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闇文庫

主に寝取られ物を集めた、個人文庫です。

黒か白か… 第1回

私の名前は松田一樹(仮)37歳、関東圏内にあるS県在住でリサイクル関係の仕事に従事しています。
家族構成は、妻 果歩(仮)35歳と一人息子の隆(仮)7歳との3人家族です。

妻とは結婚10年目、共通の友達の紹介で出会い、2年の交際の後結婚しました。 妻は非常に明るい性格でこちらが気を使うくらい気配りに長けた人です。初対面の時も1人忙しく私達の食べ物や飲み物を作ったり寄そったりしてました。そんな妻を見た私の第一印象は(こんな人が奥さんだといいなー)でした。
顔の方は芸能人で言えば南果歩に似ています。

結婚後息子が産まれ、そして私が仕事を独立と妻にはかなりの負担をかけてしまいました。それでもそんな事をおくびにも出さず私を支えてくれた妻を心から愛し感謝していました。妻としても母としても文句なく100点満点でした。

そんな奥さんに何の問題があるの?と思われる人もいるでしょうが私自身、最初に違和感を感じたのは些細な夫婦喧嘩でした。

独立後経理を任せている妻に、ガソリン給油のレシートを催促されました。私の仕事は車を使う事がメインの為ガソリン代が非常にかかります。なので従業員にも口すっばく給油したらレシートを提出するよう日頃から言われていました。私自身も言っていた為常に出していたのですが、今朝給油した時のレシートがどこを探しても見つかりません。しょうがなくその事を妻に言うと案の定責められました。
しかし、今までこんな事なかった私に対し他の従業員のいる前で激しく責める妻に反省していた私もつい逆切れしてしまい口論になってしまいました。
その時、妻がある事を口走りました。

「少しは英夫さんを見習って欲しい」と。
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  1. 2014/11/08(土) 01:09:15|
  2. 黒か白か…川越男
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黒か白か… 第2回

「英夫さん?おい、英夫さんって誰だよ?」
妻の口から突然飛び出た聞き覚えのない名前に私は素早く反応していました。妻は口を押さえ少し動揺している風にも見えます。
「ごめんなさい。人を引き合いに出して比べるものじゃありませんでした」
殊勝な事を言ってはいますが、私の質問に答えていません。しかし、私もこれ以上くだらない事で言い争いをするのは嫌でしたし。喉に小骨が引っかかった様でしたが納得して幕引きとなりました。

あれから数日がたったある晩の事です。
息子と風呂に入って今日一日の出来事を聞いていました。
すると、気になる名前が息子の口から出て来ます。
「んとね、ヒデオ叔父さんとね、公園でキャッチボールしてね、ジュース買って貰ったの」
またあの名前でした。いったい誰なんだろう…隆の友達の父親か…
「ヒデオ叔父さん?ヒデオ叔父さんって隆の友達のお父さんなの?」
息子に聞いてみました。 すると、
「違うよ、ママの友達だよ」
息子の答えに唖然としました。
妻の友達?今までそんな事聞いた事がありません。何で妻の友達が息子とキャッチボールするのか納得できません。
いや、百歩譲ってそうだとしても、夫であり父親でもある私に一言もないのはおかしすぎます。

その後、寝室に戻った私は息子を寝かしつけて戻った妻に聞いてみました。

「なあ、隆から聞いたけどヒデオ叔父さんって誰だ?」
妻が一瞬ビクッとなったのを見逃しませんでした。
「その名前聞いて思い出したけど、前にお前が口走った゛英夫 ゛って 言うのとおんなじ奴じゃないのか?」
妻は強張った表情して固まっていましたが少し間をおいて話し始めました。
  1. 2014/11/08(土) 01:10:34|
  2. 黒か白か…川越男
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黒か白か… 第3回

「英夫さんは…高校の時の先輩です…」
俯きながら話し始めた妻は私の顔色を伺っているのでしょうか?それだけ話すとまた黙ってしまいました。

私は私で正直軽いパニック状態に陥っていましたが、気になった事を率直に聞きました。

「その高校の時の先輩が何で隆とキャッチボールしてるんだ?いや…百歩譲ってそうであっても何で俺はそれを知らされていない訳?」

とっさに出た感情でしたが要領をえています。このどうしようもない世の中。子供が巻き込まれる犯罪が多い中で知らない男と遊んでいる息子を心配しない親はいない…私の感情のベクトルはそこにも向いてつい声が大きくなり、妻の肩がビックとなります。

「………………」

黙りこくって話さない妻に呆れた私は妻に背を向け身支度を始めました。

「あ、あなた、出かけるの?」

私のただならぬ雰囲気に気付いたのか、妻は慌てて聞いてきます。

「…話にならん女と同じ空間を共有出来るほど大人じゃないんでね…失礼します!」

短気な性格の私は気まずい空気が大嫌いです。そんな時は外に出て空気を変えるのが一番なのです。

「悪いけど、俺が納得できるまで寝室は別々にする。今のお前じゃ話にならんからな!」

「…………」

それでも俯き黙っている妻。本格的に頭に血が上り始めた私は寝室のドアを思いっきり締めて出て行きました。
  1. 2014/11/08(土) 01:11:30|
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黒か白か… 第4回

怒りにまかせて出ては来たものの、行き先は決まっています。

事務所に併設してある仮眠所に入った私は、来る途中で買った缶ビールを開けると一気に飲み干しました。

いつもなら幸福感を噛み締める事の出来る瞬間なだけに今のこの状況は真逆のものです。

しかし解せません。妻はなぜ説明しないのでしょうか?私の問いに言いにくい事など何もないはずです。‘息子が何で英夫と言う妻の高校時代の先輩とやらと遊んでいるのか?’こんな簡単かつ明確な問いに答えられない理由とは…………

『やっぱ、あれか……浮気……だろうか? にしてはな…』

一瞬そこに気が行きましたが取り消します。現実的じゃない。そんな時間はあるはずかないし。
妻は朝は9時から、事務所に籠もりっきりで事務をしています。他に事務員はいません、取引先や契約に関する電話が頻繁にかかって来るのに会社を長時間抜ける事は無理です。

‘浮気が出来ない環境にいるから浮気をしていない’今思えば楽観的に考えていたかもしれません。そう、私の妻に限って的な考えが確かに私にもありました。浮気をする人間はどんな手を使ってでも浮気をする。この時の私では到底思いつかない方法も世の中にはたくさんあるのです。

変に安心したのか、それともアルコールのせいなのか、いつの間にか私は眠りに落ちてしまいました。
  1. 2014/11/08(土) 01:12:26|
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黒か白か… 第5回

「社長……社長!」
あのままソファーで眠ってしまった私は、我が社の最古参の鈴木さん(57歳)に起こされました。

「ん、んーっと…ああ、鈴木さん…おはようさん」

大きく伸びをしながら鈴木さんを見ると明らかに呆れ顔でした。

「社長、あんたもガキじゃないんだから、酒飲んで潰れる年かね」

この鈴木さん、元々は私の師匠のような存在で、我が社でただ1人私に意見出来る貴重な存在なんです。(ぺーぺーの頃はよく愛の鉄拳を頂いていました)

「いやー面目ない。ちょっと飲み過ぎたかな」

そう言って側にあるテーブルを見ると、昨夜買ってきた500㎜のビール、合計10本が空き缶に変身しています。私は苦笑いしかできません。

「まったく…そんなに飲んで運転できるのかい?今日は朝1でⅩⅩⅩ(某マンスリーマンションです)に引き取りがあるだろう」

「あっ、そうだった。今何時?」

すっかり寝ぼけていた私は慌てて起きあがろうとしました。
「危ない!」
「うぉっ」

どうやら昨日のビールが効いてるようで私は無様にも体制を崩しソファーに逆戻りしてしまいました。

「そんな状態で運転なんか無理だ」
「いやしかし…」
「…………」

鈴木さんは大きく溜息をつくと、「俺が代わりに行くよ…先方にはその旨伝えておいてくれ」と言い出て行きました。

まったくお恥ずかしい限りです。一番やってはいけない事を社長自ら進んでやるとは… ふと時計を見ると7時半。(よかった、従業員が出社し始めるのにまだ時間があるな…鈴木さんでよかった)

その時、テーブルに置いていた携帯がなりました。開いて見ると妻からです。しかし私はとらずにテーブルに戻しました。電話だろうが急用だろうが昨日の事を説明しない内は一切話すつもりはないのです。



午前8時45分。朝のミーティングの時間です。

今日の予定を主任である鈴木さんが簡単に説明しています。
私はと言うと、完全な二日酔いで眉間にシワを寄せながら我慢して参加しています。その時、チラッと鈴木さんが私の所を向いて締めを要求しました。私は小さな×を指で作って(お前が締めろ!)のサインを出します。
『ハァー、ヤレヤレ』っと鈴木さんの心の声が聞こえた様な気がしましたが、うまく締めてくれました。


さて、久々に会社に残る事になった訳ですが、考えてみるとこの会社には事務の妻と私しかいない事になります。いつもなら新鮮気分を味わえるのですが、今日に限ってはそうも言えません。

(さて、どうでるかな。俺からは話しかけてやらないぞ)

本当鈴木さんの言う通り、私もまだまだガキです。しかし、何かハッキリしない態度を取る妻を優しく受け入れられる程私は器の大きな人間ではないのです。

そう思いながら事務所に入って行きました。
  1. 2014/11/08(土) 01:13:32|
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黒か白か… 第6回

中に入ると妻は伝票整理をしていましたが、私を見ると手を止め何か言いたげな顔をしています。

「…………」

(ふん、何だよ!言いたい事があるなら言えばいいじゃないか!)

心の中で毒づく私ですが、言われたら言われたで無視を決め込むつもりなので結果は変わりません。が、やはり言い訳を言ってでも説明は聞きだい気持ちもあり複雑です。

私は黙って自分の部屋に入って行きました。外回りがないからと言ってダラダラする時間はないのです。私は痛い頭をかかえながら在庫チェックを始めました。


午後12時。

二日酔いの為、朝は食欲がなかったんですがこの時間帯になりようやく私の内蔵も復活してきました。
いつもなら適当に車で定食屋に入るんですが、今日は会社にいる為そうもいきません。おまけに会社の周りは畑やら林やらでお店は車でしか行けない距離にあります。なもんで妻はいつも弁当持参で出社するのです。
私も妻に弁当を勧められましたが、冷めたご飯というのが駄目な男なので断った経緯がありました。

いくらか食欲が沸いたと言ってもまだアルコールが完全に抜けきってないので車は使えない。となると、残るは出前。
そう思い出前のチラシを探しますが………ない。 焦っていろんな所を探しますが…………ない。

気が重いが妻に聞くしかない。

「なあ、出前のチラ…シってあれ?」

ドアを開け、声を掛けると居るはずの妻がいない。トイレでも行ったか?と思い外に出てトイレに向かおうとした時、トラックの助手席に妻がいます。こんな暑いのにエンジンもかけずに窓を締め切って電話をしています。
なにやら感じる物がありました。私は妻に気付かれないように裏から回り込み、足音を殺して助手席側のドアに耳をつけ会話を聞きました。
「ええ…そうなの…だから今日は来ないで…うん…そうね…ええ…ごめんなさい…それじゃあ…」

フーと息をついて妻がドアを開けました。 ガチャッ、

「!!!あ、あなた」
妻が驚愕の顔でこちらを見ています。

「誰に電話していた!コラ、言ってみろ!」

「ちょ、ちょっと待ってあなた。何か勘違いしてるわ」

「勘違い?いーや、俺は勘違いなんかしてないさ。わかってんだよ…英夫って野郎だろ!」

その瞬間でした、妻の顔が明らかに変わりました。しかし、徐々にその顔は怒りの表情に変わっていきます。

「そんなに相手が知りたい?なら掛けてみればいいじゃない!」

そう言って携帯を私に差し出します。私は(上等じゃねーか…開き直りやがって)と妻から携帯を奪うと履歴を見ました。
(着信は…ない。なら発信は……淳子?…………ははーん、女の名前で登録してたのか。随分用意のいいこった)
発信時刻も一致、間違いない。私は意気込んで掛けました。が、予想を裏切り出た相手は女性でした。

『もしもし?ねえ、どうかしたの?』

軽いパニックになった私は妻の携帯からかけたのにも関わらず「すいません間違えました」と言って切ってしまいました。

-やっちまった-

「信じられない…私を疑うなんて…」

「あっ、いや、」

妻は私から携帯を奪うと走って事務所に行ってしまいました。英夫だと決めてかかっていた私には相手が女性という選択肢は全くありませんでした。

これからの事を考えると鬱になりそうです。私は歩きながらどうやって妻に謝ろうか考えながら事務所に向かいました。
が、これからこの後私は知る事になります。この電話が破滅へ鍵であったと…
  1. 2014/11/08(土) 01:14:39|
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黒か白か… 第7回

あの件の後、私と妻の関係は最悪と言って間違いない状態でした。
すぐに謝罪したのですが『信じてもくれなかった貴方が心から謝ってとは思えない!』と、完全にご立腹で全く聞き入れてもらえません。
私も思うところはありました(お前が信頼の揺らぐ事をしたんだろうが!!)が幸い仕事には支障ないように振る舞ってくれたんで私は一過性のものと思い自分を殺して妻に謝り続けました。

しかし、そんな日が思ったよりも長く続くと、さすがに私も苛立ちを隠せなくなりました。

妻を疑いあんな行為をした私を正当化するつもりはありません。でも私の行動の原因は元々妻にあるのです。

「なあ、もう一週間もこんな状態だぞ。そろそろ気を取り直してもいいんじゃないか?」

「……………」

従業員が出掛けていった朝、私は妻に話し掛けましたが相変わらず怒っているのか全くの無反応…いえ、無視です。
そんな妻の態度にとうとう私の我慢も限界に達しました。

「そんなに気に入らないならもういい!俺はこの一週間、誠心誠意お前に謝ってきた。だかどうだ?お前は俺の非ばかり非難して自分の行動の説明すらしない!こうなった原因を果歩、お前もよーく考えるんだな!」

私はそれだけ言うと私を睨む妻を残し会社を出て行きました。

そう、今までは穏便に済ませ、妻が説明さえすればこのままで幕引き(勿論、不倫の関係ではない場合のみです)にしようと思いました。
ですが、自分の事を棚に上げたあの妻の態度は到底許容できるものではありません。
それなら私も疑念、妻への不信感を明るみにしましょう。興信所に頼めば何かわかるはずです。そう決意し、取引先の倉庫へ車を走らせました。


午前11時…午後まで後もう少し。午前の打ち合わせを終え、午後の引き取り前に引き取り書を確認していると…ない。どうやら会社に忘れたらしい。ここから会社に戻ると、午後の引き取りに間に合わないかも知れない。
(気は進まないが…しょうがない…な)

携帯を出し会社へ電話をかけます。


(おかしいな…)
何度コールしても取りません。

(トイレか?)

