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闇文庫

主に寝取られ物を集めた、個人文庫です。

喪失 第1回

わたしが昔、体験したことを書き込みます。当時のことはまだ誰にも話したことはありません。気軽に話せることでもありませんし・・・。
かなり暗い話になると思いますが、ご笑読ください。
当時、わたしはちょうど五十歳でした。妻の寛子は一回り若く、三十八歳。晩婚だったため、子供はひとりで幼く、幼稚園に通う娘がいました。
わたしたち夫婦はエヌ市で個人商店を開いていました。
わたしは商品の仕入れ先や、お得意様を回るのに忙しく、店のほうは妻の寛子にまかせっきりになることも多かったのですが、なにしろ、まだ幼児の娘を抱える身なので大変です。
幸い、当時は経営状態もわるくはなかったので、わたしたちは相談して、手伝いのアルバイトを募集することにしました。
その募集を見て、ひとりの青年がやってきました。
須田勇次(仮名)という名の、いまでいうフリーターで、二十歳をすこし過ぎたくらいの若者です。
いまはフリーターとはいえ、勇次は見た目も清潔で感じもよく、はきはきと喋る快活な男でした。もとは名門と呼ばれるH大学へ通っていたけれども、イラストレーターになるという夢のために中退し、いまはアルバイトをしながら、夜間の専門学校に通っている。後になって、彼はわたしたちにそう言いました。
わたしたちはすぐに彼を気に入り、雇うことにしました。
勇次は、わたしが外に出る月、木、金曜日に店に来て、店番やらそのほか色々な雑務をすることになりました。
最初は何もかもが順調にいくように思えました。
勇次を雇って二週間ほど経った頃、彼について寛子に聞いてみると、
「店の仕事は熱心にするし・・・愛想もいいから商売に向いているみたいです」
「そうか。名門を中退してでも夢を追いかけて、夜間学校へ通っているくらいだからな。今どきの大学生みたいなボンボンとはちがって、ちゃんと仕事への気構えが出来ているんだろう」
「そうですね・・・ああ、そうそう、この前なんか彼、仕事が終わって下宿先へ帰る前に、<奥さん、なんか家の仕事でおれにできることがあったら遠慮なく言ってください>なんて言うんです。ちょうど雨戸のたてつけが悪くて困ってたものですから、勇次君にお願いして直してもらいました」
「ほう。寛子もなかなか人使いが荒いな」
「いや・・・そんなこと」
「冗談だよ」
 そんな会話をして、夫婦で笑ったものです。
 そのときはやがて訪れる破滅のときを知りもしないで、遅くにできた愛する娘を抱え、わたしたち家族は幸せでした。
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  1. 2014/08/20(水) 14:26:54|
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喪失 第2回

 勇次を雇って二ヶ月ほど経った頃のことです。
 その日、妻は外出していて、わたしが店番をしていました。わたしがいるときは、勇次は非番です。
 近所で電気店を経営している金田さんが、店に入ってきました。しばらく雑談をしていると、彼が急に妙なことを言い出したのです。
「この前の木曜だが、どうしてこの店閉まってたんだい?」
「木曜・・・何時ごろのことです?」
「さあ・・何時だったか・・昼の二時くらいだったと思うがなあ。ちょっとうちを出て、この店の前を通りがかったときに、店の戸が閉まっているのが見えたんだよ。中を覗いてみたけど、誰もいなかったような・・・」
(おかしいな・・)
 わたしは思いました。昼の二時といえば、まだ娘を幼稚園に迎えにいく時刻でもなく、店には妻の寛子と勇次のふたりがいたはずです。どちらかが何かの用事が出来たにしても、残るひとりは店番をしているはずです。
 妻からは何も聞いていません。
 金田さんは何事もなかったかのように話題を変え、しばらく雑談しましたが、わたしの頭は先ほど引っかかったことを考え続けていました。
 その夜、わたしは居間でテレビを見ながら、台所で忙しく食事の用意をしている妻に、何気なさを装って尋ねました。
「この前の木曜の昼に、店の前を通りがかった金田さんが、店が閉まっているようだったと言ってたんだが・・・何かあったのかい?」
「ああ・・・はい、娘の具合がわるいと幼稚園から連絡があったので、勇次くんに車を出してもらって、ふたりで迎えに行ったんです」
「聞いてないな」
「たいしたことはなく、結局、病院にも行かずじまいだったので、あなたには・・」
 妻は振り向くこともせず、そう説明しました。
 わたしはきびきびと家事をしている妻の後ろ姿を眺めながら、ぼんやりと不安が胸に広がっていくのを感じていました。心の中では、妻の言うことは本当だ、と主張する大声が
響いていたのですが、その一方で、本当だろうか、とぼそぼそ異議を申し立てる声もあったのです。 
 結婚してからはじめて妻に疑いをもった瞬間でした。
 もし寛子が嘘をついているとして、それではそのとき寛子は何をしていたのか。一緒にいた勇次は? まさか・・いや、そんなはずはない。妻と勇次では年が違いすぎる。
 心の中では嵐が吹き荒れていましたが、顔だけは平然とした表情でわたしは妻を見ます。
 妻の寛子は、そのおとなしい性格と同様に、おとなしい、やさしい顔をした女です。どこかにまだ幼げな雰囲気を残していましたが、スタイルはよく、特に胸は豊満でした。
 年甲斐もないと思いながら、当時のわたしは週に三日は妻を抱いていました。
 とはいえ、妻の魅力は野の花のようなもので、誰にでも強くうったえかけるものではない。わたしが惹かれるように、若い勇次が妻の女性に惹かれるようなことはない。
 わたしは自分にそう言い聞かせました。
  1. 2014/08/20(水) 14:28:06|
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喪失 第3回

 そんなある日のことです。妻は体調がすぐれなそうだったので、滅多にないことでしたが、わたしが娘を幼稚園に迎えに行きました。
 そのとき、幼稚園の先生から妙なことを言われたのです。
「昨日は奥様はどうなされたのですか?」
「え? 何かあったのですか?」
「えっ・・・ああ、はい。昨日は普段のお迎えの時刻になっても奥様が来られなかったのです。一時間遅れでお見えになりましたが、娘さんは待ちつかれておねむになってました」
「・・・そうですか・・・あの、つかぬことをお伺いしますが、この前の木曜に娘が具合が悪くなって、妻が迎えに来たということはありましたか?」
「・・わたしの記憶にはありませんが・・奥様がそう仰ったんですか?」
「いえ、違います。なんでもありません。すみません」
 わたしはうやむやに打ち消して、娘を連れ、家路につきました。
 ぼんやりとした疑いが、はっきりと形をとってくるのを感じ、わたしは鳥肌が立つ思いでした。
 妻は間違いなく、嘘をついている!
 そのことがわたしを苦しめました。
 これまで夫婦で苦しいときもつらいときもふたりで切り抜けてきました。店がいまの形でやっていけているのも、妻の内助のおかげだと思っていました。
 その妻が・・・。
 嘘までついて妻は何をしているのか。
 わたしはそれを考えまいとしました。しかし、考えまいとしても、脳裏には妻と・・・そして勇次の姿がいかがわしく歪んだ姿で浮かんでくるのです。
「店長!」
 いきなり声をかけられて驚きました。勇次です。わたしと娘の姿を偶然見て、駆けてきた、と彼はわらいました。
「いま、学校へ行く途中なんです」
 勇次はそう言うと、娘のほうを見て、微笑みました。娘も勇次になついています。
 娘と戯れる勇次。しかしふたりを見るわたしの表情は暗かったことでしょう。
 ただ、いまの勇次の姿を見ても、彼が妻と浮気をしているなどという想像はおよそ非現実的におもえました。むしろそのような不穏な想像をしている自分が恥ずかしくおもえてくるほど、勇次ははつらつとして、陰りのない様子でした。
「どうしたんです? 店長。具合でもわるいんですか」
「いや、何でもないよ・・・ちょっと疲れただけさ」
「早く帰ってゆっくり休んでくださいよ・可愛い奥さんが待ってるじゃないですか」
「何を言ってるんだい、まったく」
 わたしはそのとき、勇次とともにわらいましたが、背中にはびっしりと汗をかいていました。
  1. 2014/08/20(水) 14:29:15|
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喪失 第4回

 わたしが幼稚園へ娘を迎えに行き、先生の話から、妻への疑惑を深めたその夜のことです。
 ちくちくと刺すような不安と、爆発しそうな憤りを抱えながらも、わたしは妻を問い詰めることは出来ませんでした。何も喋る気になれず、鬱々とした顔で風呂に入り、食事をとりました。妻はもともと口数の少ない女ですが、その日はわたしの不機嫌に気づいていたためか、ことさら無口でした。
 ところが、寝る前になって、妻が突然、
「明日は昼からちょっと外へ出てもいいでしょうか」
 と言いました。明日は水曜なので、店番はわたしと妻で務める日です。
「どうして? どこかへ行くのか?」
「古いお友達と会おうかと・・・」
 なんとなく歯切れの悪い妻の口調です。妻を見つめるわたしの顔は筋肉が強張ったようでした。
(あいつに会いに行くんじゃないのか・・・!)
 わたしは思わずそう叫びだしてしまうところでした。
 しかし、そんな胸中のおもいを押し殺して、
「いいよ。店番はおれがするから、ゆっくりしておいで」
 そう言いました。
 そのとき、わたしはひとつの決意をしていました。

