いな。まあ良い。時間は何とでもなる』

パソコンの知識がある者なら時間を改竄するくらい訳も無い事で
す。日時の部分を切り取って、新しく訂正したものを背景を合わせ
て貼り付ければいいのです。法定資料にする訳ではありません。知
識の無い妻を騙すくらい簡単なものです。こうして時間は入った時
間11:32、出た時間14:23と書き換えられます。綺麗にプリントし
て、鞄に仕舞います。

しかし、業務に託けて本社に帰ったときに妻に見せるのではどうも
不自然です。妻を大阪に出張させ、それとなく妻に見せる。妻が受
けるかどうか賭けてみる事にしたのです。

本社から電話です。

「宮下さんを出張に行かせる事になりました」
「そうか」
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