続けざまに携帯にかけます…が、取らない。
(おかしいな、緊急時の為に携帯はトイレにも持って行けと言ってるのに。何なんだよ!)

私は電話を切って会社に向かいます。

1時間はロスした事になるのですがそんな事言っても始まりません。怒りは増すばかりですが、まずは引き取り先に連絡を入れ遅れる事を告げます。
相手は快く承諾してくれましたが、何かしら心証を悪くしたに違いありません。そうなると、怒りの矛先は当たり前に妻へ向きます。

会社までもう、目の前と言う所でした…私の携帯に着信がありました…言うまでもなく相手は妻です。
  1. 2014/11/08(土) 01:15:45|
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黒か白か… 第8回

「もしもし、電話があったみたいだけど」

妻の言い方はまるで『何か用?』と言わんばかりのものです。 私は電話で怒鳴りたい所でしたが、会社は目の前。会って言った方がいっぺんに済むと思いグッと堪え一言。

「中に入ってから話す」

「はぁ-?意味わかんない」

「…もう着くから切るぞ!」

「えぇっ!!ちょっ、ちょっと!着くってどこに…」

妻の話の途中でしたが電話を切り会社の駐車スペースに車を止めます。その間にも妻からの着信がありましたが無視して事務所に入りました。

私は一瞬、お得意の軽いパニック状態になりました。

ここに、妻以外の事務員はいません。私の知る限りですが。

なのに、目の前には見知らぬ女性が妻の机に座り事務仕事をしています。

「えっ、あのーどちらさん?」

何とも間抜けな第一声でした。もっと気の利いた言い方もあったろうに…(笑)
「えっ、あの~ここの事務員ですけど…」

「はあ?そんな話聞いてないぞ」

「あの~あなたは?」

「俺はここの責任者、社長だけど」

「あっ、初めまして~木村です。先月からお世話になっています」

「はぁ?先月からって…待て待て、そもそも事務員なんて募集した事なんてないぞ!」

「えぇっ!聞いてないんですか?」

「聞いてないって…事務員雇ってた事すら今知ったのに…」

その木村さんと言う女性は困った顔をしている。取り敢えず私はその木村さんから事細かに話を聞きました。

その話に私は怒りで軽いめまいを覚えたほどでした。


彼女の話を纏めると、名前は木村淳子さん(以下木村さん)歳は42歳。勤めたキッカケは妻の友人の紹介で、木村さんは旦那さんが仕事に行って空いている時間に仕事がしたかったらしく、良いタイミングでこの話が転がってきたようで、その友人に『面接も兼ねて一度顔見せしないか?』との誘いに二つ返事承諾し、2ヶ月前の暮れにここでその友人立ち会いで会ったらしい。
その時に、細かい内容や勤務日数、勤務時間、時給などの条件を提示され、思った以上の好待遇にまたまた二つ返事で承諾をしたらしい。(上記の条件は後々説明します)
果歩が社長の奥さんと聞いて、当然社長自身把握しているものと思っていたので何がなんだか解らず戸惑っていると…


木村さんの話を聞いていくつかの疑問が浮かびました。
私達は、一度会社を出ると余程の事がない限り退社時間まで帰社しません。
それは、取引先の殆どが長距離の隣県や東海、東北方面です。なので、万が一トラブルが起きた場合今日の私のように一度事務所に連絡をする事になってます。(従業員には私に連絡がつかない場合妻に連絡をするように伝えています)
しかし、私の記憶ではここ1ヶ月の間、会社に電話した時必ず妻が電話にでてました。その事を聞くと、木村さんは驚くべき事実を話し始めました。

「私は、奥様に電話には出るなと言われていたので」

「えっ、どう言う事?」

「会社に掛かってくる電話は奥様の携帯に転送されるので、私は事務仕事と来客の対応だけでした」

--なるほど、完璧な計画的犯行なわけだ--
  1. 2014/11/08(土) 01:17:11|
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黒か白か… 第9回

「なるほどね…だんだん解ってきた…」

腕を組み、一人納得している私を不思議そうな顔で木村さんが見ています。ですが、今は一々説明している余裕はありません。木村さんには悪いですが、私は質問を続けます。

「もしかして、先週の電話は木村さん?」

「先週って……あぁーハイハイ、それじゃあ、あの電話は社長だったんですね」

(やっぱりな…)

【淳子】と言う名前でピンと来ました。私が妻の携帯からかけた女性は木村さんだったのです。

「て事は、妻はあなたに…」

「ええ…初めは9時頃に『出社時間を遅らせてくれない?』って果歩さん…いえ、奥様から電話があったんです」

「ほう…それで?」

「私が『どの程度遅らせればいいんですか?』って聞いたら、『今は何とも言えないから私が電話するまで待機してほしい』って言われて…」

「なるほど…それじゃあ12時にあった電話で休むよう言われたんだね」

「はい…それで『今日の分の給料はこっちの都合で休みにしたので通常勤務と同じにするわ』って言われたので…まあ、良いかなって…」

「…で、私から無言電話がその後あったと…」

「そうです。」

「…………」

木村さんの話を聞いて、私は背筋が凍る思いでした。
もちろん怒りはあります。しかし、それ以上に妻に対して異様な気持ち悪さも感じていました。
長年連れ添った妻が何か別人の様な気さえしています。
私の知っている妻は平気でこんな事のできる女ではありません。
私は、木村さんにもう一つの【確信】めいた質問をしました。

「話は変わるけど、あなたにうちを紹介した友人とは?」

「ああ、沢木さんですか?」

「沢木?」

「はい、私の主人の後輩なんです…あれ?」

「どうしました?」

「社長、沢木さんをご存知ですよね?」

「いや…私の知り合いに【沢木】と言う名の人間はいませんが…」

-ドクン-

「あれ?おかしいな…」

-ドクン ドクドクドクン-

「奥様と沢木さんからは家族ぐるみの付き合いって…」

-ドクンドクンドクンドクン-

「木村さん」
(頭がボーっとする)

「はい?」
(胸が…息苦しい)

「その【沢木】って人の名前…」
(うぁぁ-おかしくなる!)

「【英夫】じゃないか?」

薄々は、気付いていました。
木村さんにうちを紹介したのが第三者と言われた時から…妻が汚いアリバイ工作をしていたと知った時から…判ってたんです…この名前が出るって事は…

「あれ?なーんだ、やっぱりしりあいだったんですね」

無数に散らばっていた点と点が、無情にも…繋がった瞬間でした。
  1. 2014/11/08(土) 01:21:55|
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黒か白か… 第10回

午後8時

「ただいま」

「あ!パパだぁーおかえりなさーい」

「隆…ヨイシッと、どれどれーパパの暴れん坊君は元気かな~」

「あはははは!元気だよー」

息子が嬉しそうな笑顔で玄関まで迎えに来てくれます。その笑顔は最高の薬…治療薬です。
私のドロドロとした感情が、一気に洗われます。(悲しいかな、一時的ですが)息子を抱きかかえていると、その後ろに妻が居ました。
最近は、全く出迎えてもくれなかったのに…何やら言いたげな目で私を見ています。私は、そんな妻を無視して息子を抱っこしたまま横を通り過ぎ居間に入りました。

「隆、お風呂は?」

息子をリビングで下ろし尋ねます。

「んーまだー」

「よーし!じゃあパパと入ろうか?」

「いいよ~」

「じゃあ、パパは着替えてくるから隆は先に入ってな」

「はーい」

風呂場に向かった息子を見て、私も着替えに寝室に向かいました。

スエットに着替えてると、後ろに人の気配がしました。

「ねぇ、あなた…ちょっといい?」

妻から話しかけられましたが、無視して着替え続けます。

「……」

タンスから下着を取り、妻を無視して部屋を出ます。すると、

「ねぇ、聞いてる?話があるの!」

私が無視をしてるのが気に障ったのか、声に苛立ちが見えます。

「…何だよ…」

妻の方を向いて立ち止まります。

「今日の昼の電話だけど…」

「その話なら隆を寝かせた後に聞く…それでいいな…」

「…………」

何か苦々しいものでも見るような目で私を見やる妻をその場に残し、私は風呂場へ向かいました。



「木村さん…頼みがあるんだか…」

「頼み…ですか?…はは…怖いな…」

「今日、私に会った事は…妻には内緒にしてもらいたい」

「…………」

「今日初めて会ったあなたにこんな事頼むのも変だけど…」

「……社長。」

「ん?」

「浮気ですか?」

「ははは…直球だね」

「すみません…でも、どんなに鈍感な人間でも、ここまで聞けば…」

「うん…まあ、まだはっきりとした証拠がないから何とも言えないけど…ね」

「…………」

「だから…調べようと思う…事が事だからね…まあ、こんな事ベラベラ喋ってるけど、あなたが妻にこの事を言わない保証はない。でもね…変な話、今日初めて会ったあなたを信用しようと思ってね…どうだろう?」

「本当、そうですよ、私が言うかもしれませんよ~(笑)」

「ははは…」

「……………」

「…………」

「解りました…私に出来る事なら協力します」

(以上!臨場感たっぷりにお届けしました)

事務所から出たのが13時ちょい過ぎ。
木村さんとお互いの携帯番号を交換して別れました。




「んでねーパパのねー自転車に1人で乗れたんだよ~」

「そうか~じゃあ隆の自転車はパパが乗ろうかな~」

「えーダメだよ~、パパが乗ったら壊れちゃうもん」

息子とバスタブにつかりながら今日一日にあった事を話す。私が一番幸せを感じる一時。最近は特にそう思えます。

(この子にだけは…悲しいかな思いは決してさせたくない!)

私達夫婦の問題で、もしかしたら息子に悲しい思いをさせるかも知れない…
それは何よりも辛い事です。しかし、このままの状態はもっと息子にとって辛いかもしれないのです。
実際、最近の私達を心配そうな顔で見ている事がありました。 子供は子供なりに感じる事があるのです。

その時です、私はある事を思い出しました。
息子は英夫の名前を知っていました。普通、一度会っただけの男の名前を覚えるでしょうか?もしかして、何度か会った事があるんじゃないか?

「なあ、隆…前に英夫おじさんとキャッチボールした事があるって言ってただろう…隆は、英夫おじさんと何回か会った事があるの?」

「あるよ」

「何回くらい?」

「んーとね、遊んだのは2回。でね、見たのは1回だけ」

「見たのは1回?どこで?」

「んーとね、んーとね、、、、秘密」

「秘密?どうして?」

「だってね、ママが『誰にも言っちゃダメ!』って言ったから」

「ママが?パパにも?」

「うん…パパには絶対言っちゃダメだって言ってたもん」

「………隆、ママには内緒にするからパパに教えて」
「でも…パパに言ったら…もう、パパに会えなくなるもん…」

「どうしてさ、パパは隆を置いて居なくなったりしないよ?」

「でも、ママが…」

「ママが?」

「パパに言ったらよその子にするって言ったもん!」

「!!!!!」

(な、何て酷い事を…こんな小さな子に…あいつ…気でも狂ったか!)

沸々と湧き上がる怒り、憎しみを止められません。今すぐにでも行って殴り飛ばしたい気持ちを精一杯我慢し、息子を抱きしめながら、

「大丈夫!誰が隆をよそにやるもんか!心配しなくても良いよ」

「本当?」

「ああ本当!」

「本当に本当に本当?」

「本当に本当にホントーに本当!だから教えてくれる?」

「うん!えーとね…初めて英夫おじちゃんを見たのはねーここ!」

「ここって?お家!」

「うん、僕が学校から帰ってきたらママと英夫おじちゃんがお風呂場にいたの」
  1. 2014/11/08(土) 01:23:07|
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黒か白か… 第11回

風呂から上がった私は、半ばヤケになりつつありました。
息子の話には、私の‘夫として、人としてのの感情’を吹き飛ばすに充分な威力がありました。

「…悪いが夕飯はいらない…」

夕飯を並べ始めた妻は私の顔をチラッと見て「そう」と一言だけ言いました。私の知っている妻は何かしら気を使いどうしたのか心配してくれる人でした。小さな事ですが、私にとっては重要な変化と言っていいでしょう。私は、もう何も言わずに寝室へ向かいました。


-ガチャッ-

2時間程経った頃、妻が寝室に入って来ました。何も言わず、私の方を見る事もなく着替えを始めています。別段変わった事のない行為に見えますが、今の私は‘ある’違和感に気づきます。

「風呂には入らないんだな?」

妻がビクッとしました。顔は背を向けていて確認できませんが恐らく…

「…今日は…汗かかなかったから…」

「ふ~ん、日中30度以上のこの糞暑い日に汗をかかないのか。そりゃすごい」

「そ、外はそうでも、事務所の中は空調がきいてるから」

「へぇー、前に言った事と随分真逆の事を言うもんだね」

「何が!」

「おいおい、そんなカッカしなさんな。ほら、前に言ってたろ『事務仕事だって汗はかくのよ』って。今、お前が言った通りの事を俺が言った時にな」

「……………」

「まっ、どーでも良いけどね』

「…によ…」

「はぁ?何だって?」

「分かったわよ!入れば良いんでしょ?入れば!」

「どーぞ御勝手に」

妻はそう言うと、恐ろしいくらい引きつった顔で私を睨み、派手にドアを閉めて出て行きました。

「なーにが『汗かかなかった』だ。かきすぎてもう入ったから必要ないんだろうが」

恐らく妻は、空いた時間に汗をかきに行き、その場で汗を流したのでしょう…誰とかは言わずとも。
しかし、ちょっとやり過ぎたかな…とも思いました。が、せめて今日1日はだけは1人で居たいのです。そう、色んな事があり過ぎました。今日1日で4、5歳は確実に老けたでしょう。
(嘆くのは今日だけにしよう…明日からは…明日からは)
いつの間にか出ていた涙を拭う事なく眠りにつきました。

そう…明日から、【戦争】が始まるんですから。

私は多分、妻が私を裏切り、不貞を働いたとしても許したと思います。
当然、怒りを表にし、罵倒し、時には手を挙げるかもしれません。
でも、私の中に【果歩】と言うある種【絶対的存在】が残っている限りはそれこそエンドレスに許すでしょう。

しかし、その危うい均衡は、【隆】と言う【絶対無二】の存在があってこそ成り立ちます。
妻達は、私が築いた【防衛線】=【家庭】を無惨なまでに破壊しました。

私は、出来る事から始めます。


翌日

仕事帰りに興信所に寄りました。
タ〇ンページて一番広告が大きかった所へ電話をして、3日間の調査を依頼しました。
それは、木村さんの出勤日です。午前10時から午後3時までの5時間。
興信所の人に、『ピンポイントで動ければそれだけ経費がかからないので安心して下さい』と言われて少し複雑な気分になりました。

(見ず知らずの人にお金の心配までされるなんて…あの人に俺はさぞ気の毒に見えたんだろうな…)

しなくてもいい苦労をし、しなくてもいい心労まで…自分が惨めになります。

その怒りの矛先は、当たり前のようにあの2人に向けられます。

(簡単には終わらせない…出来る事は全部やってやる!)