「幼稚園のお迎えの時刻までには帰ってきます」
 そう行って妻が店を出たのは昼の一時をまわった時刻のことでした。わたしは普段と変わらない様子で妻を見送り、妻の姿が見えなくなると、すぐに店を閉めました。
 そしてわたしは妻のあとを、見られないように慎重につけていきました。
 妻はわたしに行くと言っていた駅前とはまるで違う方向へ歩いていきます。
 十五分ほど歩いた後、妻はある古ぼけたアパートに入っていきました。
 前夜、わたしは勇次の履歴書を取り出して彼の現住所をメモして置いたのですが、確認するまでもなく、そこは勇次の住むアパートでした。
  1. 2014/08/20(水) 14:30:33|
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喪失 第5回

 しばらく、わたしは呆然とそのアパートの前で立ち尽くしていました。が、こうしてばかりもいられないとおもい、震える手で前夜つけたメモから勇次の部屋番号を確認した後、わたしは中へ入りました。
 胸中は不安と絶望、そして怒りでパニック状態でした。これからもしも浮気の現場を押さえたとして、わたしはどう行動すべきだろうか。勇次を殴り、妻を罵倒し・・・その先は? これで妻との生活も終わってしまうのだろうか。家族はどうなってしまうのだろうか。わたしの胸はそんなもやもやした考えではちきれそうだした。
 興奮と緊張で壊れそうになりながら勇次の部屋の前まできたわたしは、次の瞬間に凍りつきました。
 妻の声が聞こえたのです。それも寝室でしか聞いたことのない、喘ぎ声です。
 高く、細く、そしてしだいに興奮を強めながら、妻は啼いていました。
 わたしは思わず、勇次の部屋のドアに手をかけました。鍵はかかっていませんでした。わたしはそろそろと部屋へ忍び込みました。
 狭いアパートの一室です。居間兼寝室は戸が開き放しでした。
 妻がいました。
 素裸で、四つん這いの格好で、ひっそりと中を窺うわたしに尻を向けています。その尻に、これもまた全裸の勇次がとりつき、腰を激しく妻の尻に打ちつけています。
 わたしはそれまでAVなどほとんど見たことがなく、したがって他人の性交を見た経験がありませんでした。初めて見た妻と勇次のそれは、衝撃的でした。
 勇次の腰が驚くほどの勢いで、妻の尻にぶつかるたび、ばこん、ばこん、と大きな音がします。妻の、年増らしく、むっちりと肉ののった腹から尻にかけてが跳ねるように震え、
「あっ・・ああっ・・・」
 と、妻が啼きます。勇次の若い身体はよく締まっていて、スタミナがありそうでした。
 室内は暑く、ふたりとも肌にびっしょりと汗をかきながら、わたしが入ってきたのにも気づかないほど、セックスに夢中になっていました。
  1. 2014/08/20(水) 14:31:40|
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喪失 第6回

その瞬間のわたしの気持ちを後になって考えてみると、それは深い哀しみでした。もちろん、最愛の妻を奪われた哀しみもそうなのですが、それ以上に自分の老いが哀しかった。
 いま、眼前で繰り広げられている妻と勇次の痴態。それは強烈に<若さ>を放射していました。勇次とわたしは親子ほど年が違います。妻だって、わたしより一回りも若い。
 どうもうまく言えませんが、妻と勇次のセックスを覗き見て、わたしが受けた哀しみは、老いた自分の手の届かない世界に妻が行ってしまったことへの哀しみだったように、いまになって感じるのです。
「そんなに大声出したら、近所に聞こえちゃうよ」
 妻を責めながら、勇次がそんなことを言いました。その口調は当然のことながら、雇用主の妻に対するものではありません。
「あっ、あっ、こ、こえ、でちゃいます・・」
「仕方ないな」
 勇次は妻の秘所から自分のものを引き抜くと、軽々と妻を抱き上げました。いわゆる駅弁スタイルというのでしょうか、子供が抱っこされるような格好でしがみついた妻に、勇次は立ったまま再び挿入します。
 股間を大きく割り開かされ、M字になった足を勇次の背中へ絡みつかせた妻。勇次はわたしに背を向けて立っていましたが、妻はそれとは逆向きです。
 見つかるのをおそれて、わたしは半開きの戸からそっと顔を放しました。
 いったい自分は何をしているんだろう。そうおもいました。浮気の現場を押さえ、あまつさえ、妻たちは性交の最中なのです。夫なら、当然怒鳴りこんでいく場面です。
 しかしわたしは、怒りよりもむしろ、とめどない喪失感に打ちのめされてしまっていたのです。
「んんっ」
 妻がくぐもったような声で、また啼きました。わたしはまたふたりをそっと覗き見ます。
 勇次が妻の口に舌を差し入れ、ディープ・キスをしていました。妻は眉根を寄せ、苦しそうな表情で必死にそれにこたえています。
 勇次が妻の身体を小刻みに上下動させています。その上下動がしだいに早く、激しくなり、それにつれて妻の表情にも苦悶とそれに悦びの入り混じった、わたしがそれまで見たことのない表情になっていきます。
 妻が首を振って、勇次の舌を逃れました。そのとき、妻の口からよだれがとろりと垂れたことを覚えています。
「あ、も、もうだめ・・・わたし、いきます・・いってしまいます」
 息も絶え絶えに妻がそう告げます。
 その瞬間でした。わたしは弾かれたように、ふたりのいる部屋へ飛び込んでいきました。
  1. 2014/08/20(水) 14:35:45|
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喪失 第7回

「ひいぃー!」
 そのとき、妻のあげた悲鳴はいまでも忘れられません。妻は水揚げされた鯉のように跳ね回り、勇次から逃れると、床に突っ伏して、自分の衣服で顔を覆っています。
 勇次もわたしにきづいた瞬間は驚愕し、しばし呆然としたようでした。しかし、何を言っていいものやら分からず、口中でもがもが言いながら、睨みつけるだけのわたしを見て、勇次は落ち着きを取り戻したようでした。
 そればかりか、勇次はにやにや笑いさえいました。すでに平素の好青年ぶりはどこかへ行ってしまったようです。
「どうして分かったの?」
 そんなことを聞いてきました。わたしは答えず、さらに勇次の顔を睨み続けました。
「まあいいや。見たんだろ、いまのおれたちのセックス。なら分かるはずだ。おれたちの熱々ぶりがね」
「寛子はわたしの妻だ!」
 わたしがやっと言えたのは、その一言だけでした。それまですすり泣いていた寛子は、それを聞いて号泣し始めました。
「ごめんなさい・・あなた・・・ごめんなさい」
 わたしは泣き伏して謝る妻の姿を見つめていました。不意に涙がぽろぽろと頬を伝っていくのを感じました。
 勇次はそんなわたしたちを冷めた目で見ていましたが、
「とりあえず帰ってくれないか。あんたがおれと寛子のセックスを覗き見してたことは、まあ許すからさ」
 わたしはその言葉を聞いて、愕然としました。
「・・許すだと・・・! よくもぬけぬけとそんなことが言えるものだ・・・おまえはわたしの妻を」
「寛子はおれを愛してるんだ。あんたとはもう終わりだよ」
 勇次はまったく動揺することもなく、そう言い放ちました。その呆気に取られるほど傲慢な態度は、わたしには理解すら出来ません。若さとは、若いということは、かくも尊大でエゴイスティックになりうるものなのでしょうか。
「・・どうなんだ、寛子」
 わたしは押し殺した声で、妻にそう問いました。
 全裸の妻は衣服を顔に押し当てたまま、ぶんぶんと首を左右に振りました。
「帰ります・・・あなたと」
 その言葉を聞いて、わたしはちらりと勇次を見ましたが、彼はなおも動揺した様子は見せず、薄笑いを浮かべていました。
 わたしは思わずカッとなって、勇次を殴りつけました。勇次は素早く身をかわし、わたしの拳はほんの少し、かするくらいにしか当たりませんでした。
 わたしがなおも殴りかかろうとするのを、いつの間にか這い寄ってきた妻がわたしの足にすがりついて、
「もうやめて・・・帰りますから」
「ならさっさと着替えろ!」
 思わずわたしがそう怒鳴ると、妻はひどくおびえたように服を着始めました。

 ふたりは家までの帰り道を無言で歩きました。
 妻はすすり泣きをやめません。
 わたしは最愛の妻に裏切られたというおもいを、また新たにしていました。先ほど帰りがけに勇次がまた見せた陰湿な薄笑いが脳裏から離れません。胃の腑から這い上がってくるような憤怒が、胸を灼いています。
<バイトはもちろんクビだ。それから・・・わたしはおまえのことを絶対に許さないからな>
 帰り際にそう吐き捨てたわたしに、
<勝手にしなよ>
 そう言って、勇次は笑ったのです。