そう誓い、私は家路につきました。

それからの一週間は、地獄の日々でした。ふとした時に怒りが込み上げ、妻を殴り飛ばしたい衝動に駆られるのです。

(我慢 我慢 我慢)

そう自分に何度言い聞かせて来たでしょうか。

妻の態度も相変わらずでした。必要最低限の会話、目も合わせない、まあ、こちらも変わりない感じでした…ところが、調査最終日の夜、妻の態度に変化がありました。

  1. 2014/11/08(土) 01:24:23|
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黒か白か… 第12回

その日の夜、興信所からの連絡で、翌日の正午までに調査結果をまとめて渡すと報告がありました。
私は『昼一番で伺います』と答えました。
明日は、午後から仕事を休まなければならないようです。

-やっとハッキリする-

これまでの苦しみが報われるのか、それとも、新しい苦しみに見舞われるのか… それはわかりません。
しかし、何にしろ【一歩】になるのです。再構築か別れかの。

何れにしろ、今日までは我慢です。(早く隆の顔が見たいな…)そう思い、玄関を開けました。

「隆ぃ~、ただいまぁ」

そう呼べばあの天使が最高の笑顔で迎えてくれる…その筈でした。が、現れたのは、私が今最も顔を見たくない妻でした。

「…お帰りなさい」

予想に反し、迎えに出て来た妻は、最近までの冷たい感じではなく、何か恭しい感じでした。

「………」

私は、そんな妻を無視してリビングへ。しかし、すぐに違和感に気付きます。

「おい!隆は、隆はどうした!」

何時もリビングでアニメのカード?かなんかで遊んでいる隆がいません。

「…隆は、美樹さんの所にいるわ」

「はぁ?何で美樹の所に居るんだよ」

※美樹は、私の実妹で、隣町に結婚して住んでます※

「あなたとゆっくり話がしたかったから…」

「はなし?フン、何の話があるんだよ…今更」

‘今更’と言う私の言葉に妻の顔が青ざめます。
この時点では、私は何も言ってません。ずっと無視してましたから。
なので妻がどのタイミングで突っ張ってる場合じゃないと気付いたのかは知りません。知りたくもない。

「ご、ごめんなさい、私、まさかこんな事に…あなたが…こんなに怒ってるなんて…」

「怒る?勘違いしてるぞ。別に俺は怒っちゃいないし」

妻の顔が一瞬にして明るくなりましたが私の次の言葉で更に青ざめます。

「怒りなんてものはある程度感情(相手に対して)があって初めて意味があるけどな。ない相手にはそれこそ意味がない。そう言う事だ」

「そんな事言わないで!ねえ、謝るから!もうあんな態度、取ったりしないからぁ…」

最後は泣き声でした。しかし今の私にはその行為にも疑いの目で見ています。今この場を取り繕う為に打算で泣いていると。そんな事を疑うような夫婦になってしまいました。

「まぁ、どっちにしても明日だな」

「…明日?」

「そう。明日全部聞くよ。許す許さないは明日お前と話してから決めるよ。その代わり言っておく」

妻は泣き腫らした目を私に向けています。

「嘘はつかない方がいいぞ……終わるからな!」

私はそれだけを告げ、床に崩れ落ちる妻を残してリビングを後にしました。
  1. 2014/11/08(土) 01:26:44|
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黒か白か… 第13回

翌日、隣を見ると妻が居ません。
どうやら、昨日はあのまま寝室に来ず夜を明かしたようです。


今日は、午前中にある程度仕事を片付けなければなりません。少し早いですが会社に行き、仕事の段取りをしておかなければいけません。

出勤の準備をし部屋を出ると、息子の部屋から妻が出て来ました。

「あ、あなた…もう出るのですか?」

昨日と同じ服の妻は、無視して玄関に向かう私を見ると、慌てて後をついてきます。

「ごめんなさい…朝食も用意しなくて」

「今に始まった事じゃない。最近は作ってもくれなかったのにどういう風の吹き回しだ?」

嫌みを込めて返答します。妻は、一瞬キッと顔を強ばらしましたが、ここでキレたら状況が益々悪くなると思ったのでしょう、すぐに申し訳なさそうな顔をしました。

「それは…反省しています。私もあなたに腹がたっていたから意地になってしまいました…でも、、、でもね、やっぱりこんな状態は良くないと思ったの。隆にも私達2人にも…」

「……………」

開いた口が塞がらないとはこの事でしょうか?この時確信しましまた。妻の態度の変化は、私が浮気を疑っていると気付いてのものと思いましたが、彼女の様子から察するにそうでないと感じました。となると、妻は本気で最近の自分の態度が原因と思い込んでる事になります。
妻からすれば、あの事件は棚からぼた餅状態だったのでしょう。英夫との事をどう説明すればバレずに済むか。不安でたまらない時に、私が見事に自爆してしまい、それが思いもよらず優位に立つ結果になった。この状態を利用しない手はありません。
私には、『夫にあらぬ疑いをかけられた悲劇の妻』を演じ、責めて、英夫との事を二度と口に出さなくなるぐらい態度を硬化させ、思い通りに行った後で、私を許すように持って行く…はずだった。

ところが、ここで妻の思惑とは違った展開になる。
私が態度を急変させたからです。
妻は焦ったでしょう、泣かないまでもひたすら謝り、許してもらうまで下手に出ると思っていた…それが、私の性格では考えられない結果に。
そりゃそうです、私は少しも納得なんかしておらず、妻と英夫の件を忘れてなどいなかったのですから。
このままでは最悪の展開になってしまう。私の想像ですが、離婚までは望んではいない。でもこのままじゃあそうなるかもしれない…となれば、妻が取る行動は一つしかありません。

(なるほどね…飽くまでも隠し続けるつもりか…)

妻の思惑を悟った私は、呆れと寂しさが込み上げてきました。

「果歩の気持ちはよく分かった…ただ、今この話を続けるつもりはない。昨日言った通り帰ってから結論は出す。いいな?」

「分かりました」

その時、妻がニヤリとしたのを見逃しませんでした。

私は「行ってくる」とだけ言い残し会社に向かいました。

車に乗り込み発進させます。

最後に見せた妻のあの笑いを思い出して思わず口が出ます。

「フン、果歩、俺を甘く見たな。これ以上お前のホームで踊らされてたまるか。これからは俺のホームで踊ってもらう」

今夜の展開を想像アしながら、クセルを踏み込み会社へ急ぎました。
  1. 2014/11/08(土) 01:30:14|
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黒か白か… 第14回

緊張の面持ちで報告を今か今かと待ち続けます。

時刻は、午後14時

この後に受けるであろう衝撃に、耐えゆる準備は何日も前からしてきてはいる。大丈夫、大丈夫だ…
すると、私の目の前に担当の調査員が2人現れました。

「松田さん、調査を担当しました、神田と樋口です」

「あ、どうも」

神田と言う中年の男性は、20代そこそこの可愛らしい女性を引き連れていました。私は立ち上がり、握手で挨拶をすると、神田が着席を促します。

「早速ですが、今回の調査を報告します。今回の調査は松田さんの希望であった、月曜日、水曜日、金曜日の午前10時から午後15時の5時間の調査でした。調査員の人員は、樋口を含む4人体制で調査致しました。それでは、月曜日から順に説明します」

そう言うと、神田は私の前に数枚の紙を差し出し、指を当てながら説明を始めました。

「では時系列にして説明します。まず、午前9時47分、事務員の方が出社しました。それから5分も経たない午前9時51分に奥様は事務所を出ました。それがこの写真です」

写真には、いつも事務所で着ている制服姿で 出て行く妻が写されていました。遠目からの撮影なので確信は持てませんが心なしか化粧をしている気がします。(妻は普段はノーメーク)

「 それから車に乗り込み、市内のスーパーに入りました。時間が、午前10時6分、出て来たのが、それから約15分後の午前10時19分です」

その写真もありました。そのスーパーはよく知ってます。私達の家からもそう遠くない距離にある事から、よく家族3人で買い物に来ていましたから。
写真の妻は、買い物袋を下げて店から出て来ていました。

「スーパーを出た後、奥様は駅方面に車を走らせました。駅で誰か乗せるのかと警戒したんですがそうではなく、奥様は周辺にある住宅街に入りました。そして、午前10時31分、この家に入って行きました」

写真には、二階建てで小さな車庫のついている家に入って行く妻が写されていました。

「奥様は、帰るまでの午後14時35分までこの家に滞在していました。途中、帰る前の午後14時7分に洗濯物を干しにベランダに出て来ました…この写真ですね… それ以外は表に姿を表しませんでした」

その写真を見た時、私は強い衝撃を受けました。妻は、Gパンこそ自分が着てきた物の様ですが、頭にはタオルを巻き、ダブダブの男物のTシャツ姿で洗濯物を干しいるのです。
私が、唖然としてその写真を見つめていたのに気付いた神田が、ゆっくりと話し始めました。

「奥様が滞在していた家の世帯主は、松田さんの仰っていた通り、沢木英夫です。年齢は42歳。家族構成は、19歳の息子が一人だけ。奥さんとは、去年離婚されたようです」

「…………」

「松田さん?」

「えっ?、ああ、すいません…去年離婚って、原因は?」

「すいません、その事については、情報が錯綜してまして、ハッキリは言えません…が、どうやら沢木の浮気が原因の様ですね」

「それって、まさか…うちの家内ですか?」

「すいません…そこまでは…」

私は、混乱していました。もしも、離婚の原因が妻との事なら、私達だけの問題ではなくなります。それどころか、相手は既に離婚しているのです。英夫に対しては怒りや憎しみしかないありませんが、奥さんには言い尽くせない謝負の念が沸いてきます。

「すみません…少しタバコを吸って来てもよろしいですか」

この状況に耐えられなくなった私が、休憩をお願いすると、私の顔をジッと見ていた神田は快く承知してくれました。

来た時より何倍も重くなった体を起こし、ノロノロと部屋を出て行きました。
  1. 2014/11/08(土) 01:31:13|
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黒か白か… 第15回

非常階段に出た私はタバコを吸うでもなく、ただ痴呆者のごとく呆けていた。

分かっていた事とは言え、想像を絶する破壊力に、ただただ何もかもを投げ出したい気分にさえなっていた。

ベランダに服を干している妻の写真。あれを見た時、体の力が一気に抜けた。あの姿は…頭にタオルを巻くあの姿は、風呂上がりにいつも妻がしている格好だ。

確かに、ハッキリと体の関係を示す証拠にはならないかもしれない。しかし、それを言えるのは、妻をずっと見て来た私以外の人間だろう。
あんな短時間で風呂に入らなければならない理由を考えれば自ずと答えは出る。
家に入った妻に英夫が口づけで迎える。靴も脱ぎきらない妻は、それでも英夫に身を任せ舌と舌を情熱的に交わらせる。その内、キスに弱い妻は欲情した目で英夫を見上げ、こう言う筈だ、『他の所にもキスして』と。夫婦の寝室で私に言ったあの口で…

「クソっ!」

今まで絶望の淵に居た私は、2人のやり取りを想像した事で覚醒した。怒り…憎悪…そして、殺意。それらの感情が、全てを投げ出し、廃人になりかけた私を蘇らせたのです。

(まだだ…まだ、足りない…あいつらを地獄の底に落とすには、まだ情報が足りない)




「すみません、時間を取らせてしまって」

出て行った時に見た抜け殻の私ではなく、声に張りがあり、生気を漲らせた目で自分達の前に現れた依頼主に、調査員の2人は一瞬、別人ではないかと顔を見合わせた。それは、半分正解で半分不正解。

「いえ…どうやら気分転換になった様で安心しました」

神田は、力無く出て行った私を見た時、今日の報告は止めて後日、日を改めてしようと思っていたそうだ。パートナーの裏切りを目の当たりにした人間は、自棄になって犯罪を犯す事が多々あるそうで、さっきの私が良い例だったらしく、あの状態が一番そう成りやすいらしい。さすがに鋭い観察力だと思います。
確かにあの時、私の脳裏には『あの2人を殺して私も…』と言うのが一瞬よぎりました。しかし、そんな私を正気に戻したのは、たった1人の私の宝物。隆でした。(妻を殺して私も死ねば、隆は1人ぼっちになってしまう…いや、私だけ生きてたとしても、隆が犯罪者の息子になってしまうじゃないか!あの子に、そんな十字架を背負わす訳にはいかない!親のゴタゴタで、幼いあの子を苦しませては)
その事が、私を犯罪者の道から連れ戻してくれたのです。それに、あの2人には生き地獄を味あわせる方が一番です。

私の思惑を勘違いしている神田に先程の続きをお願いし、それに頷いた彼は調査報告を再開しました。

「では、次は水曜日の調査報告です…」

神田の報告内容は、月曜日と変わりはなく、違う事があるとすれば、その日、英夫の家に入った妻が帰るまで表に姿を見せなかった事くらいでした。

「ん?」

ある違和感に気付いた私は、手元にある報告書に手を伸ばし、これまで2日間の調査結果の記述を読み直し、ある重大な事に気付きました。

「気付かれましたか?」

「はい…どう言う事ですか?」

「そうですね…先程の報告でも分かる通り、奥様が沢木英夫の自宅に行ったのは間違いありません。我々も、初日は奥様の尾行に専念した為、沢木本人は家に居るものと思い、沢木には尾行をつけていませんでした。しかし、」

そう言うと、神田はもう一枚の紙を取り出しました。

「奥様が帰られた後、樋口達2人には引き続き奥様の尾行についてもらい、残りの私らは沢木が家から出て来るのを待っていました。しかし、沢木は1時間経ってもなかなか出て来なかったんです。報告書にも書いてある通り、沢木は(すみません。この部分が前回抜けていました)1人で小さな自動車販売店を経営しています。従業員を雇っていない沢木が、午前中の早い時間からこんなに長く会社を空けるのは考えられません。もしかして、今日はこのまま出社しないのかと思っていた時です、沢木の家の前にシルバーのBMWが止まりました。えー、時間が15時49分です。その時の写真がこちらです」

神田に見せられた写真には、営業マン風の中年男性が車から降りている所でした。歳は、私と同じ位かやや年上ぐらいでしょうか?白髪交じりの短髪にメガネをかけていました。

「この男性は?」

「………」

「????」

「その男性は…家に入ると、2 3分で出て来ました…恐らく、忘れ物でも取りに来たんでしょう」

「忘れ物って…???すみません、もっとハッキリ言って下さい!」

「初めに言った通り、この家には沢木と息子の2人しか住んでいません」

「それはさっき聞きました!そうじゃなくて私が聞きたいのは……」

「沢木です!、沢木英夫本人です」

「へっ?」

「前調査で、写真を撮って何回もミーティングで見たので間違いありません」

「な、何を言ってるんだ?彼が沢木英夫の筈がないだろう。だって、だって言ってたじゃないか!あなた方は沢木が出て来るのを待ってたって」

「その通りです」

「おい、あんた!私をからかっているのか?なら説明してくれ!車の男が沢木なら、妻の…妻の相手は誰だって言うんだ!」

「フン!どうだ?、居るわけ無いだろう」

「居ますよ1人だけ」

「ハア?」

「居るじゃないですか、この家にはもう1人」
  1. 2014/11/08(土) 01:32:12|
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黒か白か… 第16回

「あと1人…って、えっ!?ま、まさか!」

神田は、気の毒そうな目を私に向け、静かに頷きました。

「し、しかし、いくらなんでも飛躍し過ぎじゃないですか?相手は19ですよ!果歩だってそれ位の常識は持ち合わせてるはずです!そうだ…そんな事…そんな恐ろしい事を…する訳が…」

頭の中はぐちゃぐちゃです。いくら何でも現実的ではありません。(いや、そうでもないのか?歳が19と言っても男は男、浮気するのに問題はないのか?いいや違う、問題大ありだ!問題は大いにある…が、本当にそうなのか?証拠は?)

「そうまで言うのなら、私を納得させる証拠があるんですか?」

一縷の望みを託し訪ねました。すると、神田が静かに話し始めました。

「最終日の調査報告です。最終日の金曜、奥様は沢木邸には向かわず、駅前のファミレスに向かいました。時間が10時13分。デ〇-ズに入って10分後、この写真です、男が入店し奥様の席に着きました。直ぐに樋口と私も中に入り、2人の席の隣に着き、会話の録音を始めました」

写真には、帽子を斜めにかぶり、ダボダボのTシャツにダボダボのパンツ姿、耳と口には丸いリングのピアスをした若者が、ニヤニヤしながら席に着く姿が写っていました。目の前の妻とはおおよそ似合わない組み合わせに胸やけがしてきました。

(な、何なんだこのガキは!こんな奴が…こんな奴と…)ムカムカと、胃の中の物が逆流しそうになるのを耐え、神田に訪ねます。

「録音って言いましたよね?聞かせてもらえますか?」

「松田さん、顔色が悪い。今日はここまでにしてまた後日にでも…」

「いいんです!かまいませんから、聞かせて下さい!」

いきなり大声を出し、感情的な私に神田は、止められないと諦めたのでしょう、ポケットから録音機を出しました。

「あなたは依頼主ですから聞きたいと仰れば、私達はそれを止めはしません。しかし、この録音には、あなたが不快に思う様な事が多々あります。それでも宜しいですね?」

私を真っ直ぐに見つめる神田の顔には、【覚悟しなさい】と書いてあるかの様でした。私に迷いはありません。これを聞いた後、私はおかしくなるかも知れません。例え、そうであっても、もう止まる事など出来ないんです。

「覚悟はできてます」

私の言葉を聞いた神田は、静かに頷き、再生ボタンを押しました。



『…があるの』

初めに聞こえたのは妻の声でした。

『ん?何よ話ってさ』
次に聞こえたのは、若い軽薄そうな男の声、それだけで頭の血管が何本か飛びそうでした。

『あのね…今日はあっちゃんに大事な話があるの…』

(あっちゃん?それがこのガキの名前か。にしても30ヅラ下げたいい大人があっちゃんだぁ~舐めやがって!)

『大事な話?何、妊娠でもした?』

(に、妊娠!お、おい、まさか…)

『ち、違うわよ!妊娠なんかする訳ないじゃない!』

『はは、そりゃそうだよな、いくら毎回中に出してるからってピル飲んでんもんね』

『もう、真面目に聞いてよ』

『ははは、悪い悪い、んで何なの?』

短いやり取りですがとんでもない会話です。妻が中出しを許している。ピルを飲んでいる。最悪の事実です。避妊に気をつけているとは言え、ここまでガキの為にしているなんて。
『あのね、あの、ゴメンナサイ!別れよう』

『…またかよ』

『やっぱりね、こんな事しちゃだめだよ…もう…無理』

『ハァ、あんさー前もこの話になって揉めて…結局元に戻ったじゃん。果歩さんさぁ、言ったじゃん。ずっと一緒にいたいって。俺が、来年大学受かったら旦那と別れてくれるって。何、あれは嘘?』

『そ、それは…あの時は私も、その、ボーと…してたから』

『イった後だから、あの話は無効だとでも言うのかよ!ったく、これだから女は嫌なんだよ!アンタもお袋と一緒だな!嘘吐きの淫売だ!』

『ち、違うわ、お母様そんな人じゃないわ。ね、ねえ、あっちゃん?私は何言われても仕方ないけど、お母様の事をそんな風に言わないで…』

『何だ?罪悪感かよ。そりゃあそうだよな。自分のせいで親父達が離婚したんだもんなぁ、そう思っても仕方ないか』

『…………』

『でもさ、何で果歩さんが罪悪感なんか持つ訳?だって、親父とは何もなかったんでしょ?それにさぁ、前にも話したと思うけど、お袋だって影で男と会ってたんだぜ。今じゃあ、その男と大っぴらに会ってやがる…親父は知らないみたいだけどな』

『でも…私が、英夫さんに甘えてたから…会って色々相談に乗って貰ってたから…誤解とは言え、私のせいでお母様には嫌な思いもさせてしまったから…』

『フン、まぁ、そのお陰で果歩さんとこうゆー関係になれたからな…それには感謝してるけどね』
  1. 2014/11/08(土) 01:33:23|
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黒か白か… 第17回

『…………』

『あれ?思い出しちゃった?ハハ、あん時はマジ必死だったもんね、、果歩さんってば』

『それは…あなたが英夫さんとお母様を殺してやるなんて言うもんだから…』

『だから?』

『……………』

『ねえ果歩さん?確かに誘ったのは俺だよ。ちょっと脅迫っぽい言い方だったかもしれない。でもさぁ、選んだのは果歩さんなんだぜ?』

『そ、それは…』

『「私に出来る事ならどんな償いもします」そう言ったあんたに、俺は素直に欲望を口にした…あんたはそれを受け入れた。ただそれだけださ』

『…そうね…うん…確かにあなたの言う通り、受け入れたのは私。確かにその通りだわ。けど、やっぱり間違ってるわ、こんな事』

『間違ってる?』

『ええ、私には、大事家族がいるの。これ以上は欺けない…いいえ、欺きたくないの。このままじゃあ、私は愛する家族を失ってしまうの!』

最後の方は、力強く私達を失いたくないと言い放った妻ですが、私には『何を今更言ってんだ』って感じでした。

『そう。欺きたくないねぇ…』

『だから、、もう、敦也君とは会わないわ』

【敦也】これがクソガキの名前のようです。別れを決めた妻の決意が【あっちゃん】と呼ばない所に現れています。が、それと同時に、私には妻の…いや、女のしたたかさを感じずにはいれません。

『へぇー、今度は本気なんだ』

『……ごめんなさい』

『ねえ、ひとつ聞いても良い?』

『何?』

『またどうして急に別れようと思ったわけ?』

『えっ、そ、それは…』

『確かに、ここ最近の果歩さんってば思い詰めた顔したりする事がたまにあったけど。何?ホモ亭主に感づかれた?』

(ホモ亭主?このガキ、普段俺の事をそう呼んでやがるのか!)

『止めてよ、ホモ亭主だなんて!』

『あれれ?おかしな事言うね。果歩さんじゃん、最初に言ったのは』

(何だって!!果歩が言ったのか!ホモ亭主だと、、ふざけやがって!)

『ちょ、ちょっと、そんな事言ってないわよあたし!』

『忘れたの?イク前になると色々叫ぶんだよねぇ~果歩さんは』

『…………』

『途中で止めるとさぁ、髪振り乱して叫ぶんだよね』

『…やめて…』

『続きは旦那とやればって言った時だよね、顔なんか真っ赤になりながら「ホモ亭主はあたしに興味なんかないのー!」とか「短小チンポはいらない!あっちゃんのがいい!」って言っちゃってさぁ』
『イヤ!もう止めてよ』

『何がさ?ホントの事じゃん、まさか忘れたとは言わさないぜ』

『だ、だから、あの時は私も…どうかしてたの…本音じゃないわ…あんな状況、普通じゃなかったもの』

『言い訳だね!』

『違うわ!』

『そうかよ…なら聞くぜ!本音じゃないって言うけど、自分で矛盾してると思わない?』

『どう言う事?』

『俺が言わせたわけじゃないって事さ』

『…意味が分からない』

『人間は思ってもいない事や考えてもいない事を口には出さないもんだよ、果歩さん?』

『…………』

『どうしたの?言い返せば?』

『…………』

妻は言い返しません。いや、言い返せないのです。悔しいけど、このクソガキの言う事も一理あると私も思います。
私は不能者じゃありますん。ましてやホモでもありません。確かにここ何年かはひと月にHなしの時もあります。しかし、これには理由があります。妻が嫌がるからです。
拒否までは行きません、言えば応じます。でも、明らかに゛仕方なく応じてる゛様な感じなんです。口には出しませんがそうなんです。私も最初はそれでもしてました。始まれば妻も感じてくれたし。しかし、終わって後処理をしている妻は、大きく溜め息を吐くと一言もなしに私に背を向け眠りにつきます。私は、情けなくなりました。惨めさに打ちのめされたのです。一時期は、離婚すら考えました。しかし、夫婦生活にSEXが大事だと言っても全てではありません。普段の妻は、仕事に家事・育児と大変な思いもしています。それなのに、一言も愚痴を言わず一生懸命な妻を、私は尊敬し愛していました。
Hには淡白な妻に、私なりに気を使っていたのです。それなのに、まさかあんな風に言うなんて…

『まあいいや』

クソガキの言葉で思考が戻りました。

『別れてもいいよ』

『本当?』

『うん。俺だって馬鹿じゃないよ(笑)このまま引き止めて楽しみたい所だけど…ホモ亭主にバレて、慰謝料なんか請求されたらたまんないからね』

『そんな…あの人は気付いてないわ…まだ…』

『えぇ!そうなの?じゃあ別に別れなくったっていいじゃん!』

『゛まだ゛って言ったでしょう(笑)もう、しょうがない子ね』

『じゃあ何で別れるのさ?旦那は【親父】の事を疑ってたんだろ?』

『うん…その誤解は解けたんだけど…ね』

『何?歯切れが悪いよ、果歩さん?』

『疑われたのがショックでね、ちょっと…その…怒っちゃったの、私』

『マジ?うっわあーヒデェ女!自分の事棚に上げて逆ギレした訳?』

『もうー、私だって反省してるんだから、傷口に塩を塗るような言い方はよして!』

『悪ぃ悪ぃ(笑)それで?』

『浮気の事は大丈夫なんだけと、私の態度の悪さに爆発しちゃったの』

『なーんだ、なら…』

『いいえ!あなたが思ってる程あの人は馬鹿じゃないの!このまま続けていれはいずれバレてしまうわ』

『そうか…』

クソガキの声に萎れしさが見えます。
(クソガキめ、いい気味だ!果歩の奴も少しはこの状況の深刻さが分かってるみたいだな。許しはしないが)妻が少しは反省している事に幾分ホットしたのもつかの間、次の言葉で妻が反省などしていない事を知ります。

『だから、暫くはあの人に疑われ事はしたくないのよ』

これを聞いて分かりました。彼女は反省などしていない。ほとぼりが冷めるまで【振り】をして待つつもりなのです。私を゛馬鹿ではない゛と言った妻が、一番私の事を゛馬鹿゛だと思っているのです。
『そう、分かったよ。バレて破滅は勘弁だから…頑張って旦那のご機嫌伺いしてよ』