 ・・・その日、わたしが感じた様々な敗北感は、けっして埋められない喪失として、わたしの胸にぽっかりと穴をうがちました。

 しかし、わたしはそれが始まりに過ぎなかったこと、そしてその後、自分が本当に妻を<喪失>することになるとは、まだ夢にもおもっていなかったのです。
  1. 2014/08/20(水) 14:36:57|
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喪失 第8回

 妻の浮気現場に乗り込んでいった日の夜のことです。
 わたしもようやく心の整理がつき、妻も少し落ち着いてきたようだったので、わたしは夫婦の寝室に妻を呼び、浮気の経緯を聞いてみることにしました。
 パジャマ姿の妻は、きちんと床に正座して、首をうなだれさせています。まるでお白州に引き出された罪人のような風情でした。
 わたしは聞きました。
「はじまりはいつだったんだ?」
「・・・勇次くんを雇って一ヶ月くらい経った頃です・・」
「どんなことがあったんだ?」
「金曜に勤務を終えて勇次くんが帰ったあとに、彼が財布を忘れていったことに気がついたんです・・・勇次くんは土、日はうちに来ませんし、電話がないから呼び出すこともできません。わたしはその日のうちに財布を彼のうちまで届けてあげようとおもったのです・・・」
 若い男の住む家に女ひとりで行く無防備な妻を咎めようにも、わたし自身、勇次の人柄を信用しきっていたので、あまり文句も言えません。
「もちろん、財布を届けてすぐ帰るつもりでした・・・でも、そのとき・・・」
 妻はうつむき、くちごもりました。わたしは黙って話が再開されるのを待ちました。
 やがて妻は決心したのか、わたしの顔をまっすぐ見つめて話しだしました。
「玄関に出てきた勇次くんは財布を受け取ってから、わたしに部屋にあがって休んでいったらどうか、と言いました。娘も家でひとりで待っていることですし、わたしは断って帰ろうとしました。そのとき、勇次くんがわたしの腕を掴んで・・・」
<奥さんのことが好きなんだ>
 そう言ったらしい。
 妻は突然の告白に驚いたが、勇次はかまわず、妻をこんこんとかき口説いたという。財布を忘れたのも、妻が届けに来るのを見越してわざとしたのだ、とまで言ったようだ。
 最初は呆気にとられた妻も、勇次があまり熱心に、額に汗まで浮かべて熱弁するのに、次第に心を動かされていった。
もともと好感を持っていた若者に、三十八歳の自分が女性として見られているということも、普段は妻として、母として扱われている妻にとっては刺激的なことだったのだ。
「正直に言います。わたしはそのとき、困ったことになったとおもいました。でも心の中では・・・疼くようなよろこびも感じていたんです・・・久しぶりに女として自分を認めてもらったというおもいがあったのだとおもいます」
 そう語る妻は真剣な表情をしていた。
「それでその日は・・・?」
「何もありませんでした。わたしは彼を振りきって、家に帰ったのです。でも気持ちまでは・・。わたしはその日、一睡もせずに彼に言われたことや、そのとき自分が感じたことを思いかえしていました・・・隣で寝ているあなたを見るたびに、こんな罪深い物思いはやめようとおもうのですが、気がつくと、また考えているのです」
 わたしはそのとき、おもわず拳をぎゅっと握り締めていました。
「次の月曜に彼が店へやってきたとき、わたしはもうちゃんと彼の目を見ることもできませんでした・・・どぎまぎしてしまって・・・でも彼はまるで悠然としていて、勤務中もことあるごとにわたしに意味ありげな視線や言葉を投げてきました・・・」
「・・・勇次はこうおもっていたんじゃないか。この人妻は脈がある、もう少しでおとせる、とな」
 怒気のこもった声で、わたしはそんな皮肉を言いました。正直なところ、まるで恋した十代の女の子のように語る妻に、燃えるような嫉妬心をかきたてられていました。
「そうですね・・・そうだとおもいます・・・わたしが馬鹿だったんです・・・ごめんなさい」
「謝らなくてもいいから、先を続けてくれ」
 わたしは冷淡な口調でそう言いました。
  1. 2014/08/20(水) 14:38:22|
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喪失 第9回

 妻は語ります。
「そんなふうに日を過ごしているうちに、わたしの心は次第に勇次くんの誘惑にはまっていきました。あなたを、娘を裏切るまいとおもっているのに、店で勇次くんと一緒に過ごし、彼に愛の言葉を告げられているうちに、わたしは段々と、まるで自分が勇次くんと恋をしているような・・そんな錯覚に陥ってしまったのです」
「それは錯覚なのか? 寛子はそのとき、本当に勇次の奴が好きになっていたんじゃないのか?」
「そんなこと・・・」
 妻は切なそうな表情でわたしを見つめ、首を振りました。
「まあいい・・・それで?」
「その週の金曜の勤務が終わって勇次くんは帰りがけに、<明日の昼、うちに来て>と囁いたのです。わたしは拒絶しましたが、勇次くんは<絶対に来てよ>と重ねて言って、そのまま帰っていきました。わたしはその夜、また悶々と考えて・・・悩んで・・・」
「勇次の家に行ったんだな」
「・・・そうです・・・本当にごめんなさい・・・」
 妻の瞳は涙できらきらとひかっていました。
「・・・それで?」
「あなたに嘘をついて、勇次くんの家に行って・・・その日のうちに彼に抱かれました・・・それからは・・ずるずると関係を続けることになってしまって・・・・ごめんなさい」
「いちいち謝るんじゃない。謝るくらいならこんなこと、はじめからするな」
「・・すみません・・・謝るしかできなくて・・すみません・・」
「それはもういいと言ってるだろ!」
 嫉妬でおかしくなろそうなわたしは、自棄になって妻に乱暴な口をきいてしまいます。
「それで奴とのセックスはどうだった? おれとよりも気持ちよかったのか?」
「そんなこと・・・」
 妻は必死な顔で否定しますが、それはわたしの気分を少しも和らげませんでした。
「おれはお前と勇次のセックスを見ていたんだ・・驚いたよ。おれは自分しか知らないからな、世の中にあんなに激しいセックスがあるのかとおもった。これじゃあ妻を寝取られても仕方ないとな。そうおもわせるほど、あのときのお前の乱れ具合は凄かった」
「ちがいます・・・」
「何がちがうと言うんだ?」
 わたしはどんどんサディスティックな気持ちになっていきました。
 しばらくお互いに沈黙したあと、うっすらと涙の筋を頬につけた妻がぽつり、ぽつりと語り始めました。
「・・・彼に抱かれたときは・・わたしも驚いたんです・・・わたしがそれまで経験したことのないようなセックスで・・・荒々しくて・・・獣がするような感じで・・・。彼のは・・・大きくて、わたしにはきついんです・・・きついのに激しくされて・・そうしているとわたしもいつの間にかおかしくなって・・・声を出してしまうんです・・・」
 普段の妻なら絶対に言わないような話でした。妻もここまできたなら、何もかも吐き出して楽になりたい、ということなのでしょうか。
「でも・・終わったあとは・・・いつも後ろめたくて・・・あなたや娘のことばかり考えて・・・本当に自分がいやになります・・・でもあなたとのときは、心の底から満たされる感じなんです、本当です」
 それならなんで勇次に抱かれ続けた、とわたしは叫びたくなるのをこらえました。
  1. 2014/08/20(水) 14:39:46|
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喪失 第10回