『ありがとう、あっちゃん…』

『んで、あのアホ亭主が忘れたらまた会ってよ?』

『ダーメ!』

『へへ、いーや絶対会うぞ(笑)』

『そうね…フフ、考えとくわ(笑)』

『絶対だぞ!絶対!』

『ハイハイ(笑)もう行くね…』

『あっ、家まで送ってよ』



ピッ

「以上です」

レコーダーの停止音と神田の野太い声で地獄のヒアリングは終わりました。

  1. 2014/11/08(土) 01:35:36|
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黒か白か… 第18回

「お待たせしました」

目の前に現れた中年の美女はそう言って席に着きました。

「すみません、突然お呼びだてしてしまって」

「いいえ、私も気になっていましたから…」

あの後、興信所を出た私は協力してもらった木村さんに電話を入れ、これまでの経緯を話す事ともう一つ、大事なお願いをする為に市内の喫茶店に来てもらったのです。

「そうですか…身内の恥を晒すようで本来ならあなたに話す事ではないのでしょうけど…」

「お気になさらないで下さい。こういった事は誰彼構わず話せる事でない事は私も承知しております。少しでも社長がお気を鎮める事が出来るなら、私を役に立てて下さい。」

「すみません…いや、ありがとうごさいます。あなたにそう言ってもらえると助かります」

「いいえ、とんでもないです。それに、本当は野次馬根性がないとも言えないんです。いやなおばさんですね」

上品に笑うこの女性を見て、最近にはなかった暖かい感情が私の胸を熱くし、不覚にも涙がこぼれてきます。
そんな私を、彼女は優しく微笑みながらハンカチを渡し、「今までご苦労様。あなたは頑張ったのよ。もう自分を殺す必要はないの。」と言ってくれました。
人というのは不思議な生き物です。心に淀んでいた黒々とした負の感情が、その言葉で昇華される気分です。そしてそれは、一番言って欲しい人に言われたい言葉を、会って数回のよくお互いを知りもせぬ人に言われた事で余計に大きくなりました。
周りからすれば異様な光景だったでしょう。
中年カップルが向かい合い、男は号泣。片方の女性は慰めているんですから。

ひとしきり感情のまま泣き、落ち着きを取り戻した私は、木村さんに失態を詫び、今までの話を始めました。
木村さんは、終始無言で私の話を聞き、時折辛そうに顔を歪めながら最後まで黙って私の話を聞いていました。

「そうだったんですか…ごめんなさい、月並みの事しか言えませんが、大変でしたね…」

「ええ…」

「まさか、沢木さんの息子さんとだなんて…」

「ええ…」

「確かに、沢木さんが離婚した経緯は伺っていました。けれど沢木さんが原因だったなんて、、主人から聞いた話とは違っていたんですね…」
「ええ………???………えぇぇ!!どういう事ですか?あなたの旦那さんは何と聞いていたのですか?」

「はぁ? 主人からは沢木さんの奥様の浮気が原因と聞いておりましたもので」

どうゆう事何でしょう?私の聞いた話とは全く逆です…それが本当なら妻は彼と関係を持つ必要はない…どうなってるんだ

「その話はご主人から聞いたんですよね?」

「はい」

「木村さん!失礼を承知でお願いしたいのですが…一度、ご主人に会わせてはもらえないでしょうか?」

「え?はぁ、それはかまいませんが」

「都合の宜しい時で結構です。私はいつでも伺いますから」

「そうですか。それなら明日はどうですか?主人も休みですし」

「構いません。では明日、都合の宜しい時間に連絡下さい」

「わかりました。あ、主人には詳しい事は…」

「はい、出来れば何も言わずにお願いします」

これには、私なりにある考えがありました。木村さんのご主人が沢木と友人関係でいる以上、下手に沢木にとって不利な状況を見せれば、ご主人が沢木に連絡を取りかねないと思ったのです。依然、沢木の白が確定してはいないのです。変に口裏合わせなんかされたらたまりません。

「実は、木村さんにもう一つお願いがあるんですが」

そこで私は、木村さんに来てもらったもう一つの理由を木村さんに伝えました。
  1. 2014/11/08(土) 01:37:01|
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黒か白か… 第19回

木村さんと別れ、家に着いたのは、午後16時を過ぎた頃でした。妻はまだ仕事の時間なので当然家には居ません。定時に終わり真っ直ぐに帰れば18時頃には帰って来るはずです。
私は、冷蔵庫からビールを取り出しリビングのソファーに腰をおろして一口飲みます。これから自分の取るべき最良の選択をしなければいけない時ですが、酒の力を借りなければ私自身が非情に徹しきれないと思ったのです。
カバンをあさり中から、昼間興信所からもらった証拠の数々をテーブルの上に並べます。
改めてこれが現実だと痛感します。

(どうしてこうなっちまったんだろう…)

物事には必ず原因があるはずです。しかし、今の私には思い返してみてもそれが解らないのです。小さな喧嘩はありました。でも、どれも妻が浮気をするのには結びつかないような事ばかりです。塵も積もれば何とやらとゆう事何でしょうか?だとしたら納得出来ません。私だって同じなんです。抱える悩みは違っても、お互いを尊重し敬うのが夫婦だと私は考えます。それは、妻も同じだと思っていました。
それに妻は、人一倍浮気や不倫に嫌悪しているはずなのです。それは、妻の両親に起因します。
妻の両親は、妻が高校生の頃に離婚しました。原因は母親の不倫です。妻の父親、つまり私の義父は、そんな義母の裏切りを許せず追い出したと何時だったか二人で酒を飲んだ時に寂しそうに言っていました。詳しい事は言いませんでしたが、義父自身もう義母には恨みはないと言っていました。私は、そこに男と女の割り切れぬ感情を垣間見た思いでした。
しかし、妻は違いました。家庭では優しくいつも自分に笑顔をくれた存在が父を裏切り自分を裏切った。その憎しみは半端なものではなく、義母の話をするだけで不機嫌になりました。結婚式に呼ぶ事も頑なに拒み、呼ぶなら結婚しないとまで言い、いくら私と義父で説得しても聞き入れませんでした。結局は、式に招待する事が出来ずに義父を通して式のビデオを送ったのです。
不倫を題材にしたドラマは論外、浮気を肯定する輩が映るだけでテレビは消え、義母をなじる言葉を吐く。『いくら何でもそろそろ許せよ』と、何時までも頑なに恨み続ける妻が理解できませんでした。だけど本当は、愛していたから許せない、尊敬していたから憎む。妻も辛かったのでしょう。許したいのに心がそれに追いつかないのですから…

(今なら分かる。あの時の君の気持ちが。される立場にならないと分からないもんだ。まさか君からされるとは夢にも思わなかったけどな…)




「…なた…あなた…起きて下さい…あなた!」

「ん…んん? 」

目を開けるとそこには妻が立っていました。辺りはすっかり日が落ち、暗くなり始めていました。どうやら眠ってしまったようです。妻が心配そうに私を見ています。

「お酒飲んでいたんですか?」

「ああ…」

「お水を持ってきますね」

「いや、いい。そこに座れ」

果歩。もう終わらせようじゃないか。偽りの時間は。そう今日で…

  1. 2014/11/08(土) 01:38:11|
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黒か白か… 第20回

ソファーから起き上がり座り直すと妻が私の向かい側に腰を降ろします。
日が落ちたせいか妻の表情は読み取れません。暗くなり始めた部屋で電気もつけずに私は話し始めました。

「ここ最近の俺達の関係は酷かった。はっきり言ってその原因が私にあると思い辛かった」

「…………」

「だから俺は、お前に対して申し訳ない気持ちだったから来る日も来る日も謝罪した。お前に無視されようが罵倒されようがな。でも、それでも良かったんだ…俺の妄想でお前を傷つけてしまったのならそれも仕方がない事だから…」

「そ、そんな…いいのよ、もう…私も頑なだったし…反省してるわ」

「そう。お前は頑なだった。自分は疑われるような事をしておきながら説明すらしない有り様だ。そのおかげで俺も違和感に気付く事ができたよ」

「違和感?」

「なあ、そろそろ教えてくれないか?英夫の事を」

「な、何で今その話になるのよ!ひ、英夫さんは今関係ないでしょう?」

「関係ない?」

「だってそうでしょう?別に私が怒ってたのは英夫さんの事じゃなくてあなたの事なんだから!」

「なら聞こう。俺に対して何を怒っていたんだ?」

「そ、それは…あの…私が…いえ…そ、そうよ…そうだわ!私を信じなかったあなたに対してよ!」

「ふざけるな!!何一つ説明もしない!それを二言目には信じないだぁ?お前の脳は腐ってんじゃないのか!それに、思いっきり英夫が関係してるじゃないか!」

いきなりキレた私に驚いた妻は、全身をビクッと震わせ俯きます。

「ご、ごめんなさい…」

「悪いが今日は納得出来る答えを貰うぞ!謝罪は一切いらんぞ!」

小さくなり震え始める妻に私は冷たく言い放ちました。
  1. 2014/11/08(土) 01:41:23|
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黒か白か… 第21回

沈黙が完全に真っ暗になった部屋を包みます。
相変わらず妻は俯きその先に進もうとはせず黙りです。
恐らく頭を最大限に稼働させ言い訳を考えているのでしょう。
このままそれを聞き、穴を責めるのも悪くはありませんが私の方が限界でした。この雰囲気にイライラのピークを迎えた私は妻に再度告げます。

「何時まで黙り決め込むつもりだ?いい加減にしないと俺にも考えがあるぞ」

妻は顔を上げ訝しげに私を見ます。

「何もしゃべらない。それは【肯定】と俺は受け取る。果歩、離婚だ。今すぐ荷物をまとめて出て行け」

妻は弾かれたように表情を変えしゃべり出します。

「ちょっ、ちょっと待ってよ!離婚だなんてあんまりだわ!卑怯よ!」

「卑怯?何でだ?お前が認めたんじゃないか」

「何を認めたって言うのよ!私は何も認めてなんかいないわ」

身を乗り出し座卓に手をつき怒りの形相で私に反論します。
「何も語らず説明すらしないお前のその態度が浮気をしていたと認めてるんだよ」

私はことさら呆れた感じで言いました。浮気の事実は報告書を見せれば否が応でも認めざる得ません。しかし、そんな簡単にネタばらしなんて冗談じゃありません。私はもっと意地悪く追いつめたいのです。

「ち、違う!そんな事してない…浮気なんて…してないわ…」

「本当だな?間違いないな?今朝も言ったが嘘はやめとけよ。もしも嘘をついていたら離婚だぞ?」

「……嘘なんかついてないわ……」

一瞬間があり、ビクッとした後俯きながら妻は答えました。
「よし…じゃあ一つ一つ誤解を説いていこうじゃないか。まず何で英夫と隆がキャッチボールなんかするようになったんだ?おっと、黙りはやめとけよ。答えがなければ認めたもんとするからな」

妻は、顔を上げると私の顔を恨めしそうに見た後、逃げ場がないと悟ったのか、ようやく話し始めました。 妻の話を要約するとこうです。

― 英夫と果歩は果歩が高校生の時、果歩の学校に教育実習生として英夫が赴任した時に出会った。その頃の果歩は、母親の事で悩み落ち込んでいた時期で、周りを拒絶し荒れていた。そんな時、英夫だけが親身になり優しくしてくれ相談にも乗っていたそうだ。そんな英夫に果歩は少なからず好感を持ち段々と心を開き次第にそれは恋愛感情になった。だが、教育実習生とはいえ英夫は教師だ。果歩の気持ちを受け入れる事など出来るはずがないと思い、打ち明ける事なく英夫の実習期間は過ぎ英夫は去っていった。それからの数ヶ月、果歩は失恋の苦しみと心の支えを失った悲しみにくれたらしい。それでも月日が果歩を癒してくれたお陰で忘れる事が出来た。たまに思い出してもいい思い出だったと懐かしむ事も出来た。ところが去年の4月、英夫に偶然再会した。ライトをつけっぱなしにしたままスーパーに入った妻は、買い物が終わり戻って来た時にバッテリーがあがってしまった事に気付く。機会音痴の妻は焦ってしまい途方にくれている時、助けてくれたのが英夫だった。英夫は気付いていなかったが、妻はすぐに気付いたらしい。妻は嬉しさからすぐに自分の事を話した。『覚えてますか?』と。すると、英夫の方も覚えていたらしく、更に嬉しくなった妻はその場で携帯番号を交換し、後日ゆっくり話しましょうと言って別れた。それから、英夫と電話をちょくちょくする様になり、愚痴や相談なんかをしていたらしい。その会話の中で、隆が外で遊ばず家でゲームばかりしている事を言うと、昔息子が使っていたグローブがあるからプレゼントすると言ってくれた。果歩は素直に喜びお礼を言った。隆も、果歩と買い物の帰宅途中に偶然?英夫と会った事があるから一言お礼を言わせようと、電話にだしたら次の日にキャッチボールをする約束を隆とした。その約束通り、次の日にグローブを持ってきた英夫と隆はキャッチボールをした―


「…あなたに言えなかったのは…少し度か過ぎたとおもったからです…16年振りに会ってみて、恋愛感情がなくなったとは言っても、あなた以外の男性と連絡をとっていたから…何もないにしろあなたに余計な心配もさせたくなかった…ごめんなさい…私が浅はかでした」

「………………」

私は考えていました。
今私が持ってる証拠は、妻と英夫の息子の不倫関係を示すものです。がしかし、妻の話を聞いていて思ったの事があります

「じゃあ、英夫に恋愛感情は全くなく、浮気はしていないと言う事だな?」

妻は無言で答えます。

(ふーむ… いまいち納得できない…腑に落ちない…何かあるな…)

気になる事は多々ありますが証拠がなければ何とでも言えます。それなら仕方ない。核心部分をつき始めます。

「わかった。じゃあ次だが…」

立ち上がり蛍光灯の紐を引っ張ります

「何で俺に内緒で事務員を雇ってるんだ?」

暗闇から映し出された妻の顔は青ざめていて死人のようでした。
  1. 2014/11/08(土) 01:42:25|
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黒か白か… 第22回