 それからしばらくは緊張の日々が続きました。
 妻とは気軽に話すことはなくなりました。娘がいるときは、以前のように仲の良い両親を演じるのですが、娘がいないと火が消えたように寒々とした感じになります。
 わたしは仕事の関係で外回りをやめることは出来ません。妻をひとりにしておくのは不安でした。勇次はいまも店の近くに住んでいるのです。しかし、新たにバイトを雇う気にもなれません。わたしはいつもぴりぴりしていました。強がって見せても、心はいつも不安でいっぱいでした。
 妻はいっそう無口になり、暗い表情をするようになりました。いつもわたしの機嫌を窺って、びくびくしています。以前からどこか淋しげな感じの女でしたが、最近では夜遅くにわたしがふと目覚めると、隣で妻がすすり泣いているときがあります。
 夜の営みは絶えてなくなりました。浮気した妻を嫌悪して、というより、わたしの問題です。妻と勇次の情交の激しさにショックを受けて、わたしは自分自身のセックスにまったく自信をなくしてしまったのです。
 そんなある日のことでした。わたしは妻と店番をしていました。わたしたちは夫婦で店を経営しているので、夫婦仲の思わしくないときも一緒にいる時間が長く、そのときはそれが辛くてたまりませんでした。妻の哀しい顔を見ているのが辛いのです。浮気をしたのは向こうだ、おれはわるくないとおもってみても、妻の辛そうな様子を見ていると罪悪感がわいて仕方ありません。かといって、優しい言葉をかけることも当時のわたしには出来なかったのです。
 その日もそんな状態で、もうたまらなくなったわたしは、
「なあ・・・おれたちもう駄目かもしれない・・」
 妻にそう言ってしまいました。
 妻は瞳を見開いてわたしを見つめました。すぐにその瞳から涙がすっと流れ落ちました。
「おれは辛くてたまらない・・・お前に裏切られたことも哀しかったが、その後のお前の辛そうな顔を見ているのはもっと辛いんだ・・・おれたちはもう、別れたほうがいいんじゃないかな」
 離婚を切り出したのは、そのときがはじめてでした。
「そのほうがお互いにとっていいのかもしれない」
「いやです!」
 予想以上に激しく、妻は拒絶しました。
「あなたと別れたくありません・・・わたしにこんなことを言う資格がないのは分かってます・・・でも、あなたと別れたくないんです・・これからは死んでもあなたを裏切ったりしません・・・あなたのいうことならなんでもします・・・ですから・・」
「だから言ってるだろ! ちょうどいまのお前のように、お前が必死な顔をしていたり、哀しそうにしているのが耐えられないんだよ!」
 わたしはきつい口調でそう言いました。妻はもうどうしようもなくなって、顔を両手で抑えて号泣し始めました。
 罪悪感と自己嫌悪でいっぱいになったわたしは、妻から逃げるように店を出て行きました。
 そうして店を出たわたしが向かったのは、勇次の家でした。
 わたしたち夫婦を地獄に堕とした勇次になんとか復讐をしてやりたい。その一念でした。
  1. 2014/08/20(水) 14:41:27|
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喪失 第11回

 アパートに着きましたが、勇次は留守でした。わたしは子供が出来てからやめていた煙草を買ってきて、喫煙しながら、勇次の部屋の前で勇次が帰宅するのを待っていました。
 そうしてわたしが煙草をふかしつつ立っていると、大家らしい老人がアパートの廊下を掃きにやってきました。わたしを見て、
「あんた、そこの部屋のひとを待っているのかい?」
 と聞きました。そうだと言うと、
「それなら須田君の知り合いなんだな。まったく彼はどうなっているんだい。若くて真面目そうな顔をしているくせに、しょっちゅう、昼間から女を連れ込んでいるよ」
 わたしは無理に表情を殺して、老人に、
「へえ、そんなふうには見えなかったな。わたしも彼はよく知らないんだよ。相手の女性はどんな感じだい?」
 老人はにやにや下卑た笑みを浮かべると、わたしの近くに寄ってきて、小声で、
「それがねえ・・わたしも一、二度見ただけなんだが、これが品のいい奥様風の女でね・・年は四十より少し前かな・・・もしかしたら人妻かもしれんよ」
「へえ」
 無関心を装った相槌を、半ば無意識に打ちながら、わたしの心臓は激しく高鳴っていました。
「人妻だとしたら、やはり不倫なんてのは女の方も燃えるものなのかね。凄いんだよ・・・女の声が。昼間だってのに、隣近所に聞こえるほど、あのときの声がするんだ」
 わたしは手に持っていた煙草を口に含みました。自分の顔が真っ青になっているのが分かっていました。
「いきます、いきますー、ってね・・本当に激しいんだよ。須田君もなかなかやり手なんだね。枯れきっちまったわたしなんかからすると、うらやましいかぎりだよ」
 老人はなおもしばらく話した後、自分の仕事に戻っていきました。

「あれ?」
 物思いにふけっていたわたしは聞き覚えのある声に振り向きました。
 勇次が立っていました。
「話がある」
 わたしは勇次を睨みつけながら、それだけ言いました。勇次はちょっと戸惑っていたようでしたが、無言で部屋の鍵を開け、わたしに入るように言いました。
  1. 2014/08/20(水) 14:42:32|
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喪失 第12回

 部屋に入ると、勇次はわたしに座るように言い、コーヒーを作りにいきました。
 わたしは部屋を眺めていました。この前、妻と勇次が情交を行っていた部屋です。そのときの光景がありありと蘇ってきて、わたしは苦いおもいをかみ締めました。
 勇次が戻ってきて、コーヒーをわたしの前に置きました。わたしはそれに手をつけずに、黙っています。勇次のコーヒーをすする音だけが響いていました。
 わたしはおもむろに口を開きました。
「お前のせいでうちは滅茶苦茶になってしまった・・わたしはお前を殺してやりたいよ」
 勇次はコーヒーをテーブルに戻しました。そして、またあの癇にさわる薄笑いを浮かべて、
「へぇ」
 と言いました。
「奥さんはどうしてるの?」
「お前に関係ない」
「関係なくはないでしょ、っていうか関係したし」
 わたしは思わずカッとなって、手を出しそうになりましたが、なんとか自分を抑えました。
「お前はわたしの妻をたぶらかして、わたしの家庭を壊した。この責任は取ってもらうからな」
「裁判にでもかける気? でも浮気は奥さんと合意の上だよ。誘いをかけたのはおれかもしれないけど、無理強いしたわけじゃない。ここへ訪ねてきて、おれとセックスしたのは奥さんの意思でしょ」
 怒りでわたしはまた言葉を失ってしまいます。言ってやりたいことは山ほどあるのに、うまく言葉にできないのがもどかしくてたまりません。
「だいたいアンタ、奥さんのこと、ちゃんと分かってるの?
奥さんはずっと欲求不満だったんだよ。本当はおれとのときみたいに、激しいセックスがしたいのに、あんたとじゃベッドでごそごそやるだけで物足りないっていつも言ってたぜ」
「・・・嘘をつくな」
「本当だよ。奥さん、おれとやるときは、いつも失神するまで気をやるんだぜ。何度イっても、すぐにまたシテシテって
せがんでくるのさ。ち*ぽを入れてやると、涙まで流して悦んじゃって、大変なんだぜ」
「・・・・」
「最近じゃ縛られたまま、やるのも好きみたいだな。あんたもやってみたら。奥さん、Mっ気があるから、いじめられると悦ぶぜ。縛ってからバイブで焦らしてやれば、すぐにもうなんでもこっちの言うことを聞く女になるよ。フェラもパイズリも中出しもおもいのままさ」
 わたしがなんとか理性を保っていられたのもそこまででした。へらず口をたたく勇次の口へ向けて、わたしはパンチを繰り出しました。が、勇次はそれをかわすと、わたしの顎めがけて強烈な一撃を見舞ったのです。
 わたしは仰向けに倒れました。そこへ勇次の蹴りが飛んできます。わたしは身をかがめて防御するだけしか出来ませんでした。
 勇次は好き放題にわたしを痛めつけたあと、わたしを部屋の外へ蹴りだしました。
「奥さん取られたからって、逆恨みして殴ってくるんじゃねえよ、糞爺」
 扉が閉まる前に、勇次のそんな捨て台詞がはっきりと聞こえました。
 わたしは口惜しさと無力感にうち震えながら、しばらくそこにうずくまっていました。
  1. 2014/08/20(水) 14:43:40|
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喪失 第13回

 さて、勇次に部屋から蹴りだされたわたしは、その後しばらくの間、ほとんど思考停止状態になってしまい、近くの公園のベンチで呆然と過ごしていました。
 二時間あまりもそうしていたでしょうか。
 気を取り直して、わたしは近くの公衆電話へ向かいました。その日は、妻の待つ家へと帰る気にもなれず、どこかのホテルでひとりで過ごしたいとおもい、妻へ電話でそれだけ伝えておこうとおもったのです。
「おれだよ」
「あなた・・・いまどこに?」
「ちょっとな・・・いや、実は」
「あなた、聞いてください」
 妻はわたしの話をさえぎりました。こんなことは滅多にないことです。
「わたし、決心したんです・・これからはあなたの前で辛い顔をしたりしません・・・あなたに心配させるようなこともしません・・・わたしがしてしまったことは、取り返しがつくようなことではありませんが、せめてあなたと娘に償いができるように、明るく生きていきたいとおもいます・・・だから、戻ってきてください・・・」
 わたしはしばし返事をすることができませんでした。
(寛子のそんな必死さが、おれにはまた辛いんだ)
 そんな言葉が頭に浮かびました。しかし、電話口の妻の、震えるような声音の健気さが、わたしにそんな言葉を吐かせませんでした。
 妻の寛子はもともと強い人間ではありません。いつもおとなしく、ひとの意見に従いがちな女です。ですが、そのときは妻が並々ならぬ決意でいることが伝わってきました。
「・・・わかった、これから家へ戻るよ」
「ありがとうございます・・・。わたしは娘を迎えに行ってきます」
 電話が切れた後も、わたしはしばらくそこを立ち去ることが出来ませんでした。

 家へ戻ると、ちょうど妻が娘を連れて帰ってきたところでした。妻はわたしを見ると、にこっと微笑みました。そのいかにも無理しているような微笑が、そのときはわたしの心を強く打ちました。
「さあさあ、いつまでも泥んこのついた服を着てないでお着替えしましょ」
「いやー、いまから外へ遊びにいくー」
「ダメ!」
 妻は娘を叱りながら、優しい母の目つきで娘を見ています。そんな妻の姿を見ながら、わたしはまた勇次の言葉を思い出してしまいます。
<奥さん、おれとやるときは、いつも失神するまで気をやるんだぜ。何度イっても、すぐにまたシテシテって
せがんでくるのさ。ち*ぽを入れてやると、涙まで流して悦んじゃって、大変なんだぜ>
<縛ってからバイブで焦らしてやれば、すぐにもうなんでもこっちの言うことを聞く女になるよ。フェラもパイズリも中出しもおもいのままさ>
 いま目の前の妻を見ていると、勇次の言葉は悪意に満ちた偽りにおもえます。しかし、わたしは、
(本当にそうだろうか・・・)
 そんなふうにも、おもってしまうのです。
  1. 2014/08/20(水) 14:45:29|
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喪失 第14回

 その夜のことです。
 わたしは妻を夫婦の寝室へ呼びました。触れないほうがいい、とおもいながらも、わたしは勇次の言葉が気になってたまらず、妻にことの真偽を確かめたかったのです。
「きょう、勇次の家へ行ってきた」
 妻は瞳をおおきく見開きました。
「あいつに自分のしたことをおもいしらせてやりたかったんだ・・・情けないことに、結局、わたしが一方的にやっつけられただけだったんだが」
「その傷・・・転んで出来たって・・・」
「違うんだ」
 わたしはぐっと腹に力を入れました。これからの話は妻を傷つけることになるとわかっていました。しかし、わたしにはそれは乗り越えなければならない壁のようにおもえていたのです。
「勇次は好き放題に言っていたぞ・・・お前がおれとのセックスは不満だといつもこぼしていたと・・・」
「そんな!」
「いつも失神するまで求めてきて大変だったとか・・・縛られてされるのが好きだとか・・・」
「・・・・・」
「そうなのか?」
 妻は強いショックを受けたようで、しばらく呆然となっていました。しかし、いつも泣き虫な妻がそのときは泣きませんでした。昼間の決意をおもいだして、必死に耐えていたのでしょうか。
 うなだれていた妻がすっと顔をあげて、わたしを見つめました。
「あなたとの・・・セックスに不満なんかありません・・・もちろん、勇次くんにそう言ったこともありません・・・勇次くんにわたしから求めたとか・・・縛られたりとかは・・・」
 妻はさすがにくちごもりました。わたしが黙って次の言葉を待っていると、妻はまた少しうつむいて言葉を続けました。
「そういうことも・・・ありました・・・ごめんなさい」
「そうか・・・奴とのセックスでは・・・そうか」
「ごめんなさい・・・」
「謝らなくてもいいから、あったことをすべて話してほしい。そうでないと、おれは二度とお前を抱けそうにない」
「・・・勇次くんは・・・道具とか使うのも好きで・・・バイブレーターとか・・・そういうものを使われて・・・胸とか・・・あそことかを・・・ずっとされていると・・・・おかしくなるんです・・・自分が自分でなくなるみたい・・・もっときもちよくなれるなら、なんでもしたい・・そんなふうにおもえてきて・・・自分から彼に求めてしまうことも・・・ありました・・・・彼はわたしに恥ずかしい言葉を言わせるのが好きで・・・・わたしが淫らな・・・恥ずかしい言葉でおねだりすればするほど・・・激しく・・・いかせてくれました・・・」
 細く、途切れがちの言葉で、妻はそう告白しました。自分の不倫の情交をわたしに語るのは辛いことでしょうが、それはわたしにとっても胸を焼き焦がすような地獄の言葉です。
「縛られるのも・・・最初は怖くて・・・痛くて・・・厭でした・・・でもそのうちに・・・縛られて抵抗できない状態で・・・身体を好き勝手に弄ばれることが・・・快感になってきて・・・・恥ずかしいほど乱れてしまうようになりました・・・・彼は『寛子はマゾ女だな』とよく言っていました・・本当にそうなのかもしれません・・・恥ずかしい・・・・わたしはおかしいんです・・・淫乱なんです」
「そんなことはない」
 わたしはそう言って妻を慰めましたが、その言葉の空虚さは自分が一番よく分かっていました。
 こらえきれず、また顔を両手でおさえてすすり泣きだした妻を、わたしはそっと抱きしめました。
「よく話してくれた・・・もう寝よう・・・・明日からはまた夫婦でがんばっていこう」
 その夜。もちろんわたしは一睡も出来ませんでした。
  1. 2014/08/20(水) 14:46:35|
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喪失 第15回

 ・・・妻の告白の後、しばらくは一応、平穏な日々が続きました。
 妻は一生懸命に、わたしの妻として、また仕事のパートナーとして、娘を持つ母としての務めをまっとうしようとしていました。
 そんなある夜、わたしは久々に妻を抱く決意をしました。
 わたしが誘うと、妻は、
「うれしい・・・」
 そう言って微笑み、パジャマを脱ぎ出しました。
 わたしはゆっくりと裸の妻を愛撫しました。妻の秘所はすぐに潤い始めます。
「もう・・・来てください・・・」
 妻は切なそうに眉根を寄せ、わたしを求めます。
 しかし・・・肝心のわたしのペニスはなかなか勃起しません。妻の膣に挿入しようとするたび、ペニスは勢いをなくしました。やっきになって何度試してみても、縮こまったそれは妻の膣からこぼれてしまうのです。
 あのときに見た、勇次のペニスが頭に浮かんでいました。隆々とそびえ立ち、妻をおもうがままに啼かせ、悦ばせていたペニス・・・。
 そんなイメージが広がるたび、わたしはますます萎縮していくのでした。
 情けないおもいでいっぱいのわたしに、妻は必死な顔で、
「おくちでさせてください」
 と言いました。そしてわたしを立たせておいて、妻はその前にひざまずき、ペニスを口に含みました。そのまま、口を窄めて、前後に顔を動かします。唇でしごきながら、口中では舌でわたしの亀頭を嘗め回しています。以前の妻はこのようなフェラチオをしたことがありません。もっとたどたどしく、口に含んでいるだけで精一杯という感じの、いかにも未熟なものでした。
 フェラチオの最中、妻はわたしを上目遣いに見つめています。昔は恥ずかしがってかたく瞳を閉じていたものなのに。
ときどき、尻を左右にゆすっていたのは、わたしを少しでも興奮させようとしていたのでしょうか。
 妻の様々な行為、それはわたしを悦ばせようとする、懸命な行為だったのでしょう。しかし、同時にそれは妻に刻印された勇次の指紋のようにわたしは感じてしまうのです。明らかに勇次に仕込まされたと分かる、妻の淫婦めいた行為は、わたしを興奮させ、また別のわたしを萎えさせるのです。
 さらに妻は、自分の両方の乳房を下から両手で持ち上げました。妻は顔に似合わず、豊かな乳房をしています。いよいよ熱誠こめてフェラチオをしながら、妻はその豊満な乳房を持ち上げ、乳首の突起したそれをわたしの腿に擦りつけるのです。
 ことここに至って、わたしのペニスもようやく力を取り戻しました。妻を布団へ押し倒し、挿入します。
 不器用に腰を動かすと、それでも妻は悦んでしがみついてきました。
「あんっ、いい、気持ちいいです・・・あっ、そこ・・そこがいいです、ああん」
 以前は喘ぎ声を出すのも恥ずかしがって、顔を真っ赤にしながら声を押し殺していた妻が、いまでは手放しによがり、喘いでいます。これも勇次に仕込まれたことなのでしょうか・・・。
 わたしの中のある者は、そんなどこか冷めた目で妻の姿を眺めていました。
 しばらくして、子供が目を覚ますのではないかと心配になるほど妻は一声高く啼いて、いきました。
 はあはあ、というお互いの息遣いが聞こえます。
 妻はわたしの胸元にくるまるように身を寄せています。その表情はここしばらく見たことがないほど、幸福そうでした。わたしがじっと見つめていると、妻は薄目を開けて、照れたようにわらい、甘えるようにわたしの乳首をやさしく噛みました。
「気持ちよかったか?」
「すごくよかった・・・」
「そうか・・・」
「あの・・・」
「なんだ」
「・・・明日もしてほしいです」
 わたしは腕をまわして、妻の頭を胸に引き寄せました。
 そのとき、薄闇の中でわたしの顔は、どうにもならない空虚感と哀切感で、惨めに歪んでいたことでしょう。
 無邪気に幸福に浸る妻を抱きしめながら、わたしは妻とわたしの間に引かれてしまった、越えられそうにない溝の存在を強く強く感じていました。
  1. 2014/08/20(水) 14:47:38|
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喪失 第16回