明るくなった部屋とは対照的に、妻の顔は驚愕のせいか一層青白くなっていて、言葉も出ないのかパクパクとせわしなく口が動いていました。

「おいおい、そんなに驚く事はないだろう?お前が雇ったんじゃないか」

私は歪んだ笑顔になりながらからかう様に言います。

「は、はい!そうです」

「だよなー。いやいや、そこを素直に認めてくれるとこっちも助かるよ」

妻はすでに半泣き状態で、肩とは言わず全身に震えが移った模様。ブルブル震えながら視線が落ち着きません。

(さてと…少し痛ぶってやろうかな)

今や私の心中は、サディスティックな感情で支配されていました。妻の焦った顔や困った顔、泣きそうな顔を見ると心に澱んだ黒い物が昇華していく気分なのです。

ここ1ヶ月ちょいの仕打ちや、今日興信所で見せられた裏切りの数々で、私が受けた破壊的なまでの衝撃や傷に比べれば、半殺し…いや、全殺しでも足りないくらいです。ですが、そこはぐっと我慢します。

「い、いつから…」

やっとの思いで捻り出したその言葉は、私の声でかき消されます。

「木村淳子さん。彼女は優秀だ。さすがだな果歩。人を見る目があるの強みだからな。クク、お前は経営者の能力も高そうだ」

「いえ…私は…そんな…」

「だが―」

「………」

「何で雇ったんだ?」

「そ、それは…」

「しかも俺に無断で」

「あ、あの…え、えっと…その…」

「月・水・金曜日の空いた時間、お前はどこで何をしていた?」

「…………」

もう今の妻の姿には、普段の毅然とした態度が微塵もありませんでした。俯き、膝で重ねた手を見ながら握ったり開いたりを繰り返して落ち着きがありません。恐らく打開策を考えているのでしょう。時々探るような目で私をちらちら見ます。私がどこまで知ってるか、私の顔から探り出そうとしているのです。

「ん?どうした?俺の顔なんて見なくていいから答えてくれよ」

すると、妻は意を決したのか、顔を上げると私を見つめ、静かに喋り出しました。気付けば震えも止まっています。

「あなたの言う通りです。淳子さ…木村さんを雇いました」

「うん…で、何で?」

「会社を立ち上げて5年…私は一生懸命がむしゃらにやってきました。隆の育児になれない会社の仕事…本当に目が回るような日々だった…」
「…そうだ…な…」
これを言われると私も辛いです。果歩の言う通り、私自身彼女にはその事で感謝しても仕切れないほどの苦労や心労をかけました。
乳飲み子の隆をおぶったまま出勤して、なれない仕事をこなし家に帰る。家に帰っても家事や隆の面倒を見なければならない。相当のストレスだったと思います。しかし彼女は、そんな事おくびにも出さず、愚痴一つ吐く事もありませんでした。

私も、建ち上げた当時は会社を軌道に乗せるべく中々家に帰る事は出来ず県外を飛び回っていました。たまに帰っても自分の事しか考えず妻を労う余裕すらありませんでした。
その時の負い目からか、ようやく順調に回り出すと取り返すように妻を敬い、家事・育児を手伝いました。妻はいつも『あなたも疲れてるんだから家でぐらいは気を休めてゆっくりして下さい』と言ってくれました。自分だって大変なのに、私を気遣うのです。私はそんな彼女を嫁にもらった幸運に毎日感謝しました。

私は…妻の浮気がその当時なら、無条件で許したでしょう。
悲しみや怒りは当然あったでしょうが、それを上回る負い目が私にはあったからです。

  1. 2014/11/09(日) 08:57:56|
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黒か白か… 第23回

「自分の事は全て犠牲にして働き続けました…もちろん皮肉でも嫌味でもありません」

憑き物が取れたかのように話し続ける妻のその態度に、全てを話し、漸く反省の気持ちが現れたかと思ってました…が、

「木村さんの事は…すみません。昔御世話になった人で無碍に出来なくて…あなたにもちゃんと説明するつもりだったんですけど…きっかけが…」

やはり…やはり妻は反省などしてませんでした。
この期におよんでまだ偽ろうとしたのです。しかも平然と。
(もう駄目だ)と本心でそう思いました。そして、わずかに残っていた愛情が完全に消えました。

「木村さんだけ残して何処にいたんだ?」

「家に帰って掃除したり、街に出て買い物したりしてました」

「…………」

妻の返答は予想がついてました。いえ、知ってました。

私が木村さんと初めて会った翌日、焦った妻は予想通り木村さんに電話をしたそうです。
木村さんには事前に『私と会った事は内緒にしてくれ』と言ってあったのでその通りしてくれました。
ひとまず安心した妻は、漸くこの先こういったケースがあると気付いたのか、『実は主人には内緒で働いてもらってる。それがバレルと私が主人に怒られてしまう』と告白し、木村さんの良心を利用して上記のような事を打ち合わせしたのです。

木村さんと、密に連絡をとっていた私はその事を知ってました。

「英夫さんとの事は…行き過ぎた事をしてしまったと思います。ごめんなさい…」

妻はソファーから降り、カーペットの上で額を擦り付けて土下座しました。普通に見れば究極の謝罪表現も、その意がない事を知れば怒りと共に虚しさすら感じます。

「お前の言いたい事は分かった…果歩、顔を上げてくれ」

ゆっくりと上げたその顔は、反省の色や後悔の念が入り交じった縋るような顔でした。

「木村さんの事は怒ってないよ…」

妻は驚いた顔をしました。

「それに…これからも彼女には事務員として働いてもらおうとおもってる。せっかく優秀な人を君が雇ってくれたんだ、有り難く思ってるよ」

「そ、そんな…あなたにそう言ってもらえて私は…うれしい…」

妻の顔にはそれまでの悲壮感は欠片もなく、身を起こし、安心しきったのか笑顔です。が、私の次の言葉で妻は地獄へ落とされます。

「月水金と言わず毎日来てもらうことになった。だから果歩、お前はクビだ!」
「ど、どう言う事?」

一瞬にしてそれまでの笑顔が驚きと疑心で曇ります。

「どう言う事って…知ってるだろ?うちには事務員をもう1人雇う必要がない事は?」

「それなら普通淳子さんでしょ!」

「いやそれは違うな。優秀な人材を優先して雇うの経営者として当然の事だ…それにお前も忙しいだろ?」

「…ど、どう言う意味よ?」

「木村さんを雇ってまで会いたかったんだろ?【あっちゃん】に」
  1. 2014/11/09(日) 08:59:07|
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黒か白か… 第24回

妻の表情は、何とも形容しがたいものでした。【驚愕】、【恐怖】、【後悔】、【悲哀】、これらすべてが合わさったかの様で、時間が止まってしまったかのように告げられた時のままでピクリともしません。
まあ、今の私に妻の状態なんか全く興味の湧かない事。無視して淡々と話します。

「良かったな。これからは思う存分『あっちゃん』と乳繰り合えるぞ。なんてったて、煩わしっかった旦那と子供がいなくなるんだからな」

妻の目尻からは涙が零れ出しました。
さっきまでの死人の顔ではなく、どちらかと言えば無表情。しかし、妻は漸く気付いたのでしょう。もはや言い訳の出来るレベルの話ではない事が。【あっちゃん】の名が私の口から出た事で、頭の良い彼女は全てを悟ったのでしょう…『バレた』と。

今までの様に反論もせず、両手を床につき啜り泣く妻を見下ろし、私は引導を渡すべく追い討ちをかけます。

「取り敢えずお前には今日中にこの家から消えてもらう。英夫とあっちゃんの所でもどこでも実家でも好きな所に行けばいい。まあ、今の時間からだと実家は無理だろうから―」

私はテーブルの上に置いていたカバンから封筒を取り出し、それを妻の膝下に投げました。

「先月と今月分の給料で五十万ある。それだけあれば自分の行く末ぐらい決められるだろ?」

妻は投げつけられた封筒を握り締め、床に突っ伏したかと思うと先程までの啜り泣きではなく幼子の様に大声で号泣し出しました。

「ヒック…ごめんな… ヒック…さ…ヒッ…い…」
「これから離婚の話し合いもしなければならんから携帯だけは繋がるようにな」

「…ヒック…イヤ……デテ…イキタ…ウッ…ナイ……」

「それとお前の荷物だが…どうする?実家に送るか?それとも英夫等の家が良いか?」

今まで突っ伏して泣き叫んでいた妻が、突然起き上がり必死の形相で私の足に縋りつきました。

「違うの!!違うです!!か、彼とはそんな関係じゃないの!!」

「そんな関係じゃないのだぁ?じゃあどんな関係だよ?」

「そ、それは…その…」

「何だ!どうして即答できない!フンッ!なら俺が教えてやる、それはお前とあのガキが-」

『男と女の関係だからだ!!』と言おうとした私の声は妻の「違うんです!!」の声に遮られました。

「あなた…お願いです聞いて下さい…」
「……………」

私が黙ってるのを肯定と妻は取りました。

「あの子は…敦也君は、、、私の被害者なんです……」

そう切り出した妻の目には、いつ止まったのか既に涙はありませんでした。

「被害者?それはお前と英夫の事か?」
「はい…」

「じゃあやっぱり英夫と―」

「いいえ、英夫さんとは本当になんでもないんです」

「………全く意味が解らない……それが事実なら別に彼は被害者なんかじゃないじないか?」

「確かに…確かに、あなたの言う通り本来なら私がそこまで気に病む必要はないかも知れません。でも…理由はどうあれ私のワガママであの子は母親を無くしてしまったんです」

その時の私の脳裏には、昼間木村さんから聞いた沢木夫妻の離婚の理由が過ぎりましたが今更どうでもいい事だと無視しました…こんな大事なキーワードを…

「で、罪滅ぼしにと母親役をかって出たお前がどうして体の関係まで持つんだ?普通母親はそんな事しねぇぞ?」

「…………」

俯きながら淡々と話していた妻が私に顔を向け、何やら改めて確信したのか姿勢を正し真っ直ぐ私を見つめました。その顔には妙な決意が感じられます。

「そこまで知られていたんですね……あなた、どうしてそれを?」

私は、カバンの下敷きにしていたA4サイズの紙の束を妻に差し出します。妻は黙って受け取り、何枚かめくって見た後、納得したのか私に返しました。

「全部…知っていらしたのね…」

「…………」

私はそれには答えません。

「なら…それが全てです」

―バチーン!―

瞬間的に手が出てました。

「ざけんなコラ!もういい、出てけ!」
妻の髪を鷲掴み引きずり回して玄関口へ。

「嫌!い、痛い!」

そのままドアを開け外へ投げ出します。直ぐにドアを閉め鍵を掛けます。リビングにある妻のバックを取りに戻ると床にはさっき投げつけた封筒がありました。それをバックの中にいれ、その中から鍵束だけ抜いて再び玄関へ戻ります。
チェーンロックを掛け鍵を開けると、少し開いた隙間に啜り泣く妻が見えました。

「お前と言う人間に妻や母親の資格はない!失せろ!」

カバンと靴を投げつけてドアを閉めました。
  1. 2014/11/09(日) 09:00:22|
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黒か白か… 第25回

あれからどれくらいの時間が経ったのでしょうか。怖いくらいに静まり返ったリビングで1人茫然自失、抜け殻の様な状態でソファーに座り込み、妻を張った右手を眺めていました。
妻に手を上げたのが初めてなら女に上げたのも初めてで、私は自分で殴っておきながら酷くショックを受けていました。


(最低だ…理由はどうあれ手は上げるべきではなかった…最低だ…)


私が一番忌み嫌っている最も恥ずべき行為をした自分自身に嫌悪感を抱きます。
普段の自分なら絶対に手を出さなかったと思います。しかし、妻が発したあの言葉を聞いた瞬間目の前が真っ赤に染まり血が沸騰したかの様な錯覚を覚え、気付いた時には妻の頬を張っていました。
こんな事、今までありませんでした。自分がこんなに直情的な人間だったとは知りませんでした。
その一方で自分の行為を正当化する気持ちもあります。


(果歩の奴、まさかあんな開き直り方するなんて…あれじゃあ『殴って下さい』って言ってる様なもんだ。あんな女じゃなかったのに…いや、もしかしたら俺が知らないだけで元々そうゆう女だったのかもしれないな)


ジンジンと熱を発する右手をさすり後悔と怒りでグチャグチャになった思考を戻そうとしていた時、携帯電話が鳴りました。鞄から取り出し発信者の名前を見て首を傾げます。見覚えのない携帯番号。一体誰だ?