 あれから妻は夜になると積極的になり、わたしを求めてくるようになりました。以前は自分から求めるなどということは一度もなかったのですが・・・。
 わたしは年齢的なこともあり、正直に言って連夜にわたる情交はきついものでした。妻が見せる淫蕩ともおもえる振るまいに、一時的には我を忘れて妻を抱くのですが、終わると言いようのない虚しさと疲れがおそってくるのです。
 しかし、わたしはそれを妻に悟られまい、としていました。妻の求めを拒んだり、疲弊した自分を見せることは、妻に勇次をおもいださせ、若い勇次に比べ、老いたわたしの男としての物足りなさを妻に感じさせることになるとおもいました。わたしにとって、それはこのうえない恐怖でした。
 そんな無理のある夫婦生活は、遅かれ早かれ、破滅に至るものだったのでしょう。しかし、それはあまりに早くやってきました。
 夏のある日のことでした。
 いつもの外回りがその日はかなり早くに済み、わたしは妻がひとりでいる店へ戻りかけました。
 そのときでした。勇次がふらりとわたしたちの店の中へ入っていくのが見えたのです。
 わたしは心臓の高鳴りを感じながら、車を店から少し離れた場所へ置くと、店の出入り口とは反対側にある家の勝手口から家の中へそっと入りました。
 店のほうから勇次の声がしました。
 わたしはゆっくりその方へ近づきます。
 勇次が妻へ話しかけています。妻はわたしに背を向けていて、その表情は見えません。
「もう帰ってください・・・主人が」
 妻が動揺した声でそう言っています。
「いいじゃないか。旦那はまだ帰ってくる時刻じゃないだろ。それよりどうなの? きょうはパンティ履いてる?」
「・・・・・」
「おれが店に入っているときは、寛子にはいつもノーパン、ノーブラの格好で仕事をやらせてたよな」
「もうやめて・・・終わったことです」
「寛子は見た目と違ってスケベだからな~。おれが耳たぶとか胸とかちょっと触ってるだけで、顔を真っ赤にして興奮してたよな・・・一度なんか、娘さんを幼稚園へ迎えに行く時刻だってのに、おれにしがみついてきて『抱いてぇ~、抱いてぇ~』なんて大変だったじゃないか」
 勇次はにやつきながら、妻の近くへ寄りました。わたしはその場へ飛び出そうとしました。
 そのとき、勇次がこんなことを妻に聞いたのです。
「あのときはあんなに燃えて、おれに好きだとか愛してるとか言ってたじゃないか。あれは嘘だったのか? 寛子はただ気持ちよくなりたいだけで、おれと付き合っていたのか? おれのことはもう嫌いになったのか?」
 妻はじっとうつむいて、何か考えているようでした。それから、おもむろに口を開き、信じがたいことを言いました。
「嫌いになったりは・・・してません」

 ・・・わたしは頭をがつんと殴られたようなショックを受けました。いまでも嫌いじゃない? わたしたち夫婦をあれほどまでに苦しめた勇次を?
 わたしがそこで聞いていることも知らず、妻は言葉を続けました。
「・・・ですが、いまは主人と子供が何よりも大切です・・・あなたとは・・・もう」
「嫌いじゃないなら、寛子はおれにまだ未練があるんだな。おれだってそうさ。お前のことが忘れられないんだ。お前が好きなんだよ。なあ、いいだろ、寛子。自分の気持ちに正直になって、もう一度おれとさ」
 谷底に蹴り落とされたような気分のわたしの目に、勇次の手がすっと寛子の顔へ向かうのが見えました。
 その瞬間、わたしはふたりのもとへ飛び出していきました。
  1. 2014/08/20(水) 14:49:07|
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喪失 第17回

 突然、家の中から現れたわたしを見て、妻は喉の奥からかすれるような悲鳴をあげました。その怯えた表情が、わたしを無性に苛立たせました。
 勇次もさすがにぎょっとしたようでしたが、すぐに落ち着きを取り戻したようで、じろりとわたしを睨みました。
「またあんたか・・・・」
「何が『またあんたか』だ。ここはわたしの店だぞ・・・さっさと出て行け。いつまで未練がましく、妻につきまとってるんだ」
「未練がましく?」
 わたしの言葉を、勇次はふんと鼻で笑いました。
「未練が残っているのは、あんたの奥さんのほうもだよ」
「うるさい!」
「おれはあんたよりも寛子のことが分かってるよ。だいたい、あんたとの生活に満足してたら、おれと浮気なんかしなかっただろ? 寛子はあんたじゃ物足りなかったんだよ」
 わたしは勇次を睨みつけながら、ちらりと妻の顔を見ました。消えいりたげな様子で身体を縮こませていた妻は、顔を歪めながら必死に首を横に振りました。
「・・・ちがう・・・」
「何がちがうんだ、寛子。おれとやってたときの悦びよう、忘れたわけじゃないよな。おれはたぶん旦那よりも多く、寛子の可愛いイキ顔を見てるぜ。寛子はセックスが大好きだし、イクときはもう激しくて激しくて、イってから失神することもよくあったよな~。いつかなんか気持ちよすぎてションベンまで」
「言わないで・・・」
「あのときはおれが恥ずかしがって泣く寛子のあそこをきれいにしてやったよな。そうしているうちにまた興奮してきちゃって、おれにしがみついてせがんできたのは誰だったけな?」
 続けざまに吐かれる勇次の下衆な言葉に、妻はしくしく泣き出してしまいました。
「いいかげんにしろ!」
 わたしは怒鳴りました。
 怒りがありました。
 しかし、それよりもおおきくわたしの心を支配していたのは、救いようのない脱力感でした。
「・・・いますぐに出て行かなければ、警察を呼ぶ・・・ここはわたしの店なんだ・・・お前を営業妨害で」
「わかった、わかった」
 勇次は小馬鹿にしたような態度で、わたしに背を向け、店の出入り口へ歩き出しました。
 途中で振り向きました。そして、なんとも形容しがたい厭な笑みを浮かべて、こう言ったのです。
「ああ、そうそう。藤田と村上がまたお前に会いたいってさ、寛子」
 そのとき妻があげた身も凍りつくような悲鳴は、いまでも忘れられません。
 勇次はわらいながら、店を出て行きました。 
  1. 2014/08/20(水) 14:51:53|
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喪失 第18回

 さて・・・勇次が去ってからも、しばらくは時がとまったようでした。
 ふと見ると、通りすがりのひとが数人、店の中を覗き込んでいました。先ほどのわたしの大声が聞こえたようです。
 わたしは黙って、店の戸を閉めました。
 それから妻を促して、家の中へ入りました。
 居間に入ると、それまで悄然とうなだれていた妻が、いきなりその場へ土下座しました。声も出ないようで、肩がわずかに震えているのが見えました。
「この前、おれは勇次との間にあったことはすべて話してほしいといった・・・」
 妻の身体がぴくりと動きました。
「寛子はすべておれに打ち明けてくれた・・・そうおもっていた・・・」
「あなた! わたしは・・・わたしは」
「まだ話していないことがあったんだな・・・」
 抑えがたい怒気のこもったわたしの声に、妻は怯えた顔でわたしを見つめました。妻は両手を胸の前で合わせ、まるで神仏に祈るときのような格好で頭をさげました。
「ごめんなさい・・・本当にごめんなさい・・・・でも悪気はなかったんです・・・ただ言えなくて・・・それだけなんです」
「言えないとはなんだ。後からこんな形で、お前に問いたださなければならないおれのほうが、よほど惨めだろ・・・」
 妻は顔をくしゃくしゃに歪めて、いっそう強く祈るようにわたしへ頭をさげました。
「許して・・・許して・・・・」
「なら、いますぐはなせ! 藤田と村上というのは誰だ!」
 妻が涙で頬を濡らしながら、嗚咽混じりに話した内容はわたしをさらに深い奈落に突き落とすものでした。
 妻と勇次がまだ付き合っていた頃のことです。ある日、妻は買い物へ行くとわたしに偽って、勇次の家へ向かいました。
 しかし、その日は先客がいたのです。それが藤田と村上でした。
 勇次はいやがる妻を引っ張ってきて、「これが自分と付き合っている人妻の寛子だ」とふたりへ紹介したそうです。
 藤田と村上は興味津々といった様子で、妻を見つめました。妻は不倫を犯している自分を、ひとの目にさらされるのが厭で、顔をうつむけていました。
「ほんとだ、このひと、結婚指輪してるわ。おいおい、人妻と付き合ってるって本当だったのかよ」
「だから言っただろ」
 そのとき、勇次は得意げに言ったそうです。
 しばらくして、か弱げな妻の様子にふたりは図に乗って、様々な質問を投げかけてきました。
 いわく、勇次とはどうしてこうなったのか、勇次を愛しているのか、旦那のことはどうおもっているのか―――。
 さらにふたりの質問はエスカレートし、卑猥なことまで聞いてくるようになっていきました。
 勇次とのセックスはどうか、若い男に抱かれるのはやっぱりいいのか、どんな体位が好きなのか―――。
 屈辱的な質問に、妻はもちろん答えるのをいやがったのですが、勇次がそれを許さなかったといいます。
 羞恥にまみれながら、妻は卑猥な内容の質問に答えていきました。その様子を見ていた藤田と村上はしばらくして、
「もう我慢できんわ・・・須田、約束は守るんだろうな」
 妙なことを言い出したのです。
「ああ、もちろん」
「約束って何? ねえ、勇次くん」
 不吉な予感に慌てた妻に、勇次は拝むようにして、
「ごめん、寛子! おれ、昨日マージャンですっちゃって、こいつらにすげえ借金してんだよね。それで、こいつらが寛子に興味あるっていうからさ・・・寛子の身体を見せてくれたら、借金を帳消しにしてくれるって言うんだよ」
 それまで、自分にやさしくしてくれていた勇次と、何がしか理由をつけながらも恋人気分を味わっていた妻は、勇次の鬼畜な言葉に呆然としてしまったそうです。
 妻は激しく抵抗したのだそうですが、結局は男の力に叶わず、衣服をすべて剥ぎ取られたうえ、後ろ手に縛られてしまいました。そして、そのままの格好で、あぐらをかいた勇次の上に座らされ、両膝の下に入れられた手で股間を大きく開かされ、剥きだしの秘部を藤田と村上の面前にさらされてしまったのです・・・。
  1. 2014/08/20(水) 14:53:24|
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喪失 第19回