「はい…」

「………」

「もしもし?」


応答のない電話にイラついた私が電話を切ろう耳から離そうとした時でした。


「夜分遅くに申し訳ございせん。沢木と申します」
  1. 2014/11/09(日) 09:01:21|
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黒か白か… 第26回

携帯を耳にあてたまま固まってしまいました。電話の声は確かに《沢木》と名乗ったのです。
まさか奴から連絡が来るなんて思いもしませんでした。しかも、妻を追い出したこのタイミングです。当然の事ながら面食らいました。
そんな私を知ってか知らずか沢木はただ黙って私の出方をうかがっているようです。
その余裕めいた態度が、幸運にも私を現実に引き戻し怒りを思い出させ闘争心を呼び覚ませてくれました。


「沢木?あぁ、あの沢木さんか。妻が公私にわたってあなた達親子にはお世話になった様ですね」


「……………」


「それで?哀れな寝取られ亭主に何の御用ですか?」


嫌味を交え一気にまくし立てる私に、沢木はただ黙って聞いていました。そして漸く口を開きます。


「弁解の言葉もありません。息子が…敦也がした事は到底許される事ではないと承知しております。しかし、私は父親です。息子の行為の責任は、親である私が取らなければならないと思っています。もちろん、謝って済む問題ではない事を承知の上で謝罪させて下さい」


「……………」


「松田さん、この度は本当に申し訳有りませんでした」


沢木の声に嘘偽りがない様に感じました。子供の不始末を真剣に詫びる親の悲痛な気持ちが、電話越しとはいえ私の胸に響いてきたのです。正直、私の心中は複雑でした。沢木のあまりにも誠実な対応に、これ以上の嫌味や暴言は私自身の人間性を貶めて仕舞いそうだからです。
しかし、だからと言って『はいそうですか』と簡単に納得なんか出来ません。小さい男と言われようと、私が受けた屈辱をこんな形で終わらせる事など出来ないのです。


「謝罪など必要ない。許す気など更々ないんでね」


「い、いえ、しかし……」


「そもそも沢木さん、あなたに謝られる意味が解らないんですよ。子供子供とあなたは言いますが、19にもなれば、人として最低限の礼儀は解るはず…本人が直接目の前で謝罪するのが筋では?」


「はい。仰る通りです。もちろん、明日にでも敦也を連れて松田さんのお宅に伺わせてもらいます。ただその前にと思いまして…」


「そうですか。まあどちらにせよ彼とは会って話を着けるつもりだったんでね。構いませんよ。それなら明日の19時に来て下さい」


どっちにしろただでは済ますつもりは毛頭なかった私は、明日来るようにと言い、電話を切ろうとしました。
ところが、沢木の口から出た言葉で事態は一変しました。


「あの、松田さん?」


「まだ何か?」


「……………」


「切りますよ?」


「今から伺ってもよろしいでしょうか?」


「はぁ?何言って―」


「果歩さんと一緒に…」
  1. 2014/11/09(日) 09:03:42|
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黒か白か… 第27回

「果歩と一緒にって…果歩と一緒なんですか?」


考えるより先にその言葉が口から出ました。
確かに妻を追い出し、皮肉を込めて英夫の元に行けと言ったのは私です。が、まさか本当に行くとは思ってもいませんでした。
すると、沢木が慌てて否定しました。


「いえ、一緒ではないです。今は…」


「今は?…沢木さん、ハッキリ言ってくれませんと解らない。どっち何ですか?」


「あ、はい、すみません…実は2時間前に果歩さんから電話がありました。その時に会って話がしたいと言われ、駅前の喫茶店で会いました。」


妻と話し合いを始めた時間が確か19時頃。話し合いを始めて家を追い出すまで、大体約1時間。現在時刻は23時過ぎ。
つまり、家から出て3時間あまりの間に沢木と連絡を取り、会ったと言う事です。


「会って果歩と何を話したんですか?」


「…敦也と…敦也と男女の関係にあった…と…。」


バリトンボイスの低く響く声が、心なし辛そうに聞こえました。


「それではあなたは今日の今日まで知らなかったと言う事ですか?」


「はい…恥ずかしながら毎日顔を会わせてる息子の変化に全く…」


「それはおかしい!じゃああなたは……」


言いかけて止めました。疑問や腑に落ちない事だらけの説明ですが、電話で話すのではなく、直接会って話した方が早いし突っ込んだ話も出来ると思ったからです。
それに、果歩と2人を並べて話せば何かしら見えてくる筈…2人の仕草や表情を観察出来れば今までぼやけて見えなかった物がきっと。


「それで…今果歩は何処に?」


「喫茶店で待っててもらっています。」


「そうですか…分かりました。話を戻しますがどれくらいでウチへ来れますか?喫茶店へ私が行っても良いんですが、話の内容が内容なだけに話しをするならやっぱり家(うち)が良いと思うんです。」


「ご主人の仰るとおりです。ご自宅へは30分ほどで伺えると思います」


「ではお待ちしています」


電話を切った後、得体の知れない疲れがドッと沸いてきました。
話し合いをする前かりこれでは先が思いやられます。
それにしても理解できないのが妻です。
いくら感情的になって出た言葉だとしても、真に受けて本当に頼って行くとは……
どうやら、彼女は私程この事を重く受け止めてはいないんでは? 本気でそう思えてきました。
  1. 2014/11/09(日) 09:07:15|
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黒か白か… 第28回

去年のゴールデンウイーク、家族三人で行った時撮ったディズニーシーでの家族写真。親子仲良く寄り添い、これ以上ない幸せな笑顔をカメラは写し出していた。
あの幸せが嘘の様だ。…幸福と言う物はなんて壊れやすく不確かな物なんでしょうか?
写真立てを見つめながら、改めてこの酷い現実を思い知らされます。


(隆に…隆にはなんて説明すればいいのかな…)


小学校に上がったばかりの幼い息子には、我々夫婦の問題など全く関係のない話です。彼はこれから【母親】か【父親】を失い、悲しみに暮れ、深い傷を負うかも知れません。
それを考えただけで胸が痛みます。
あの子の為に我慢をし、表面だけでも仲の良い両親を演じてやるべきなのか真剣に考えます。


(俺さえ我慢すれば良いのだろうか?)


妻は、私が離婚を撤回し、この提案をすれば喜んで受け入れるでしょう。
その中に隠された私の想いなど考えもせず。
当然、はらわたが煮えくり返る程の怒りと嫌悪感で一杯です。が、それを選ぶ事であの子に幸せな平穏が約束されるならば…


(俺は喜んで犠牲になれる。いや、なってやる!)


私の中で一つの結論が出されようとしています。
私は、果歩の裏切り(敦也との事)を知った時、真っ先に離婚を決意しました。
しかしそれは、私個人だけを考えた自己中心的な考えだと言う事に気づきました。
私は、真っ先に考えてやらなくてはいけない【息子】の事を全く考えては居なかったからです。
私が考えていた事と言えば、私達夫婦の醜いいざこざを見せないように妹に預ける事と、隆の親権確保のみで肝心な隆の心まで考えが及びませんでした。皮肉にもそれを気付かせてくれたのは、幸せを疑わなかったあの家族写真だったのです。


(隆が成長してこの家から出て行く日までは耐えよう…これからは父親に専念すればいい。夫は……終わりだ)


隆の『巣立ちする日』は、私と妻の『巣立ち』にもなるでしょう。


いつの間にか持って見つめていた写真立てを元に戻そうとした時、突然、携帯に着信が入りました。
相手は思っていた通りの人です。


「…はい…はい…分かりました。今開けます」


電話を切り、ひとつため息を吐いた私は玄関のオートロックを解除し、2人を招き入れました。
  1. 2014/11/09(日) 09:08:50|
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黒か白か… 第29回

「どうぞお座り下さい…」


ほんの数時間前まで繰り広げられた修羅場に、今度は憎き小僧の父親でありまた、疑惑の男でもある男が涙で目を腫らした家内と並んで目の前にいる。


「この度は本当に取り返しのつかない事を息子が…」


そう言って立ち上がり、頭を深々と下げる沢木。
それを見た妻も慌てて続き、並んで頭を下げました。


「…聞いていた通りだな」


「は?」


顔を上げた2人は怪訝な顔で私を見ます。


「いや、聞きしに勝る仲の良さだ。こうやってるとどっちが夫婦が分かったもんじゃないな」


それを聞いた妻は慌てて距離を取りました。そう言う問題ではないのですがあえて追求はしません。


「まあいい…沢木さん、電話でも言った通りあなたからの謝罪なんて要らない。はっきり言って意味がない」


「い、いえ、しかし…」


「取りあえずそこに並んで突っ立てられても気分が悪いんで座って下さい」


沢木は何か言いたそうな顔でしたが促されるまま腰をおろしました。妻は私に言われたのを気にしたのか、沢木の隣ではなく床に正座しました。


「さて…沢木さん。何故私があなたとの話し合いに応じたかわかりますか?」


「話し合い…ですか?」


私の質問に沢木は困惑しています。妻もまた一緒でした。
それは多分、謝りに来た彼らは私に一方的に罵倒されるものと思っていたからでしょう。しかし、明らかに私にはそんな雰囲気がない。それどころか、話し合いをしようと言ってきている…困惑は当然かもしれません。


「そうです。さっきも言いましたがあなたから謝罪を受けた所で何の解決にもなりません。あなたが少しでも私の気を鎮めようとしている謝罪が逆に私の気を逆撫でする事になるのをお忘れなく」


「はい…わかりました」


沢木の同意を得た私は改めて沢木の顔を見ました。
  1. 2014/11/09(日) 09:10:05|
  2. 黒か白か…川越男
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黒か白か… 第30回

「失礼ですが、沢木さんお年は?」


「42です」


「そうですか…」


それを聞いた私は、テーブルの上に置いたままの興信所の報告書をとり沢木英夫の記述を読み確認します。


(なるほど。確かに42歳だ…となると、あれは果歩のついた嘘って事か…)


「あの…」


「何です?」


「私の年齢が何か?」


いきなり年を聞かれた事を訝しんでいるのでしょうか?それにしても一々うるさい男です。大きな溜め息を吐き出した私は沢木の問いに答えます


「以前…いや、今もそうですが、果歩の浮気相手はあなただと思っていました-」


「あ、あなた、沢木さんは-」


話し始めた矢先、妻が話に割って入ってきました。
私には、それが沢木を庇っている様に見え、一瞬で怒りのメーターが振り切れました。


「お前には聞いてない!黙ってろ!今度俺の話の腰を折ったら問答無用で叩き出す!いいな?」


「…はい…」


私のいきなりの変貌に、妻は怯え俯いてしまいました。それは沢木もそうで、妻から彼に視線を戻した時、明らかにさっきまでにはなかった緊張感が彼の顔には浮かんでいました。

「…話を戻します。どこまで話したか…そうそう、あなたが浮気相手だと思ってたんです。私の知らない所で子供にまで会っている」


「…………」


「あなたならどうです?疑いませんか?だから聞いたんです。最近頻繁に聞く【ヒデオ】は何者か?ってね」


「…………」


反論したいが私の話の腰を折るまいと躊躇しオロオロしている妻とは対照的に、沢木は顔色一つ変えません。


(何だ?反応がないな)


沢木の反応のなさに不満を感じつつ話を続けます。


「その時言ったんですよ、『英夫さんは高校の時の先輩です』ってね」


その時、話の最中全く反応がなかった沢木に初めて変化が見えました。
驚いた顔をして果歩の方に振り向きます。


「果歩ちゃん、先輩なんて嘘を何で…」


驚いた顔と言うより悲しい顔で果歩を見る沢木。明らかに狼狽しシドロモドロの果歩。その2人を困惑顔で私は見ていました。


(何で沢木はあんな顔するんだ?果歩の嘘がそんなに気になる事なのか?それに、果歩のあの慌て振り…)


何かあると睨んだ私は妻に、


「そうだ、何で先輩なんて嘘をついたんだ?さっきはハッキリ『学生時代の先生』って言ってたのに…俺には嘘をついた意味が分からない」


すると妻は、私と沢木を交互に見た後、逃げられないと分かったのか、俯きながら話し始めました。
  1. 2014/11/09(日) 09:11:41|
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黒か白か… 第31回

「沢木さんを先輩なんて言った事に……意味はありません」


伏し目がちに妻は喋り出しました。


「意味はない?おいおい…果歩、お前、自分の言ってる意味解ってるのか?」


妻は私の言葉の意味を理解していないらしく顔に?マークが浮かんでいました。
沢木の方は妻の矛盾に気がついたらしく、複雑な顔をしています。


そこで私はあえて沢木に話を振りました。


「沢木さんは気付いたみたいですね…そうだ。家内に説明してあげてくれませんか?私が説明するよりも家内はあなたの説明の方を所望していると思うので」


「……………」


沢木は、一瞬私に困った表情を見せた後妻の方を向き、じっと顔を見つめていました。 そして、


「果歩ちゃん、その言い訳だと…ちょっと無…納得できないんだ」


「えっ?」


妻はまだ気付きません。
じれたように沢木が説明します。


「さっきご主人も言ってたけど、嘘をつく理由が君の説明では無いんだよ」


「嘘をつく理由って…どうゆう…」


「つまり-」


いい加減じれた私が話に割って入ります。


「お前は『彼』とは何でもないと言いながらつかないでいい嘘をついたと言ったんだ」


「…………」


「まだ解らないのか?意味のない嘘をお前がつく意味がないんだよ!」


「あっ!!」


「あの時、俺に『学生時代の先生』と説明しなかったのには何か理由があるってお前は自分で言ってるんだよ!」


「あ、あぁ…」


漸く自分の矛盾に気が付いた妻は、顔を両手で覆い嗚咽を漏らします。


「今更、何を隠そうが驚きはしないが理由は知りたい-」


「り、理由なんかないわ!本当の事よぉーー」


私がとどめの一撃を食らわせようと言いかけた時、突然発狂したかの様に叫んだ妻は、立ち上がると居間を飛び出してしまいました。


「……………」


唖然とする私と沢木の耳に、恐らく、隆の部屋でしょう、乱暴にドアを閉める音が聞こえてきました。


しばらくの間一言も発せず静まりかえった部屋で私と沢木は座っていました。時計は深夜1時を回っています。


「沢木さん、今日の所はお引き取り下さい。家内もあの調子だし時間も時間ですから」


「…解りました」


沢木は立ち上がると玄関へ歩き出しました。


「ご主人」


居間のドアに手をかけた沢木がふと何かを思い出したのか立ち止まり私に声をかけました。


「何か?」


「いえ、ちょっと気になった事があるんですが…」


「気になった事?」


「はい。さっきご主人が言っていた事なんですが…」


「はい」


「ご主人の話し方だと私が息子さん…隆君と頻繁に会っていた様な感じでしたが」


「違うんですか?」


「私は隆君と直接会った事はありません。」
  1. 2014/11/09(日) 09:13:09|
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黒か白か… 第32回

「会った事がないって…ちょ、ちょっと沢木さん!一体どう言う事ですか!」

沢木が来てから努めて冷静に振る舞っていました。
それは少しでも果歩の夫としての…いえ、男としての余裕をこの男にだけは見せ付けておきたいと言うちっぽけなプライドがそうせていました。
しかしメッキは剥がれる物なのでしょう。無様にも取り乱し、沢木の言葉にそんな事を忘れてしまいました。

「つ、妻は、あなたと隆がキャッチボールしたり電話で話したりした事があると言ってたんですよ!」

「……………」

私の質問に、沢木はただ黙って聞き役に徹し一言も喋りません。

(何でそこで黙りこくってるんだ?こんな肝心な所で…クソっ!)