 藤田と村上はそれから三十分近くも、大騒ぎしながら、裸の妻の胸をもみしだいたり、膣に指を入れて弄んだりして、好き放題に妻を嬲ったそうです。
 そうしているうちに、いよいよ興奮してきたふたりは、勇次に「入れてもいいか?」と尋ねました。
 やめて――、そう悲鳴をあげる妻の身体を押さえつけながら、勇次は、
「それなら、寛子を気持ちよくしてやって、自分から入れてって言わせるようにしろよ。そしたらやってもいいからさ」
 そんなようなことを言ったのだといいます。
 それからは三人がかりで寛子は、全身を愛撫されました。
 小一時間も続いたそれに、すっかり情欲をかきたてられ、泣き悶える妻の反応をわらいながら、勇次は
「ほら、そこに寛子のお気に入りのバイブがある。それを使えば、もうすぐに寛子はお前らがほしいって泣き出すとおもうぜ」
 そう言いました。そしてそれはそのとおりになったようです。
 その日、妻は結局、その場にいた全員に抱かれました。それも自分から求めさせられて・・・。

 ・・・妻の告白を聞き終えたわたしは黙って立ち上がりました。車のキーを取り、外へ出ようとするわたしに妻は、
「待って・・・行かないで」
 半狂乱になって、すがりついてきました。
 わたしは妻を突き飛ばしました。妻に暴力を振るったのはそれが最初で最後でした。
 畳の上に叩きつけられ、激しいショックを涙の浮いた瞳に浮かべた妻の顔を見据えながら、わたしは絞り出すように言いました。
「マージャンの借金のかたに抱かされただと・・・・それもふたりの男に・・・・寛子、お前よくもそれで平気な顔であいつと付き合っていられたな・・・・・そんな屈辱的なことをされてもあいつが欲しかったのか・・・・さっきもあいつに嫌いになったかと聞かれて、お前は嫌いじゃないと答えていたな・・・おれは聞いていたんだ・・・・お前は・・・お前という女は・・・・」
 あとは声になりませんでした。
 妻を玩具のように扱った若者たちに怒りを感じました。
 そのことを妻が隠していたことに憤りを感じました。
 しかし、それよりも何よりも、そんなことをされてもなお、勇次を嫌いになれない妻が、わたしは憎くて憎くてたまりませんでした。
 呆然と畳に横たわっている妻を残して、わたしは部屋を出ました。二階で昼寝の最中だった娘を抱いて、わたしは玄関へ向かいました。途中でちらりと居間を見ると、妻が魂の抜けたような表情で、先ほどと同じ姿勢のまま、横たわっているのが見えました。
 わたしと娘は家を出て、車に乗り込みました。そのときが運命の分かれ目だったとは知りもしないで。
  1. 2014/08/20(水) 14:54:46|
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喪失 第20回

 娘を岐阜の両親のもとへ預けたあと、わたしは金沢へ向かいました。行き先はどこでもよかったのです。ただ、どこかへ向かわないではいられませんでした。
 金沢に着いても、兼六園など観光名所を見てまわる気にもなれず、旅館の中で日を過ごし、たまに気が向いたときに、近くを散歩するだけでした。
 妻のことを考えていました。
 わたしは若いうちから悲観的で鬱々としたところがありましたが、妻もまた、どこかに独特の暗さをもった女でした。ふたりが夫婦となったのも、お互いの抱えた陰の部分が響きあったからのような気がします。
 しかし、妻が勇次との情事へのめりこんでいったのも、後に(わたしに言わせれば、ですが)破滅的な生活へと歩みを進めていったのもまた、妻のそうした性向が関係していたのではないか。わたしにはそうおもえてなりません。
 金沢で無目的に怠惰な日々を過ごしながら、わたしがおもいだすのは、勇次との爛れた関係に堕ちていった女ではなく、いついかなるときもわたしを手助けし、公私共によきパートナーになってくれていた女との思い出ばかりでした。
 わたしが帰ろうと決意したのは、十日あまりも過ぎてからのことでした。結論など出ていませんでした。これから先のことを考えることすら、忌避していました。しかし、ただ延々と過去を回顧し、現在から逃げ回ってばかりの自分に嫌気がさしたのです。
 両親から娘を受け取り、車で家へ戻る最中、わたしは不安に苛まれながら、家族の行き先を憂えていました。しかし、隣に座っている娘(両親の話では、母から引き離された十日間あまりの生活で泣いてばかりいたそうです)の顔を見ると、そんな弱気なおもいではいられない、という気になります。たとえ、どんな事態になっても、この子の幸せだけは守ってやる。わたしはそう決意し、その決意によって不安な自分を奮い立たせていました。
 わたしのおもいなど、露知らず、娘は久々に母親に会えるうれしさで、無邪気にはしゃぎまわっていました。
 
 しかし―――。
 家に着いたわたしたちの前に、妻は姿を見せませんでした。いくら待てども、帰ってきません。
 妻は消えていました。
 泣きわめく娘を残して、わたしは勇次の部屋へ走りました。
 勇次の部屋は空でした。管理人のお爺さんの話では、少し前に出て行ったそうです。勇次の履歴書にのっていた学校へ電話しましたが、勇次は学校も辞めていました。
 妻と勇次はこうしてわたしたちの前から姿を消しました。
  1. 2014/08/20(水) 14:55:47|
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喪失 第21回

 妻が消えた後の生活は、それは悲惨なものでした。
 娘は母親を恋しがって泣きます。虚脱感に襲われ、すべてに疲れてしまったわたしは、それをぼんやり聞いているだけで、慰めてやることもできません。それにどう慰めればいいというのでしょうか。
「そのうちにお母さんは必ず帰ってくるから・・・」
 そんな言葉を口にするには、わたしはあまりに打ちひしがれていました。
 夜になり、かつては隣に妻のいた寝室、ときには夫婦で幸せに睦みあった寝室で、ひとりわたしが寝ているとき、様々な妄想がわたしを苦しませました。
 勇次に貫かれ、喜悦の声をあげて、のたうちまわる妻。勇次の友人とかいう男たちと、次々に絡み合い、淫らな奉仕をする妻。
 そんな妄想が夜毎にわたしを灼きました。

 妻が消え去って半年たった頃のことです。
 意外な人物が店に現れました。
 勇次でした。
  1. 2014/08/20(水) 14:56:46|
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喪失 第22回

「奥さんがあんたと別れたいと言ってる」
 勇次は単刀直入にそう切り出しました。
 わたしは沈黙しました。しばらくして、
「寛子は」
 かすれた声で言いました。その声は他人のもののように、そのときのわたしには聞こえました。
「やはりお前といるのか・・・」
「いるよ。ずっと一緒に暮らしてる」
 勇次は店の中の、高い棚の上にある品物を取る台の上に、どっかりと腰掛けました。
「奥さんがいきなり駆け込んできたときはびびったよ。ベロベロに酔っ払ってて、もう泣くわ泣くわ。ひとしきり泣くと、今度はしがみついてきてさ。それからはもうぐちゃぐちゃ。あんまり激しいんで、おれもつられてそ~と~燃えたけどね・・・しばらくしたら、酔いが回りすぎたらしくて、トイレで一回吐いてきて、でもそれからまた、もう蒼い顔になってるってのに、おれを放さないんだよ。次の日の昼もずっとやってたね。あんなに凄いセックスはしたことないよ」
 へらへらと勇次はわらいました。
「凄いよ。凄い女だね、あんたの奥さん」
「寛子に会わせろ・・・会わせてくれ」
 わたしは勇次の顔を暗い目で見つめました。
「離婚するかどうかは、寛子と会ってから決める。とにかく一度会わせろ・・・それから二度とそんな調子でくだらないことをほざくな・・・」
 わたしの狂気がかったような表情と声に、勇次は少しの間、ぎょっとしたようにわたしを見つめていましたが、やがて言いました。
「いいよ。一度会って話しな。でも奥さんがあんたのとこに戻ることは絶対にないぜ」
  1. 2014/08/20(水) 14:57:57|
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喪失 第23回