私の苛立ちはピークを迎え、落ち着きがなくなった足は小刻みに貧乏揺すりを始めます。
少し落ち着こうと上着の胸ポケットから煙草を取り出し火をつけゆっくり吸い始めました。

「どうやら…」

沢木に背を向け、苛つきながら煙草を吸い始めた私の背後から唐突に沢木の声が聞こえ、瞬間的に沢木に向き直りました。
そして、その話を聞いた私は凍りつきました。

「どうやら…奥さんには別の【ヒデオ】が居るみたいですね。」
  1. 2014/11/09(日) 09:14:47|
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黒か白か… 第33回

沢木の来訪から一週間が経ちました。
その間、果歩とはまともに話す事ができませんでした・・・いえ、話せる状態ではなかったんです。
翌日、彼女が息子の部屋から出てくることは在りませんでした。
だからといって、私はそれを黙って許容出来る訳もなく固く施錠されたドアの前で思いの限りの言葉を投げかけました。
しかし・・・返事はなく、妻が出て来る事はありませんでした。
私も、初めの内は不貞の事実がある以上、立て篭もり、口を閉ざすのにも限界があると思いひつこくは追いかけませんでしたがそろそろ限界です。
今日こそは扉を壊してでも果歩に向き合い、夫婦として・・・いえ、人の親として、何らかの決断を出さなければいけません。
そう思い、彼女と向き合おうと決意して私でしたが二つだけ引っかかる物がありました。
それは、沢木の去り際の言葉と、沢木来訪の翌日に見た在る物のせいでした。
沢木が言った去り際の一言・・・それは、私の思考を3歳児程度まで戻すに十分の威力と衝撃がありました。

『ヒデオが別に居る?』

どうでしょう皆さん。貴方なら予測出来ますか?
すみません・・・この手の話に疎い私には全く考えも及ばない事でした。
私の知る妻は、明るく・思いやりがあり、隠し事を何より嫌う人でした。
どちらかと言うと、姉御肌+男勝りで、曲がった事や下手な言い訳を嫌う人でした。
それがどうでしょう・・・夫には嘘を吐き、未成年と不貞を続け、肝心な事は黙秘する。
仕舞いには、元凶と重いし人間に、

『僕とは他に”ヒデオ”が居る!』

そんな、突拍子もない事言われた日には、はっきり言ってノープランで自分のプライドしか考えていない私には、全てを飲み込むには処理出来ませんでした。

”果歩には別の・・・がいる!”

確証もないその沢木の言葉を、裏付ける物を見た時・・・私は・・・隆の笑顔を・・・二度と家族3人で見る事は出来ないと思いました。
  1. 2014/11/09(日) 09:19:43|
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黒か白か… 第34回

息子の部屋の前に立ちノックをしますが案の定妻からの返答はありません。
昨日までならここで引き下がる所ですが、今日こそはこのままの状態から一秒でも早く抜け出すことを心に決めている私は引き下がる訳にはいかなのです。ノックの音にも自然と力が入っていきます。

「果歩・・・いい加減止めにしないか・・・こんな子供じみたまねしたって一緒だぞ?問題を先送りするだけでなんの解決にもならない・・・」


「・・・・・・」


「お前だって分かっているだろう?このまま引き篭もってだんまりを続けられないって事は」


「・・・・・・」


「今すぐに無理と言うなら時間を置く・・・1時間後、寝室へ来てくれ」


「・・・・・・」


本心ならドアを蹴破って引きずり出したい所ですが、それをやって妻が更に頑なになってしまうと考えた私は妻の良心に賭ける事にしたのです。
元々は嘘の嫌いな真面目な女です。そこに私は惚れたのです。
そこだけは信じていたいのです。


息子の部屋から微かにすすり泣く声が聞こえてきましたが、それ以上は語らず黙って息子の部屋の前を後にし寝室へ向かいました。


部屋に入り、着替えをすましベッドに腰掛けこれからの事を考え憂鬱な気分になっているとベットサイドに置いてある写真立てが目に留まりました。
隆の小学校入学式の時、三人で正門の前で撮った一枚・・・そこに写る三人はそれぞれが幸せな笑顔でいます。
真ん中で両親に挟まれている我が子の笑顔は世界一尊い物・・・


[俺達夫婦の都合で隆の笑顔を奪ってしまっていいのか?俺さえ・・俺さえ我慢すれば・・・クソッ!!]


心の葛藤を抑えきれず、思わず投げつけてしまった写真建てがベットの上で悲しげに私を見ています。


「・・・・・・」


私は決断を下そうとしています。
それがどれだけ大変で過酷なものになるのか分かっています。
しかし、写真の隆のあの笑顔を壊してはいけない・・・その為ならどんな事でも耐えよう・・・


そう思い、写真建てを直そうと手を伸ばした時でした。


[なんだ・・これ?]


投げつけたせいか、写真建てのカバーがずれ中から紙の様な物が飛び出しています。取り出して見てみるとそこには、『ごめんね ゆるしてね』と書かれています。


[なんだろう?]


そう思い、裏返して見た私は一瞬で凍りつきました。


[隆・・・ごめんね・・・パパ、無理みたいだ・・・]


それは、エコー写真でした。
  1. 2014/11/09(日) 09:21:20|
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黒か白か… 第35回

たった一枚の・・こんな紙切れだけで私の決意は脆くも崩れてしまいました。
救いようのない・・鈍感で間抜けな私でも、その紙に書かれている事の背景は読み取れました。

(酷い・・・あまりにも・・・)
そして、今まで私の理性を繋ぎとめていた最後の糸が・・・切れました。

「うああああああああああああ!!!!!」

今の私には何も考える事などできず、泣き叫びながら・・ただひたすら純粋に・・辺り構わず破壊して行きました。
気持ちの行くまま子供のように。

そこからの記憶は・・・ありません。
次に気がついた時、私は薄暗い警察署の留置所に拘留されていました。
果歩かお隣さんが通報した事は容易に想像できますがそんな事などうでもいい気分でした。
今の私には取るに足りない事です。
この時の私には『現実』を最も否定しなければならいほどの精神状態で、何を考える事も億劫。いや、考えたくない。
私は、ただひたすら網目状に広がる格子をぼんやり見つめていました。


  1. 2014/11/09(日) 09:22:28|
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黒か白か… 第36回

それから幾時間か経った後、私は釈放されました。
身元引受人には鈴木さんがなってくれたらしく、果歩の姿はありませんでした。
ボロボロの私を見た鈴木さんは、目頭を赤くして「ばかやろう・・」と、言って私を抱きしめてくれました。
彼は私にとって仕事の上での師匠であり父親とも言える人です。
何時でも厳しい人で、20年近く付き合っていますが泣いてる姿なんか見た事もありません。
その姿に、今まで誰にも言えず溜まっていた私の感情が噴出し、子供の様に泣きじゃくっていました。
そんな私を、鈴木さんはただ黙って抱きしめていてくれました。


家に向かう車の中で、鈴木さんが迎えに来た理由を話してくれました。

私が寝室で暴れだした時、果歩はとうとう私が狂ってしまったと思ったようで、隆の部屋で怒りが静まるのをただただ怯えて待つしかなかったのです。

しかし、収まるどころかますます激しくなってきてしまい、聞き取れなかったようですが、奇声を発しながら暴れている私が恐ろしくなり自分の身の危険を感じた果歩はパニックになり鈴木さんへ電話したそうです。

「最初は何を言ってるのかわからなかったよ。果歩ちゃん、相当取り乱しててなぁ・・・」

「・・・・・」

「やっとこさ聞き取れるようになってみるとお前さんが寝室で暴れてるって言うじゃないか。何の冗談かと思っていたら電話越しにでかい音がしたんだよ。その後に果歩ちゃんが”殺されるー”って叫んだんでこらぁ大事だと思って果歩ちゃんに”今どこにいるんだ?”って聞いたら泣きながら子供の部屋にいるって言ったから果歩ちゃんに”絶対ドアを開けるんじゃないよ”って言って家内と家を飛び出したんだよ」

「・・・・・」

「まあ急いで向かうったてなぁ、うちからお前さんの家までは早くても1時間位かかっちまう。その間にお前さんが果歩ちゃんに手を上げたりしたら事だと思ったんで悪いが俺が警察に電話をして向かってもらったんだ。」

「そうだったのか・・・鈴木さん悪かったね・・・・」

「いや・・・俺の方こそでしゃばったマネしてすまなかったな」

「いや・・・いいんだ・・・」

窓から見える景色を無表情で見つめながら気のない返事を返しました。
関係ない鈴木さんを巻き込んでしまった申し訳なさも感じる事が出来ません。
ただ全てがどうでもいい。息をするのもまばたきするのも億劫で、もはやこのまま死んでしまいたいとさえ考えている始末。
これが、小さいながらも従業員を抱えている会社のトップかと思うと情けなさで消えてしまいたい気分になります。

「だけど、まあなんだ・・・」

私がそんな事を考えていると、鈴木さんが何かを言いづらそうに話し始めました。

「本当なのか?」

「何が?」

「いや、その・・・」

「果歩から聞いたの?」

「いや、直接的な事は話さなかったが。」

「・・・・・・」

「果歩ちゃんはしきりに”私のせいで一樹さんがおかしくなった”って言ってるんだ」

「・・・・・・」

「だけどまあ、こんなオヤジでも状況を見ればある程度予想もできるわな。どちらに原因があり、その・・・原因が何か・・・はな。」

「そうか・・・」

「ああ、そうだとも・・・」

寂しそうにそれだけ言うと鈴木さんは再び運転に集中し始めました。
言いようのない雰囲気が狭い車内を支配していました。
  1. 2014/11/09(日) 09:29:10|
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黒か白か… 第37回

家に帰って来ました。

果歩はいません。

寝室に行ってみると、大暴れしたにも係わらずきれいに整頓されていました。
それだけを見れば昨日の事がまるで夢や幻のように思えますが、ベッドサイドに置いてあった”あれ”がない事で、紛れもない現実であった事を嫌でも思い知らされます。

「なあ鈴木さん、果歩は?」

この部屋に入ってから初めて口を開き、後ろについて来ている鈴木さんに質問しました。
鈴木さんは、坊主頭に白髪が混じった頭をポリポリ掻きながら私を見て一言だけ言いました。

「家内がうちに連れて行ってる」

「そう・・・・悪いね」

「あのまま果歩ちゃん一人には出来ないってうちの家内がな。」

どうやら鈴木さんの奥さん、富江さんが気を回してくれたようです。

物静かで優しく料理の上手な富江さんを、新婚当初から妻は何かと頼っていました。
富江さんに頼りきりはいくら彼女が何も言わずいつもニコニコしているからと言っても迷惑だと思った妻は、ここ何年かは、いえ、私が会社を立ち上げてからは極力自分で解決できるように努力していました。
社長婦人がいつまでも他人におんぶに抱っこではいけないと思ったんでしょう。
それからは殆ど年末年始くらいしか交流がなかったと思います。
こんな事で迷惑をかけるなんて、妻はいい恥さらしと感じているでしょう。

「なあ松」

会社を立ち上げてから、私がどんなに止めてくれと言っても、

『従業員が社長を呼び捨てにする会社はすぐ潰れる。最低限の礼節もない会社が大成するはずがない』

と、いい続け、今まで一度も昔の呼び名を使わなかった鈴木さんが久々に”松”
と私を呼びました。

「大よその察しは付くが聞かせてくれ。一体何があったんだ?」

私は写真たてのあった場所を見つめながら何から話せばいいか考えていました。
  1. 2014/11/09(日) 09:30:07|
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妻の浮気を容認?・橘 (18)
背信・流石川 (26)
鬼畜・純 (18)
鬼畜++・柏原 (65)
黒人に中出しされる妻・クロネコ (13)
最近嫁がエロくなったと思ったら (6)
妻の加奈が、出張中に他の男の恋人になった (5)
他の男性とセックスしてる妻 (3)
断れない性格の妻は結婚後も元カレに出されていた!・馬浪夫 (3)
ラブホのライター・され夫 (7)
理恵の浮気に興奮・ユージ (3)
どうしてくれよう・お馬鹿 (11)
器・Tear (14)
仲のよい妻が・・・まぬけな夫 (15)
真面目な妻が・ニシヤマ (7)
自業自得・勇輔 (6)
ブルマー姿の妻が (3)
売れない芸人と妻の結婚性活・ニチロー (25)
ココロ・黒熊 (15)
妻に射精をコントロールされて (3)
疑惑・again (5)
浮気から・アキラ (5)
夫の願い・願う夫 (6)
プライド・高田 (13)
信頼関係・あきお (19)
ココロとカラダ・あきら (39)
ガラム・異邦人 (33)
言い出せない私・・・「AF!」 (27)
再びの妻・WA (51)
股聞き・風 (13)
黒か白か…川越男 (37)
死の淵から・死神 (26)
強がり君・強がり君 (17)
夢うつつ・愚か者 (17)
離婚の間際にわたしは妻が他の男に抱かれているところを目撃しました・匿名 (4)
花濫・夢想原人 (47)
初めて見た浮気現場 (5)
敗北・マスカラス (4)
貞淑な妻・愛妻家 (6)
夫婦の絆・北斗七星 (6)
心の闇・北斗七星 (11)
1話完結■不倫・不貞・浮気 (18)
■寝取らせ (263)
揺れる胸・晦冥 (29)
妻がこうなるとは・妻の尻男 (7)
28歳巨乳妻×45歳他人棒・ ヒロ (11)
妻からのメール・あきら (6)
一夜で変貌した妻・田舎の狸 (39)
元カノ・らいと (21)
愛妻を試したら・星 (3)
嫁を会社の後輩に抱かせた・京子の夫 (5)
妻への夜這い依頼・則子の夫 (22)
寝取らせたのにM男になってしまった・M旦那 (15)
● 宵 待 妻・小野まさお (11)
妻の変貌・ごう (13)
妻をエロ上司のオモチャに・迷う夫 (8)
初めて・・・・体験。・GIG (24)
優しい妻 ・妄僧 (3)
妻の他人棒経験まで・きたむら (26)
淫乱妻サチ子・博 (12)
1話完結■寝取らせ (8)
■道明ワールド(権力と女そして人間模様) (423)
保健師先生(舟木と雅子) (22)
父への憧れ(舟木と真希) (15)
地獄の底から (32)
夫婦模様 (64)
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