 その翌々日の夜、わたしは娘を知り合いの家へ預けて、指定されたレストランへ出かけました。
 妻がいました。
 半年前と比べて幾分やつれていました。顔色も少し青ざめています。そのやつれを隠すかのように、化粧は濃い目で、以前は使うことのなかったアイシャドウを塗っていました。
 顔に比べて、身体は全体的にむちっとして、より女っぽくなった感じでした。胸の大きく開いた上着に、三十八歳という年齢にそぐわない短めのスカートを履いているためにそう見えたのでしょうか。以前は清楚な印象の女でしたが、久しぶりに見たその姿はどこか生々しい濃艶さを漂わせていました。
 わたしが近寄ってくるのを見て取って、妻はうつむきがちに頭を下げました。
 注文を取りに来たウエイターが去った後も、ふたりの間には気まずい沈黙が続きました。
 もともと、夫婦ともに無口な性質です。しかし、以前は会話がなくても通い合う何かがあったのです。
 ですが、いまは―――。
「――がお前に会いたがっている」
 わたしは娘の名前を口にしました。
 妻はまたうつむいて、瞳を逸らしました。
「もう会えません・・・」
「何故だ。たとえお前が・・・おれよりあいつを選んだとしても、お前が――の母親だということは変わらないだろ」
 妻は眉をたわめて、わたしの言葉を苦しげな表情で聞いていました。そして弱々しい声で言うのです。
「もう、あなたにも娘にも顔向けできないような女になってしまいました・・・わたしのことは忘れてください・・・別れてください・・・」
「勝手なことを言うな!」
 わたしはおもわず、大きな声をあげていました。
「なあ・・・話してくれ・・・あの日、おれが――を連れて去った後に、どうして勇次のところへ行ったんだ・・・おれたちがいなくなってこれ幸いということだったのか?」
「ちがいます・・・あの日は・・・」
 瞳を潤ませて、妻は語り始めました。
  1. 2014/08/20(水) 14:59:21|
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喪失 第24回

 妻は語ります。
「あの日、あなたと娘がいなくなって・・・しばらくは呆然としていました。夜になっても、次の日の朝になっても帰ってこなくて・・・その次の日も・・・」
 目じりに浮かんだ涙を、妻はハンカチで拭いました。
「・・・気がおかしくなりそうでした。あなたのご実家に電話をかけようかともおもいましたが、お義父さまやお義母に何と言えばいいのかわからなくて・・・不安を紛らわすために、いつもは飲みなれないお酒をずっと飲んでました・・・」
 わたしはじっとしていられなくて、妻がいなくなってから再び吸い始めた煙草に火を点けました。妻はそんなわたしをちらりと見ました。
「お酒を飲んで、また泣いて、そうやってひとりでずっと過ごしているうちに、もうどうしようもなく淋しくなってきて・・・・どうしても誰かと一緒にいたくなったのです」
「それで勇次のところへ・・・どうして勇次なんだ? あいつのところへもう一度行けば、取り返しのつかないことになるとは分かっていただろ・・・!」
 暗い表情のままで、妻は虚ろにわたしを見つめました。
「取り返しのつかないことになれば、いっそ楽になれる・・・後戻りできなければ、もう思い悩むこともない・・・そんな自暴自棄な・・弱い気持ちになっていたんです。あなたと娘には本当に申し訳ないことをしました・・・」
「その通りだ」
「ごめんなさい・・・・それで彼の部屋に行って・・・抱かれました。一度抱かれてしまうと、今度はそれが怖くなって・・・罪悪感と恐怖を忘れるために、無我夢中で彼を求め続けました・・・・」
「・・・・・」
「それが終わると・・・・わたしは彼に哀願しました。どうか、わたしと逃げてほしい、ここから立ち去ってほしい、と・・・彼は渋りました・・・わたしは彼の機嫌を取るために、彼が言うどんな惨めなことでもしました・・・恥知らずな女です・・・」
 わたしは煙草を灰皿へぎゅっと押し付けました。狂おしいおもいで、気が変になりそうでした。
「・・・・しばらくして、彼はやっと了承してくれました・・・わたしは彼と逃げました」
「・・・一度逃げておいて、いまさらおれと別れたいと言ってきたのは何故なんだ? おれと別れてあいつと籍を入れたい、とおもうようになったのか?」
 妻は静かに首を振りました。
「ちがいます・・・・彼はわたしと籍を入れる気はないと言っています」
「それじゃあ、何故」
「あなたが誰か他の人と、あたらしく幸せになる機会があるかもしれない、でもわたしと別れないかぎり、再婚できない・・・ずっとそうおもって悩んでました。一度あなたにお目にかかってちゃんと話したいとおもっていたけれども、勇気がなくて・・・決心が着いたのは本当に最近です」
 そのときのわたしの気持ちはとても表現しきれません。苛立ち、憎しみ、哀しみ。それらすべてが混ぜ合わされた妻へのおもいで壊れそうでした。
「おれのことはいい。それよりも勇次はお前と籍を入れる気はないと言ってるんだろ? その一事だけでも奴がお前のことをどうおもっているか、自明じゃないか・・! このままの生活を続けていったら・・・お前・・・どうして・・・どうして」
(どうして、それが分からないんだ・・・!!)
 わたしの血を吐くようなおもいは、言葉になりませんでした。
「分かってます・・・でも、もう駄目なんです」
 しかし、妻は言いました。
「何が駄目なんだ・・・」
「子供が・・・・」
 おかしなことに、わたしはそのときの妻の言葉が、咄嗟に分かりませんでした。しばらく阿呆のように妻を見つめていて、その腹に添えられた両手を見て初めてその意味に気づきました。
「子供・・・・」
 わたしは呆然として呟きました。すべての思考は止まっていました。
「もうどうしようもないんです・・・だから、わたしと別れてください・・・お願いします―――お願いします」
 必死でそう言う妻の言葉も、耳に入っていませんでした。
 わたしは死体のように、ただそこへ座っているだけでした。
  1. 2014/08/20(水) 15:00:40|
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喪失 第25回

 ・・・それからしばらくの間、数回にわたって妻と会い、離婚へ向けての話し合いを進めました。娘の親権はわたしが持つことになりました。
 慰謝料を求めて裁判を起こすことも出来たでしょう。しかしそうなると、また裁判のために店を開けなければなりません。娘のこともあります。何より、私自身にそうするだけの気力はかけらも残っていませんでした。
 離婚届を妻とふたりで提出した日のことです。
 ふたりとも沈黙したままで、役所を出ると勇次が妻を待っていました。
 妻はわたしをちらりと見ました。わたしがうなづくと、ゆっくりと勇次へ近づいていきました。
「終わった?」
「はい」
「じゃあ、行こうぜ」
 勇次の腕が妻の肩にかかるのが見えました。その瞬間、わたしはわけの分からない感情の爆発で我を忘れました。
 気がつくと、勇次を殴っていました。不意打ちということもあったのでしょうが、わたしが勇次に殴りかかって成功したのは、過去三度の中で初めてでした。
 勇次はわたしに張り飛ばされて、ふらつきながら毒づくと、わたしに殴りかかろうとして、その手を止めました。
 わたしがわらっていたからです。
 何故あのときわらったのかは、自分でもわかりません。わたしはただただ狂ったように、涙を流しながらケタケタと泣きわらっていました。
 勇次はそんなわたしを気味悪そうに見ると、妻を促して車へ乗り込みました。
 妻はわたしをじっと見つめていました。どんな表情をしていたかは思い出せません。ただわたしをじっと見ていたことだけ記憶にあります。
 やがて、車は去っていきました。

 あれから七年がたちました。
 妻とはあの日以来、会っていません。どこにいるか、何をしているかも知りません。
 あれからしばらくして、一度だけ、勇次から封筒が届きました。中には写真が入っていて、妊娠中でおそらく臨月間近だとおもわれる妻の卑猥な写真が入っていました。おそらく最後に殴られたことへの腹いせで、そんなものを送ってきたのではないかとおもいます。その写真については、もう触れたくありません。
 ところで、わたしの友人にFさんという方がいます。実はこの方に「妻物語」を紹介してもらいました。Fさんにも事情を打ち明けてはいなかったのですが、薄々感づいてはいたようでした。
 数年前、そのFさんから連絡が来て、Fさんが妻に―もう妻ではありませんが―よく似た女が働いていたという店に行ったことがあります。かなりいかがわしい店で、入るのも躊躇われたのですが、ともかくもわたしが見たかぎりでは、それらしい女はいませんでした。
 妻は今年で45歳になるはずです。
 わたしはまだ店を続けています。世間の目もありますし、何より、妻や勇次の面影がちらつく町から去りたいという気持ちもあったのですが・・・。
 未練がましいとおもわれるかもしれませんが、わたしはまだいつか、妻がふらりとわたしたちの店へ戻ってきてくれるかもしれないという気持ちを捨てきれないのです。
 最後になりましたが、ここまで読んでくださった皆様に感謝して、筆を置きたいとおもいます。ありがとうございました。
  1. 2014/08/21(木) 01:27:37|
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